西日本豪雨災害(三丘災害)を忘れないための取組

周南市立三丘小学校

活動に参加した児童生徒数/6学年11人
活動に携わった教員数/2人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/3人

実践期間2019年11月22日~2020年2月28日

活動のねらい

三丘小学校のある周南市の熊毛地区は、「平成30年7月豪雨」による災害を受けた地区である。学校周辺や主要な道路が冠水し、陸の孤島と化した。家屋の倒壊や床上浸水などにより、本校児童を含む多くの住民が被害を受け、復旧するまでにたくさんの時間を要した。しかし、時が経ち、災害の傷跡が消えていくにつれて、人々の記憶からも災害に対する危機感が薄れてきているように感じられた。そこで、本校高学年により、「平成30年7月豪雨を忘れない・繰り返さない」をテーマに学習を進めることにした。子供たちとの話し合いを行った結果、防災減災リーフレット(三丘版)を作り、地域に発信していくことにした。
学習課題『三丘に必要な防災減災について考えよう』

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
1 三丘に必要な防災・減災について考えよう
 ① 東日本大震災(気仙沼市)の被害の様子や減災教育などの取組について理解する。
 ② 三丘地区の防災・減災に必要なものは何かを考える。
 ③ 平成30年7月豪雨について調べる。
2 三丘地区の防災・減災について深めよう。
 ① 被災地に行って確かめる。
 ② 三丘地区の土地のつくりについて学ぼう。
3 三丘地区に必要な防災減災リーフレットを作ろう
 ① ゲストティーチャーに教わった事を生かして。
 ② 専門家の意見を聞いて改善しよう。
4 三丘地区の防災減災について発信しよう。
 ① リーフレットを生かす方法について考える。
 ② 地域に発信する方法について考える。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。   昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修会に参加したことで、防災減災教育は地元に根付いた学習であり、教育であると感じた。三丘という地を理解することが防災減災教育の第一歩となる。そこで、地元の人をゲストティーチャーとして招き(助成金活用の1つ)、語り部として災害の状況を聞いたり、三丘の地質について学んだりした。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
防災減災教育は、画一的なものではなく、小中学校の数だけそれぞれに合った防災減災教育が存在する。この視点をもつことで、三丘小学校独自の防災減災教育を進めるという意識をもって学習に取り組むことができている。現在、子供たちは、三丘地区の地図や校区内の写真(災害の様子)を見ながら、リーフレットづくりに励んでいる。地域に根付いた学習が進められている。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・ゲストティーチャーを招き、実際に災害を受けた現場に行って、災害時の写真と比べながら、当時の様子を説明してもらった。これまで、「平成30年7月豪雨」で三丘地区がどのような被害を受けたのかを子供たちはあまりよく知らず、被害の写真を見ても、どこか他人事であったり、過去の話で済ましているような感覚があった。現場での学習は浸水時の深さや広さなど体験的に実感することができた。
・大学の教授を招いて、三丘地区の地質の様子と災害との結びつきについて学習した。砂山を使って、土砂災害が起きる様子や起きた後の地形について学んだ。その後、地図を見ながら、三丘地区が土砂災害と結びつきの強い地域ということを発見することができた。
・子供たちは、故郷三丘のことをこれまで以上によく知ろうとする態度で学習を進めることができた。
教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・保護者・地域が連携して、三丘の防災減災教育を今まで以上に力を入れて進めていこうとするプロジェクトが立ち上がり、子供たちも含めて意識を高めているところである。
・これまで、防災減災教育がはっきりと位置付けられていなかったが、昨年度の災害を機に総合的な学習の時間に位置付け、継続的に学習することにした。
・防災の関係機関の方が児童と連携する機会は乏しかったが、今年度は様々な活動に講師として、または、アドバイザーとして、児童と連携することができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
三丘小学校では、高学年で防災減災学習を行える期間が数ヶ月しかない。その期間を有効に使うには、毎年0からスタートするのではなく、前年度の実践を受け継いで、その反省を基に新たなものを加え、次年度へ残すという形を取るのが理想的である。そのため、年度末には6年生の卒業研究として、防災学習の成果を発表する機会を作った。防災学習がより良いものへと常に上書きされる、終わりのない活動になるようにしていきたい。

 

 

 

 

 

活動内容写真

活動において工夫した点

地域人材の活用を行うことで、地域密着型の防災減災教育が可能となる。三丘に必要な防災減災という観点で学習を進めることができた。

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