2024.11.20
第8回高校生カンボジアスタディツアー【参加者ニュースレター …
世界には、貧困や紛争、学校が近くにないなど、さまざまな理由で学校に行けない6~17歳の子どもが約2億4000万人います。さらに、教育を受ける機会がないまま大人になったために、文字の読み書きができない人が、約7億6300万人います。これは世界の15歳以上人口の7人に1人にあたります。(UNESCO Institute for Statistics)
世界寺子屋運動は、基本的人権として誰もが教育の機会を得て、貧困のサイクルを断ち切り自ら考えて行動を起こしていけるように、1989年から活動を続けています。
寺子屋は年齢、宗教、性別にかかわらず、すべての人が公平に学べる場として、海外ではCommunity Learning Center (CLC) と呼ばれています。
コミュニティの拠点として、地域に暮らす人びと自身が運営し、基礎教育や職業訓練の場にとどまらず、図書館、地域のお祭り会場、互助やボランティア活動、文化交流拠点として、多様な役割を果たしています。
非識字者や貧困層の人たちが多いアジアで主に展開しており、当協会連盟のCLCの仕組みは、各国において教育を通じた貧困削減と持続発展への貢献モデルとなっています。
発展途上国にみられる、貧困による負の連鎖は非常に大きな問題です。
教育を受けられないことで、読み書き・計算ができない「非識字」の状態で大人になってしまい、仕事に就けず、収入が少ない状態が続き、さらには本人や子どもが教育を受けられなくなるという悪循環が続いてしまいます。
この負の連鎖の根本的な問題は教育、つまり読み書き・計算が出来ないということに大きな原因があると考えられています。
貧しさ、紛争や戦争、女の子に教育は必要ないという考え方、物理的に学校が近くにない、小学校に通っていても家計を助けるために中途退学せざるを得ず、そのまま大人になってしまったなど理由はさまざまです。
小学校に通うことができない、または中途退学してしまったため、基本的な読み書き計算ができない子どもや、そのまま大人になってしまった人たちが数多くいます。
基本的な読み書き計算ができないと、さまざまな職業に必要な技術を身につけることが大変困難です。簡単な足し算や引き算ができず、技術を習得する上で必要なテキストなどが読めないと、労働条件は厳しくなります。
基礎教育や技術訓練を受けていない人たちは、安定した収入を得る仕事に就くことが困難で、過酷な労働条件でも低賃金で働かざるを得ない状況があります。また読み書きや計算ができないと、労働者としての権利が分からず、だまされ、搾取されてしまうこともあります。
「教育を受ける」ことで、貧困の連鎖を好転させ、彼らが自分の力で収入を得て、自立していくことが可能となります。
私たちは、2015年9月に国連が定めた国際的な目標SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に呼応し、すべての人が質の高い教育を受けられるようにすることを目指しています。
義務教育である小学校の入学年齢を過ぎてしまった子どもたちや10代の若者が学べる場はほとんどありません。またそのままお父さん、お母さんになってしまった人たちが、小学校で学ぶような基礎学力を身につけられる受け皿も皆無に等しいなか、誰もが教育を受けられる機会を作ります。
年齢に関わらず「学びたい」と希望している人たちに、その国の先生(日本人が教えるわけではありません)が基礎教育や日々の生活に必要な保健・衛生のことなどを教えるのが「世界寺子屋運動」です。「なぜ大人も必要なの?」と問われることがありますが、一度教育の大切さを知ったお父さん、お母さんは、自分の子どもたちにも学校に通わせる努力を怠りません。したがって、子どもたちの教育のためにも大人が学ぶことは大切です。
今まで小学校に通う機会がなかった、もしくは小学校を中途退学してしまった若者や大人を対象とする場合、家族を養わなければならない立場の人がほとんどです。そのため、読み書き計算を学ぶ識字クラスだけでなく、技術訓練も行っています。技術を身につけるためには基礎学習が大切であることにも気付き、相乗効果が期待できます。例えば、野菜の栽培の仕方、養蜂、養魚、養鶏、民芸品作り、実用品生産、伝統音楽の習得など地域の人びとのニーズに基づいてその種類も多岐にわたります。
一言で「収入を増やす」と言っても個人の力では出来ないことも多々あります。地域の人たちによる、地域の人たちのための学び舎である寺子屋=CLC(コミュニティー学習センター)では、地域の人たちが皆で助け合うことが重要です。女性たちを対象に小口融資を活用して地域密着型の商売を行うセルフヘルプ(自助)グループ、お米が不作の時に安価でお米を借り受けられるようにするライスバンク(米銀行)など、多彩な取り組みで少ない収入を補い、地域の助け合いを通して収入を増やす努力が続けられています。
第三者からの一方的な支援(建設やプログラム)では、終了とともに地域の人たちの興味や関心がなくなり、建物自体も使われなくなってしまいます。
世界寺子屋運動では、以下のように地域の人や現地行政の方々と協力し、共に考え、自分ごととして活動内容を構築していくことで、現地の方々自身の自立と地域の活性化を目指します。
支援ニーズの高い国や地域を事前に調査します。当該国政府やパートナー団体との協議のもと、支援先地域が選定されると、家庭を訪問するなどして、家族構成や収入、教育レベルなど基礎調査を実施します。
調査の結果を元に、行政担当官や支援先の長老などと協議し、識字教育を中心にしたプログラムを構築していきます。またこの際には建物(寺子屋)ありきではなく、いかに地域の人が自主的に参加し、ゆくゆくは独立して運営ができるかも重要になります。
生まれてはじめて文字の読み書きや計算を学ぶ大人、そして子ども。しかし識字授業だけでは多くの地域の人は通ってくれません。そこで大人に対しては識字教育と併せて技術(職業)訓練の授業を実施するなど、収入に直結するプログラムなども取り入れていきます。
寺子屋は、識字(文字の読み書き・計算)や技術を習うだけの施設ではありません。そのためスタッフは、地域の人と話しあいながら、ここで暮らす地域の人びと全員がより豊かな生活をしていくためには、どうすべきかを二人三脚で考え、柔軟にプログラムを行っています。
世界寺子屋運動では、現在、以下の活動を行っています。
私たちの活動には、多くの方々にさまざまなかたちでご協力・ご支援をいただいています。
わたしたちの想いに共感してくださる方を、心よりお待ちしております。ひとりひとりの力を未来の力に。