自らの身を守り,乗り切る力の育成~東日本大震災の教訓を生かして~
気仙沼市立面瀬小学校
活動に参加した児童生徒数/1~6学年320人
活動に携わった教員数/26人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/321人
実践期間2016年4月18日~2017年3月13日
活動のねらい
(1)実践的な避難訓練を計画的に行うことで,地震や津波などから自らの身を守る方法を知る。
(2)副読本「未来へのきずな」を計画的に使用することで,地震や津波,台風など,自然災害について知り,自らの身を守るために役立てる。
活動内容
1)助成活動内容
◎教職員全体での研修会(防災関係の年間指導計画と通学路の安全点検結果の共有)(4月)
(1)「防災訓練の日」における避難訓練
①高台までの避難訓練(4月)→②集団下校の整列訓練→※③防犯教室(不審者対応)(以上5月)→
④地震想定避難訓練(校庭)→⑤面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練「事前訓練」(以上6月)→
⑥業間時避難訓練→⑦集団下校訓練(以上7月)→
⑧面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練(津波想定※地域)(9月)→
⑨特別教室からの避難訓練Ⅰ(10月)→※⑩防災訓練(火災)(11月)→
⑪緊急地震速報における避難訓練(学童保育との合同訓練)(12月)→⑫特別教室からの避難訓練Ⅱ(1月)→
⑬清掃中の第1次避難訓練
(2)「防災の日」における学習~副読本「未来へのきずな」(宮城県教育委員会制作)の活用~
※毎月1回,防災の日を定め,業前の時間(15分間)にモニターなども使 (第5学年の授業風景)いながら指導を行っている。
※全学年計画的に実施しているが,紙面の都合で第5学年の題材名のみ紹介する
月
題材名
月
題材名
4月
・東日本大震災を忘れない
10月
・津波の特徴(津波の原因,速さ)
5月
・復旧・復興への歩み
11月
・津波の特徴(東日本大震災)
6月
・みらいへつなぐ
12月
・津波の歴史
7月
・宮城県の気象災害
1月
・火山の歴史
8月
(なし)
2月
・風水害の危険と備えについて
9月
・地震の仕組み
3月
・ハザードマップの活用
2)成果
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
(1) 地震・津波に対する様々な形での避難訓練を設定し,さらに年間を通しての避難訓練にしたことで,児童も違和感なく適切な避難行動が取れるようになっている。
(2) 東日本大震災から6年が経過し,被災体験や大震災の記憶がほとんどない児童もいる。あるいは記憶の風化も懸念されている。その意味でも本校における「防災の日」の学習における減災(防災)についての知識面の系統的な積み上げは,児童の防災・減災意識の向上に役立っている。
成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力を身に付けたか。
(1)本校では,12月以降,避難訓練の度に高学年児童全員に感想を書いてもらい,児童の訓練に対する意識を把握している。12/15(木)の「緊急地震速報による避難訓練」では,「私は,3.11の大震災の教訓を生かすため,このような避難訓練は大切だと思います。」「私は,急に緊急地震速報が鳴ったので,びっくりしてすぐに机の中に入りました。そしたら,放送が鳴って「訓練」と言っていたので安心しました。地震はこんなに急に来てパニックになることが改めて分かりました。」(以上6年児童)の感想を書いている。また,1/19(木)の「特別教室からの避難訓練」では,「教室からではない所から避難したので,かくれ方や場所をすぐに考えられなかったので,訓練でそういうところを知っておきたいです。」「寒い日に避難するときには,寒さ対策が大事と思った。」(以上5年児童)との感想からも,児童なりに各種避難訓練の大切さを自覚していることが十分に伺えた。
(2) 5年児童は,「防災の日」で「津波の特徴」「津波の歴史」の指導を受けてきた。5年児童の感想では,「明治39年に三陸地震があって,震度2~3の地震の揺れは小さかったけれど,それでも津波が来ることが分かった。」「宮城県沖地震は平均すると37年間隔で発生していることが分かってびっくりした。気を付けたいと思った。」と感想を書いている。防災の日で学ぶ,知ることは,児童の命を守る意味で意義は大きい。
成果③ 教師や保護者,地域,関係機関等の視点から
(1)「面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練」は,小中学校と地域連携の形で進めてきている。私が担当させていただいてから3年になるが,今年度は,中学校からの要望もあり,6月に小・中学生,PTAの役員,自治会長や自治会の方々との顔合わせを行ってきた。その成果が実り,9月の避難訓練本番では,中学生が役割を自覚し,名簿作りで見られた反省を克服でき,スムーズな運営に繋がったことが,教職員並びにPTA役員の感想からも知ることができた。児童生徒の避難訓練の様子,整列態度も年1回の時よりよくなっている。
(2)12/18(日)の地元新聞「三陸新報」掲載の記事に,本校学校評議員で地域の自治会長をされている方からのコメントが掲載されていた。「震災を経験して防災対策の重要性を強く認識した。自主防災立ち上げの準備を進める。地元小・中学校との合同訓練などを重ねながら地域全体の防災意識高揚を図り,組織化につなげたい考えだ。」とのこと。自治会長の方からも,「小中学校の訓練に自治会が乗っている形となっているので,自治会でも頑張りたい。」とのお話も直接いただいている。地域との訓練がきっかけとなり,地域の防災意識向上にも繋がっている点は嬉しい。
3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
(1)次年度の「面瀬小・中学校登下校時避難訓練」では,地域との連携をより密にし,①自治会長等地域の方が,児童生徒の人数把握を確実に行う方策 ②携帯電話が使えない場合を想定し,高台の避難場所から学校にどのように児童生徒の様子を報告するかの仕組み作りの2点を検討し,より実践的な避難訓練に近付ける。
(2)教育課程に余裕のない中で,実際「防災の日」を「防災訓練の日」の事前指導に当てたいとの声も一部にあがったのも事実である。そこで,次年度は,防災訓練の日の事前指導の時間を別枠で設けることで教職員間の共通理解ができている。
◎教職員全体での研修会(防災関係の年間指導計画と通学路の安全点検結果の共有)(4月)
(1)「防災訓練の日」における避難訓練
①高台までの避難訓練(4月)→②集団下校の整列訓練→※③防犯教室(不審者対応)(以上5月)→
④地震想定避難訓練(校庭)→⑤面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練「事前訓練」(以上6月)→
⑥業間時避難訓練→⑦集団下校訓練(以上7月)→
⑧面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練(津波想定※地域)(9月)→
⑨特別教室からの避難訓練Ⅰ(10月)→※⑩防災訓練(火災)(11月)→
⑪緊急地震速報における避難訓練(学童保育との合同訓練)(12月)→⑫特別教室からの避難訓練Ⅱ(1月)→
⑬清掃中の第1次避難訓練
(2)「防災の日」における学習~副読本「未来へのきずな」(宮城県教育委員会制作)の活用~
※毎月1回,防災の日を定め,業前の時間(15分間)にモニターなども使 (第5学年の授業風景)いながら指導を行っている。
※全学年計画的に実施しているが,紙面の都合で第5学年の題材名のみ紹介する
月 | 題材名 | 月 | 題材名 |
4月 | ・東日本大震災を忘れない | 10月 | ・津波の特徴(津波の原因,速さ) |
5月 | ・復旧・復興への歩み | 11月 | ・津波の特徴(東日本大震災) |
6月 | ・みらいへつなぐ | 12月 | ・津波の歴史 |
7月 | ・宮城県の気象災害 | 1月 | ・火山の歴史 |
8月 | (なし) | 2月 | ・風水害の危険と備えについて |
9月 | ・地震の仕組み | 3月 | ・ハザードマップの活用 |
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
(1) 地震・津波に対する様々な形での避難訓練を設定し,さらに年間を通しての避難訓練にしたことで,児童も違和感なく適切な避難行動が取れるようになっている。
(2) 東日本大震災から6年が経過し,被災体験や大震災の記憶がほとんどない児童もいる。あるいは記憶の風化も懸念されている。その意味でも本校における「防災の日」の学習における減災(防災)についての知識面の系統的な積み上げは,児童の防災・減災意識の向上に役立っている。
成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力を身に付けたか。
(1)本校では,12月以降,避難訓練の度に高学年児童全員に感想を書いてもらい,児童の訓練に対する意識を把握している。12/15(木)の「緊急地震速報による避難訓練」では,「私は,3.11の大震災の教訓を生かすため,このような避難訓練は大切だと思います。」「私は,急に緊急地震速報が鳴ったので,びっくりしてすぐに机の中に入りました。そしたら,放送が鳴って「訓練」と言っていたので安心しました。地震はこんなに急に来てパニックになることが改めて分かりました。」(以上6年児童)の感想を書いている。また,1/19(木)の「特別教室からの避難訓練」では,「教室からではない所から避難したので,かくれ方や場所をすぐに考えられなかったので,訓練でそういうところを知っておきたいです。」「寒い日に避難するときには,寒さ対策が大事と思った。」(以上5年児童)との感想からも,児童なりに各種避難訓練の大切さを自覚していることが十分に伺えた。
(2) 5年児童は,「防災の日」で「津波の特徴」「津波の歴史」の指導を受けてきた。5年児童の感想では,「明治39年に三陸地震があって,震度2~3の地震の揺れは小さかったけれど,それでも津波が来ることが分かった。」「宮城県沖地震は平均すると37年間隔で発生していることが分かってびっくりした。気を付けたいと思った。」と感想を書いている。防災の日で学ぶ,知ることは,児童の命を守る意味で意義は大きい。
成果③ 教師や保護者,地域,関係機関等の視点から
(1)「面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練」は,小中学校と地域連携の形で進めてきている。私が担当させていただいてから3年になるが,今年度は,中学校からの要望もあり,6月に小・中学生,PTAの役員,自治会長や自治会の方々との顔合わせを行ってきた。その成果が実り,9月の避難訓練本番では,中学生が役割を自覚し,名簿作りで見られた反省を克服でき,スムーズな運営に繋がったことが,教職員並びにPTA役員の感想からも知ることができた。児童生徒の避難訓練の様子,整列態度も年1回の時よりよくなっている。
(2)12/18(日)の地元新聞「三陸新報」掲載の記事に,本校学校評議員で地域の自治会長をされている方からのコメントが掲載されていた。「震災を経験して防災対策の重要性を強く認識した。自主防災立ち上げの準備を進める。地元小・中学校との合同訓練などを重ねながら地域全体の防災意識高揚を図り,組織化につなげたい考えだ。」とのこと。自治会長の方からも,「小中学校の訓練に自治会が乗っている形となっているので,自治会でも頑張りたい。」とのお話も直接いただいている。地域との訓練がきっかけとなり,地域の防災意識向上にも繋がっている点は嬉しい。
3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
(1)次年度の「面瀬小・中学校登下校時避難訓練」では,地域との連携をより密にし,①自治会長等地域の方が,児童生徒の人数把握を確実に行う方策 ②携帯電話が使えない場合を想定し,高台の避難場所から学校にどのように児童生徒の様子を報告するかの仕組み作りの2点を検討し,より実践的な避難訓練に近付ける。
(2)教育課程に余裕のない中で,実際「防災の日」を「防災訓練の日」の事前指導に当てたいとの声も一部にあがったのも事実である。そこで,次年度は,防災訓練の日の事前指導の時間を別枠で設けることで教職員間の共通理解ができている。
活動内容写真
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活動において工夫した点
(1)例年2学期までに終了していた避難訓練を今年度は3学期にも2つ加え,避難訓練の通年化,日常化を図った。「防災訓練の日」の訓練内容では,高台までの避難訓練(4月),面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練「事前訓練」(6月),緊急地震速報における避難訓練(学童保育との合同訓練)(12月),特別教室からの避難訓練Ⅱ(1月),清掃中の第1次避難訓練(2月)とバリエーションを増やして取り組み,地震・津波に対する避難訓練を強化してきた。
(2)「面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練」は例年一回の実施だったが,前年度の反省を受け,地区毎にある高台の避難場所(計12カ所)に避難する小学生と中学校,自治会長や地区PTAの役員,保護者との顔合わせを事前に6月に実施した。新年度になって互いに顔を知ることは,児童生徒間の安心感,信頼感に繋がり,9月本番の「面瀬小・中学校合同登下校時避難訓練」の際の迅速な避難行動,人数確認に大変役立っていた。
(3)「防災の日」で活用している副読本「未来へのきずな」は,低,中,高学年毎の編集となっている。そこで,学年間での指導内容が重複しないよう毎年見直し,題材一覧表を年間計画で示し,系統立てている。
(4)2年前に作成したカラー版「面瀬地区総合安全マップ」に掲載している緊急時の避難行動の部分について一部見直し,補足したプリントを各家庭の掲示用として配布し,自治会長にも協力を求めた。
資料ダウンロード
資料なし