「プロジェクト未来遺産2023」登録証伝達式を実施
地域の有形・無形文化や自然を守り継承する市民の活動である「プロジェクト未来遺産」。2023年度は全国から19件の応募があり、岩手県、島根県、岡山県、そして県内初となる長崎県からあわせて4件のプロジェクトが登録されました。
2024年6月から7月にかけて実施された「プロジェクト未来遺産2023」登録証伝達式の実施報告をとおして、新たに「プロジェクト未来遺産」として登録された団体の声をご紹介いたします。
巨大防浪堤を未来へ~岩手県宮古市田老の津波防災伝承活動~
■NPO法人 津波太郎より
2024年6月9日(日)14時から宮古市市民交流会館多目的ホールで開催された登録証伝達式には、山本宮古市長、岩手県沿岸広域振興局植野副局長、田老第一小学校児童をはじめ地元関係者など約100名が集まりました。
未来遺産委員会の佐藤桂委員から「正月に能登半島地震津波があり、自然災害の多い日本において地震・津波の伝承活動は重要である。」とのコメントがあり、NPO法人津波太郎の役員方々に登録証が授与されました。その後、登録団体挨拶に続き、来賓からの祝辞があり、最後に田老第一小学校5・6年生21名により活動のシンボルともなっている「防浪堤」の歌詞の入った校歌が披露されました。
宮古ユネスコ協会事務局支援のもと行われた伝達式は、活動を続けてきたメンバーと地域を鼓舞する素晴らしい機会となりました。
■プロジェクト詳細
2023年度登録 巨大防浪堤を未来へ 〜岩手県宮古市田老の津波防災伝承活動〜
伝統芸能石見神楽を未来に継承サポートプロジェクト
■どんちっちサポートIWAMIより
2024年6月23日(日)、島根県浜田市立原井小学校体育館で「第27回いわみ子供神楽フェスタ2024」を開催しました。今年は、市内10団体の計88名の子どもたちが、1年間かけて練習し習得した1演目を、観客ら約500名の前で披露しました。また、今回初の試みとして、団体の垣根を越えて選抜されたメンバーが、石見神楽最大の花形演目『大蛇』を大人顔負けの迫真の演技で披露しました。
今年はフェスタ内で、「プロジェクト未来遺産2023」の登録証伝達式も開催し、未来遺産委員会の齊藤裕嗣委員から、「地域全体で石見神楽を支え、子どもたちの郷土愛を醸成し、他団体のモデルになる活動」との評価を頂きました。
この度の登録を受け、当団体は100年後に向けた重みを感じています。新しい発想を取り入れながら活動内容を発展させることで、年々、良い団体になっており、今後も活動を通じて後継者を育成していきたいと決意を新たにしました。
■プロジェクト詳細
2023年度登録 伝統芸能石見神楽を未来に継承サポートプロジェクト
歩こうこどもたち!~未来につながる「備中とと道」~
■備中とと道トレイル推進協議会より
2024年7月6日(土)に岡山県高梁市成羽にて登録証伝達式を開催しました。伝達式では、高梁市長から「備中とと道を活用した地域振興を沿道市町が連携して応援したい」とのお話がありました。第2部の「備中とと道トレイル・サミット」では、民俗学者の神崎宣武氏と未来遺産委員会の西山徳明委員のお二人に、とと道にまつわるご講演をいただきました。
西山委員は「とと道は、深い山中でも鮮魚を食べたいという人間の欲求に対して、当時としては不可能と思われることを、市民の商売の力が可能にした運搬システム。その道を現代に蘇らせた国内で唯一の流通・往来を示す文化的景観である」と述べられました。
会場には200名を越える皆さまが参集され、終始熱心に耳を傾けておられました。100年後の子どもたちへ伝えることが可能と思えるほどの盛会となりました。
■プロジェクト詳細
2023年度登録 歩こうこどもたち!~未来につながる「備中とと道」~
五島に残る玉之浦神楽~子どもたちへの伝承プロジェクト~
■白鳥神社神楽保存会より
未来遺産委員会委員の西山厚先生をお迎えして、2024年6月5日(水)に五島市玉之浦町で登録証伝達式を開催しました。普段は波音と漁船のエンジン音しか聞こえない国境の漁港に、来賓だけでなく地域住民総勢100名近くが集まって、感染症対策のため4年間実施できていなかった白鳥神社例大祭の復活を誓いあいました。
伝達式終了後、記念神楽公演を行い、とくに当地のみに伝承されてきた演目を含めた6番の舞が披露されました。舞の中では、お母さんたちによって準備された伝統の紅白餅の餅まきが行われ、子どもたちの歓声だけでなく、老若男女を問わず大いに盛り上がりました。終了後、顔を高揚させた移住者より「自分も神楽に参加します」と、頼もしい声も聞こえました。
■プロジェクト詳細
2023年度登録 五島に残る玉之浦神楽~子どもたちへの伝承プロジェクト~
「プロジェクト未来遺産」には、これまでに、地域性を反映する歴史的町並みや、伝統芸能・祭事、自然環境などを対象とした、市民が主体となって行われている83の活動が登録されています。
未来遺産運動では、多くの方々に身近な地域や全国各地の「プロジェクト未来遺産」に関心を持っていただくことで、地域を越えた新たなつながりを生み出し、日本全国に応援の輪を広げることを目指しています。