少子高齢化の地域防災 ~地域を知り,地域を守る子どもを育てる防災教育~
大牟田市立大正小学校
活動に参加した児童生徒数/1~6学年369人
活動に携わった教員数/19人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/134人
実践期間2018年9月1日~2018年12月31日
活動のねらい
地震や豪雨等の災害について知り,災害時の避難行動や避難生活に向けた日頃の備えについて学ぶようにし,自分の命を守るととともに,少子高齢化が進む地域での減災に役割を果たすことができるようにする。
活動内容
1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
地震と豪雨災害を想定した減災教育に取り組んだ。
1・2年生
3・4年生
5・6年生
保護者・地域住民
9月
防災学習会「災害に備える」 ・一部地域住民が参加。
10月
「防災カルタをつくろう」
「学校で地震にあったら」
「通学路で地震や大雨にあったら」
・「防災カルタをつくろう」を授業参観日に実施・公開。
11月
「防災カルタ大会をしよう」
「非常用持出袋の中身を考えよう」
「通学路で地震や大雨にあったら」
避難所体験学習「皆で協力!避難所生活」 ・一部地域住民が参加。
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月研修会で,減災教育を継続的に体系的に進めていくためのカリキュラムの重要性,専門家・関係機関と連携することの重要性を感じた。そこで,専門家・関係機関の指導助言を受けながらカリキュラムを見直し,各学年の学習活動の充実を図った。これにより,昨年度までは,全校一斉の避難訓練など決められた避難行動を理解する学習が中心であったのが,本年度は,児童が災害や減災についての知識を学び,学校や地域の環境を減災の視点で調べ,命を守るための行動を自ら考え判断する学習へと大きく転換することができた。避難所を設営する体験学習も行うようにした。そうした学習における調査・表現活動や避難所体験学習で使用した消耗品費,専門家への報償費などに助成金を有効活用することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
低・中・高学年の各段階に合った具体的な活動を位置付けたカリキュラムをつくることができた。
低学年では,防災カルタづくりとカルタ大会,中学年では,地震で危険性のある場所を学校・家庭で探す活動,非常用持出袋の中身を話し合う活動,高学年では,通学路を調べ地震や大雨にあった時の避難場所や行動を考える活動,調べたことをマップに表す活動などをそれぞれ位置付けた。これにより,児童が目的をもって調べたり表現したりして主体的に学ぶカリキュラムへと改善することができた。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
身近な場所や地域の特徴を減災の視点からとらえたり,起こり得る災害を想定してどのような行動をとればよいかを考えたりすることができるようになった。たとえば,屋外で地震にあったら広い場所に,大雨にあったら高い場所に,という行動の原則を理解し,通学途中で地震にあった時に避難する場所を見つけたり,大雨が降った時に水が流れる方向を考えてどこに避難すればよいかを判断したりした。非常用持出袋の中身を家族と一緒に考えたり,災害時の集合場所を家族と話し合って決めたりするなど学校での学びを家庭で生かす行動も見られた。
また,避難所体験学習を通して,協力や助け合い,高齢者・年少者等への支援が必要であることを理解した。児童達はリーダーの下で統制のとれた動きをし,コミュニケーションをとり合って活動を進めた。
これらのことから,未来像を予測して考える力,多面的・総合的に考える力、コミュニケーションを行う力,他者と協力する態度,進んで参加する態度などが身に付いたと考える。
③教師や保護者,地域,関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教師は,カリキュラムの改善によって児童の学習が充実したという確かな手応えを得て,減災教育の意義・価値についての理解が大きく進み,来年度の実践への意欲が高まっている。
多くの保護者が,学校のホームページや学校からの便りで減災教育の取組を知り,参観に訪れた。児童から学習したことを聞き,児童とともに非常用持出袋の中身を考えたり災害時の集合場所を決めたりするなど災害への備えを実践した保護者もいた。
地域住民は,防災学習会「災害に備える」と避難所体験学習「皆で協力!避難所生活」に参加して,学校の取組を評価,支持する感想を述べていた。
関係機関として大牟田市防災対策室からの大きな支援・協力を受けた。同対策室では,学校と連携した防災教育のあり方について本校での実践をモデルケースとし,同様の実践を市内に広げていきたいとしている。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
本年度の実践は,起こり得る災害を想定して,日頃どう備えるか,災害発生時にどう行動するか,避難生活をどう送るかを児童が自ら考え,判断することができるようにするものであった。これは,専門家・関係機関の協力と指導助言をもとにつくりあげたカリキュラムによるものである。このカリキュラムを次年度以降に引き継ぐために,各学年で実践を整理し,職員の異動に備えることが必要である。
地域ぐるみの減災に結び付けるために,学校の取組を保護者・地域住民に広く発信するとともに,学習公開や学習への保護者・地域住民の参加の場を増やし,参加者を増やしていくことが必要である。そうすることで,児童が保護者・地域住民とともに考え行動し,少子高齢化が進む地域の減災に果たす役割を自覚できるものと考える。
地震と豪雨災害を想定した減災教育に取り組んだ。
1・2年生 | 3・4年生 | 5・6年生 | 保護者・地域住民 | |
9月 | 防災学習会「災害に備える」 ・一部地域住民が参加。 | |||
10月 | 「防災カルタをつくろう」 | 「学校で地震にあったら」 | 「通学路で地震や大雨にあったら」 | ・「防災カルタをつくろう」を授業参観日に実施・公開。 |
11月 | 「防災カルタ大会をしよう」 | 「非常用持出袋の中身を考えよう」 | 「通学路で地震や大雨にあったら」 | |
避難所体験学習「皆で協力!避難所生活」 ・一部地域住民が参加。 |
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月研修会で,減災教育を継続的に体系的に進めていくためのカリキュラムの重要性,専門家・関係機関と連携することの重要性を感じた。そこで,専門家・関係機関の指導助言を受けながらカリキュラムを見直し,各学年の学習活動の充実を図った。これにより,昨年度までは,全校一斉の避難訓練など決められた避難行動を理解する学習が中心であったのが,本年度は,児童が災害や減災についての知識を学び,学校や地域の環境を減災の視点で調べ,命を守るための行動を自ら考え判断する学習へと大きく転換することができた。避難所を設営する体験学習も行うようにした。そうした学習における調査・表現活動や避難所体験学習で使用した消耗品費,専門家への報償費などに助成金を有効活用することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
低・中・高学年の各段階に合った具体的な活動を位置付けたカリキュラムをつくることができた。
低学年では,防災カルタづくりとカルタ大会,中学年では,地震で危険性のある場所を学校・家庭で探す活動,非常用持出袋の中身を話し合う活動,高学年では,通学路を調べ地震や大雨にあった時の避難場所や行動を考える活動,調べたことをマップに表す活動などをそれぞれ位置付けた。これにより,児童が目的をもって調べたり表現したりして主体的に学ぶカリキュラムへと改善することができた。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
身近な場所や地域の特徴を減災の視点からとらえたり,起こり得る災害を想定してどのような行動をとればよいかを考えたりすることができるようになった。たとえば,屋外で地震にあったら広い場所に,大雨にあったら高い場所に,という行動の原則を理解し,通学途中で地震にあった時に避難する場所を見つけたり,大雨が降った時に水が流れる方向を考えてどこに避難すればよいかを判断したりした。非常用持出袋の中身を家族と一緒に考えたり,災害時の集合場所を家族と話し合って決めたりするなど学校での学びを家庭で生かす行動も見られた。
また,避難所体験学習を通して,協力や助け合い,高齢者・年少者等への支援が必要であることを理解した。児童達はリーダーの下で統制のとれた動きをし,コミュニケーションをとり合って活動を進めた。
これらのことから,未来像を予測して考える力,多面的・総合的に考える力、コミュニケーションを行う力,他者と協力する態度,進んで参加する態度などが身に付いたと考える。
③教師や保護者,地域,関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教師は,カリキュラムの改善によって児童の学習が充実したという確かな手応えを得て,減災教育の意義・価値についての理解が大きく進み,来年度の実践への意欲が高まっている。
多くの保護者が,学校のホームページや学校からの便りで減災教育の取組を知り,参観に訪れた。児童から学習したことを聞き,児童とともに非常用持出袋の中身を考えたり災害時の集合場所を決めたりするなど災害への備えを実践した保護者もいた。
地域住民は,防災学習会「災害に備える」と避難所体験学習「皆で協力!避難所生活」に参加して,学校の取組を評価,支持する感想を述べていた。
関係機関として大牟田市防災対策室からの大きな支援・協力を受けた。同対策室では,学校と連携した防災教育のあり方について本校での実践をモデルケースとし,同様の実践を市内に広げていきたいとしている。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
本年度の実践は,起こり得る災害を想定して,日頃どう備えるか,災害発生時にどう行動するか,避難生活をどう送るかを児童が自ら考え,判断することができるようにするものであった。これは,専門家・関係機関の協力と指導助言をもとにつくりあげたカリキュラムによるものである。このカリキュラムを次年度以降に引き継ぐために,各学年で実践を整理し,職員の異動に備えることが必要である。
地域ぐるみの減災に結び付けるために,学校の取組を保護者・地域住民に広く発信するとともに,学習公開や学習への保護者・地域住民の参加の場を増やし,参加者を増やしていくことが必要である。そうすることで,児童が保護者・地域住民とともに考え行動し,少子高齢化が進む地域の減災に果たす役割を自覚できるものと考える。
活動内容写真
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1・2年生「防災かるた大会をしよう」の学習
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3・4年生「非常用持出袋の中身を考えよう」の学習
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5・6年生「通学路で地震や大雨にあったら」の学習
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全校一斉「皆で協力!避難所生活」の学習
1・2年生「防災かるた大会をしよう」の学習
3・4年生「非常用持出袋の中身を考えよう」の学習
5・6年生「通学路で地震や大雨にあったら」の学習
全校一斉「皆で協力!避難所生活」の学習
活動において工夫した点
避難所体験学習「皆で協力!避難所生活」では,災害時に地域住民の避難所となる体育館に,全校児童が協力してブルーシートと畳(正方形の薄いもの)を敷き,簡易間仕切りも立てて居住スペースを作り,非常食を分け合って食べた。各班の班長には防災無線機が渡され,消防署員による救急搬送の演示を間近で見るなど,非常時さながらの体験学習を行うことができた。大牟田市防災対策室と大牟田消防本部の協力を得て実現したこの学習の様子はNHK総合テレビで放送されたほか,読売新聞でも報道された。
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資料なし