ソーシャル・キャピタルで学びを止めない防災・減災教育の創造
多摩市立多摩中学校
活動に参加した児童生徒数/1~3学年全員
活動に携わった教員数/38人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/55人
実践期間2020年4月1日~2021年3月20日
活動のねらい
新型コロナウイルスにより本校では、「避難所運営ガイドライン」に沿った避難所としての新たな機能・運営が課題となっている。そこで生徒にはこれまでにないコロナ禍の影響を受けながらも、持続可能な防災・減災教育を開発的に推進することを目的とした。特に、日頃から協働することを継続し、中学生に求められる共助に視点を絞り活動をした。
まず、例年炊き出し訓練を共に行っている地域運営協働本部と連携し、水防訓練や新型コロナウイルスに対応した熱中症対策として本校の湧水の有効利用を考えミストシャワーとドリンクバーを実施した。
次に、減災教育講座として、災害時における風呂敷の活用法を学んだ。風呂敷は、家庭にある大きな布などでも代用でき、災害時の避難時や避難所で中学生が中心となって、家族や地域住民を助けられることを狙いとして実施し災害時に活用できるように考えた。また、ソーシャルディスタンスに配慮しながら実習できるように工夫した。
最後に、新型コロナウイルスを災害としても捉え、生徒会の発案で、学校内外の新型コロナウイルスの感染拡大と予防、医療従事者への感謝をこめた蓄電池と太陽光パネルのLEDイルミネーションを設置・点灯した。また、こうした様々な教育活動継続的なものにしていくためにも記録を残し、年間を通して災害時の情報発信手段としてGoogle classroomにて配信し、休校中や休校後も保護者・地域に配信を行っている。
活動内容
1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
6月~9月 実践内容「熱中症予防対策ミストシャワー 放課後ドリンクバー」
これまで下水に流していた本校敷地内から湧き出る地下水を利用し、ソーラーポンプセットを活用してミストシャワーを設置した。また、生徒の下校時に地域運営協働本部が中心となり熱中症予防のドリンクバーも実施し、災害時における地下水の活用と水防訓練を兼ね、地域と連携・協働する体制を学んだ。
10月 実践内容「一斉下校訓練の実施」
「3.11を忘れない」「東京マイ・タイムライン」を活用し、実際の避難行動やそのための準備を検討する共に、一斉下校訓練を実施した。
11月 実践内容「ドリームマップの作製」
地域や人の役に立ち自己実現を図るためにも自己の未来像や職業以外に社会貢献することを学んだ。
11月 実践内容「防災・減災風呂敷講座」
事前学習で、「減災とは」、「自助、共助、公助」について学習し、中学生における共助について学びを深め、講座当日を迎えた。風呂敷講座当日の前半に風呂敷に関する基礎知識を指導し、後半は、防災や減災時にはどのように活用していくのか実践を行い、風呂敷をどのように活用できるか学んだ。また、小池百合子都知事が紹介していた「防災風呂敷」についても」ご紹介いただき、実際に手に取って活用方法を知ることができた。
12月 実践内容「新型コロナウイルス感染拡大予防、医療従事者への感謝のイルミネーション」
生徒会を中心として、再生エネルギーを活用し、新型コロナウイルスの感染拡大と予防や医療従事者への感謝を込めたLEDイルミネーションを設置した。
2~3月 実践内容「市防災課、市議会議員などに対して、これまでの活動実践を報告する(予定)」
地域とのクロスロード、HUGなど計画したが、新型コロナウイルスにより地域と実施が中止になった。
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
減災教育の充実には、単発的な学習活動だけでなく継続的かつ実践的な教育活動の実践が必要であると考え、災害時における行動について見直しを図り、助成金を活用して講師を招へいし、風呂敷や家庭にある大きな布を活用して、避難所での生活や災害発生時の活用の仕方について学ぶことができた。また、その様子をGoogle Classroomにて保護者、地域に伝えた。
他にも、高圧ポンプやソーラーポンプやケーブルを購入し、ミストシャワーやイルミネーションなどを購入することができた。また、こうした教育活動を記録し、さらに改善を図っていくためにもICT機器を購入することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
生徒自身が自らの防災意識を見直すことができ、災害時における共助の具体的な方法を学ぶことができた。本校において防災教育は昨年度まで行われていたが、新たに減災という観点から本校の教育活動を見直すことができた。新型コロナウイルスの影響もあり実施の難しいこともあったが、校内体制や地域との連携など様々な角度から、本校の減災・防災教育を見直すことができた。また、教員や生徒が災害に対する実感を持って防災訓練を行っていくために減災・防災教育を見直すきっかけにもなった。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
ミストシャワーや放課後ドリンクバーの活動を地域運営協働本部の方々が中心となることで、自分たちは様々な人に支えられて生きていると感じ、地域社会の一員としての意識をもつことができた。そうした意識をもち、災害が起きた時には、今度は自分たちが顔見知りとなった地域の方々に共助ができるように身近にある風呂敷や家庭にある大きな布を活用できることを知ることができた。(つながりを尊重する態度、他者と協力する態度)。生徒は、災害時に避難所で中学生に期待される事は大きいことは理解することができていたが、実際にどのような行動し、周りの人を助けることができるか主体的に考えることができた(多面的、総合的に考える力、責任を重んじる態度)。生徒は、災害が起きる前の考えはもっていることが多かったが、災害の被害を減らすことや災害が起きた後の事を考える良い機会になった。
また、身近な問題となっている新型コロナウイルスの深刻さを考え、防災と感染症予防について考えるとともに、最前線で自分たちの代わりに戦っている医療従事者への感謝と、自分たちには何ができるかを考える機会になった(批判的に思考、判断する力、粘り強く実践する力)。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
今回の実践を通して、地域のソーシャル・キャピタルを見直す機会にもなった。ミストシャワーでは、地域運営協働本部が中心となることで学校と地域が一体となる活動となった。風呂敷講座は、学校がコミュニティースクールとして機能しながら、災害時の対応力や防災・減災の機能を向上させ、地域のソーシャル・キャピタルを高める機会にしようとしたが、新型コロナウイルスの影響もあり、保護者、地域の方々をお招きしてのHUGなどは実現できなかったもののコロナ禍での持続可能な防災・減災について学習することができた。
また、風呂敷が防災に使えることを知らないことが多かった教員側が、実際に活用できる方法を知ったことで継続的に学校教育全体を使って指導できるようになった。その成果として、総合的な学習の時間や特別支援学級の自立活動の授業でも指導をすることができた。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
新型コロナウイルスの影響も考慮に入れながら日頃から協働することを基本に据えて、地域の方々と協働して防災・減災教育を継続的に行っていくことが重要である。避難訓練の中に地域運営協働本部と協力をしたものを入れていくなど様々な場面で地域の方々との協働が必要不可欠になってくる。
今回の実践の一つである風呂敷講座で、風呂敷や大きな布は一つで、物を包んだり、ヘルメットになったり、様々な活用ができることを知った。しかし、結び方や活用方法は知らないとできないので、生徒だけでなく、教員にも、継続的に研修会を行っていかなければならないと感じた。さらに生徒や教員にも、危機感を持ち自分事として訓練を継続することが課題である。
また、新型コロナウイルスの影響もあり、保護者、地域との連携が今後の課題となる。未だに減らない感染者数などを考慮し、3密を避け、実際の避難所設営などに、中学生として参加させ地域の防災・減災力を高め、生徒、地域、保護者のソーシャル・キャピタルを深め防災・減災のプラットフォームとなっていくことが今後の課題である。
5)その他
今回の減災教育プログラムを受講し、生徒に災害に対し自分事として捉えさせることの重要性を一番に感じることができた。今後も継続した活動にしていきたいと考えた。
その一環として、本校野球部を被災地に連れていき、伝承館を見学し、被災地でボランティア活動をしたいと考えた。また、将来的には現地と交流し、チャリティ試合をしていきたいと考えました。
コロナの情勢にもよるが、是非生徒たちに貴重な経験をさせていきたいと考えている。
6月~9月 実践内容「熱中症予防対策ミストシャワー 放課後ドリンクバー」
これまで下水に流していた本校敷地内から湧き出る地下水を利用し、ソーラーポンプセットを活用してミストシャワーを設置した。また、生徒の下校時に地域運営協働本部が中心となり熱中症予防のドリンクバーも実施し、災害時における地下水の活用と水防訓練を兼ね、地域と連携・協働する体制を学んだ。
10月 実践内容「一斉下校訓練の実施」
「3.11を忘れない」「東京マイ・タイムライン」を活用し、実際の避難行動やそのための準備を検討する共に、一斉下校訓練を実施した。
11月 実践内容「ドリームマップの作製」
地域や人の役に立ち自己実現を図るためにも自己の未来像や職業以外に社会貢献することを学んだ。
11月 実践内容「防災・減災風呂敷講座」
事前学習で、「減災とは」、「自助、共助、公助」について学習し、中学生における共助について学びを深め、講座当日を迎えた。風呂敷講座当日の前半に風呂敷に関する基礎知識を指導し、後半は、防災や減災時にはどのように活用していくのか実践を行い、風呂敷をどのように活用できるか学んだ。また、小池百合子都知事が紹介していた「防災風呂敷」についても」ご紹介いただき、実際に手に取って活用方法を知ることができた。
12月 実践内容「新型コロナウイルス感染拡大予防、医療従事者への感謝のイルミネーション」
生徒会を中心として、再生エネルギーを活用し、新型コロナウイルスの感染拡大と予防や医療従事者への感謝を込めたLEDイルミネーションを設置した。
2~3月 実践内容「市防災課、市議会議員などに対して、これまでの活動実践を報告する(予定)」
地域とのクロスロード、HUGなど計画したが、新型コロナウイルスにより地域と実施が中止になった。
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
減災教育の充実には、単発的な学習活動だけでなく継続的かつ実践的な教育活動の実践が必要であると考え、災害時における行動について見直しを図り、助成金を活用して講師を招へいし、風呂敷や家庭にある大きな布を活用して、避難所での生活や災害発生時の活用の仕方について学ぶことができた。また、その様子をGoogle Classroomにて保護者、地域に伝えた。
他にも、高圧ポンプやソーラーポンプやケーブルを購入し、ミストシャワーやイルミネーションなどを購入することができた。また、こうした教育活動を記録し、さらに改善を図っていくためにもICT機器を購入することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
生徒自身が自らの防災意識を見直すことができ、災害時における共助の具体的な方法を学ぶことができた。本校において防災教育は昨年度まで行われていたが、新たに減災という観点から本校の教育活動を見直すことができた。新型コロナウイルスの影響もあり実施の難しいこともあったが、校内体制や地域との連携など様々な角度から、本校の減災・防災教育を見直すことができた。また、教員や生徒が災害に対する実感を持って防災訓練を行っていくために減災・防災教育を見直すきっかけにもなった。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
ミストシャワーや放課後ドリンクバーの活動を地域運営協働本部の方々が中心となることで、自分たちは様々な人に支えられて生きていると感じ、地域社会の一員としての意識をもつことができた。そうした意識をもち、災害が起きた時には、今度は自分たちが顔見知りとなった地域の方々に共助ができるように身近にある風呂敷や家庭にある大きな布を活用できることを知ることができた。(つながりを尊重する態度、他者と協力する態度)。生徒は、災害時に避難所で中学生に期待される事は大きいことは理解することができていたが、実際にどのような行動し、周りの人を助けることができるか主体的に考えることができた(多面的、総合的に考える力、責任を重んじる態度)。生徒は、災害が起きる前の考えはもっていることが多かったが、災害の被害を減らすことや災害が起きた後の事を考える良い機会になった。
また、身近な問題となっている新型コロナウイルスの深刻さを考え、防災と感染症予防について考えるとともに、最前線で自分たちの代わりに戦っている医療従事者への感謝と、自分たちには何ができるかを考える機会になった(批判的に思考、判断する力、粘り強く実践する力)。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
今回の実践を通して、地域のソーシャル・キャピタルを見直す機会にもなった。ミストシャワーでは、地域運営協働本部が中心となることで学校と地域が一体となる活動となった。風呂敷講座は、学校がコミュニティースクールとして機能しながら、災害時の対応力や防災・減災の機能を向上させ、地域のソーシャル・キャピタルを高める機会にしようとしたが、新型コロナウイルスの影響もあり、保護者、地域の方々をお招きしてのHUGなどは実現できなかったもののコロナ禍での持続可能な防災・減災について学習することができた。
また、風呂敷が防災に使えることを知らないことが多かった教員側が、実際に活用できる方法を知ったことで継続的に学校教育全体を使って指導できるようになった。その成果として、総合的な学習の時間や特別支援学級の自立活動の授業でも指導をすることができた。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
新型コロナウイルスの影響も考慮に入れながら日頃から協働することを基本に据えて、地域の方々と協働して防災・減災教育を継続的に行っていくことが重要である。避難訓練の中に地域運営協働本部と協力をしたものを入れていくなど様々な場面で地域の方々との協働が必要不可欠になってくる。
今回の実践の一つである風呂敷講座で、風呂敷や大きな布は一つで、物を包んだり、ヘルメットになったり、様々な活用ができることを知った。しかし、結び方や活用方法は知らないとできないので、生徒だけでなく、教員にも、継続的に研修会を行っていかなければならないと感じた。さらに生徒や教員にも、危機感を持ち自分事として訓練を継続することが課題である。
また、新型コロナウイルスの影響もあり、保護者、地域との連携が今後の課題となる。未だに減らない感染者数などを考慮し、3密を避け、実際の避難所設営などに、中学生として参加させ地域の防災・減災力を高め、生徒、地域、保護者のソーシャル・キャピタルを深め防災・減災のプラットフォームとなっていくことが今後の課題である。
5)その他
今回の減災教育プログラムを受講し、生徒に災害に対し自分事として捉えさせることの重要性を一番に感じることができた。今後も継続した活動にしていきたいと考えた。
その一環として、本校野球部を被災地に連れていき、伝承館を見学し、被災地でボランティア活動をしたいと考えた。また、将来的には現地と交流し、チャリティ試合をしていきたいと考えました。
コロナの情勢にもよるが、是非生徒たちに貴重な経験をさせていきたいと考えている。
活動内容写真
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活動において工夫した点
どの実践においても、コミュニティスクールの役割を果たしつつ、地域のソーシャル・キャピタルを高められる教育活動を実践した。新型コロナウイルスの影響を考慮しながらも、学校と地域が一体となって、活動できるようにソーシャルディスタンスを意識し、3密を回避しながら教育活動を実践してきた。特に、ミストシャワーと同時に行っていたドリンクバーでは、地域の方々と生徒が身近に触れ合える機会となった。
また、風呂敷講座では、風呂敷以外の布(バンダナ・ハンカチ)でも実践を行い生徒の身近なものを使うことで風呂敷がなくても、様々なものを使って防災・減災に活用できることがわかった。小池百合子都知事が推奨している「防災風呂敷」についても活用の仕方、紹介を行った。実際に包んでいるものを生徒や教員が手に取り、体験する活動も行ったことで、より身近に感じる活動になった。
そして、イルミネーションは設置場所をより多くの地域の方々見れるように多摩川側の方に見えるように設置し、本校向かい側の病院にも見えるように工夫をした。
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