地域と共に防災・減災文化の基礎を構築し、次世代に継承しよう

紀北町立船津小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年27人
活動に携わった教員数/8人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/48人

実践期間2018年6月4日~2019年2月15日

活動のねらい

〇当地域は南海トラフ等により、地震・津波による被害が深刻である。防災・減災教育を地域(地域自主防災会)と共に推進することによって、「自らの命は自らの手で守る」・「私たちの町は私たちの手で守る」の自助・共助の精神を児童及び教職員に涵養する。そのために、地域の防災・減災文化の定着のための努力や工夫を、地域と協働して積み上げていく。
〇また、当地域は降水量が非常に多い地域である。十数年前には、集落が床上1m~3m前後と、かなりのダメージを受けている。地震・津波に加え、台風・洪水・河川の氾濫に対しても自助・共助の精神を涵養する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
〇過去の風水害から学ぶ。【13年前の大水害の状況を聞き取り、自治会・地域自主防災会と協働して、地域の取組を集約する。特に、5.6年生を中心に。】………6月~7月
〇1.2年生→登下校中の避難経路を家庭と共に確定する。(フィールドワーク)
 3.4年生→各家庭や校内の「耐震グッズ・転倒防止グッズ」等をまとめる。(校内フィールドワーク)
 5.6年生→校区内の危険箇所・安全な避難経路の洗い出し。(フィールドワーク)さらに、非常持ち出し袋の
       中身についての検討。………9月~11月
〇児童が各学年で学習した内容を地域に「防災・減災学習発表会」と題して発信する。【12月11日と12月16日の2日間に分けての発表会】特に、12/11は起震車での体験を含む。【学習の振り返りは1~2月】

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。     昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
〇これまでは、非常持ち出し袋等に関して「どのようなグッズを準備すべきか」だけで終わっていた学習が、「どの金額の物を何個準備すべきか」そして「それが本当に必要なものなのか」等、優先順位を考える中で臨場感のある学習ができた。
〇東北で被災された方々の生の声を紹介することによって、ネットや書物をとおして人々の苦労や苦悩にふれる機会が多くなり、『自助』から『共助』へ、そして『公助』の重要性へと目が向けられていった。
〇本校での2次避難場所・3次避難場所の安全性の検証にこれまで以上に向き合うことができ「避難所の安全確保」・「避難所の安全運営」への視点が芽生えた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
〇「避難訓練」に関して、『管理職不在時想定』・『休憩時間想定』・『給食時想定』等々、様々なケースでの訓練の必要性を感じ、プログラムを修正しながら避難訓練を行った。
〇保護者への引き渡しについて、保護者の意見を聞き取る中で、保護者への啓発にも繋がった。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
〇登下校時の被災について考える中で、途中にある避難場所をどのように活用するのかという視点で、保護者を巻き込んだ話し合いができた。これは、児童の危機意識に変容があったためで有り、保護者と学校の連携も強くなった。
〇児童が災害に対して過剰な恐怖心を抱くよりも、どのように自分の身を守るかという視点で考えられるようになりつつある。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
〇保護者や地域が「防災・減災教育学習発表会」への参加をとおして、避難場所の再整備を急速に進め、行政への要望も地域住民の総意として訴える機運が高まった。(再整備の必要な避難場所は10箇所中3箇所ある。)

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
〇非常食や飲料について、約5年周期での買い換えが必要である。そのため、PTA会費の約10%を活用して、その5年周期に備えるよう、本部役員会で決定した。(来年度の総会で承認する。)
〇10箇所の中の2箇所の避難場所の再整備には、かなりの労力が必要である。地域自主防災会と協働して、その避難場所の改修に着手することを確認した。(行政への要望も含めた内容で検討していくことを確認した。)
〇児童の災害に対しての恐怖心のある程度の払拭がこれからの課題である。

活動内容写真

活動において工夫した点

〇南北に約3kmの細長い校区には、10箇所の避難場所が設置されている。その登下校中に活用するかもしれない避難場所に対して、地域も自主防災会も保護者も高い関心を持ってくれるようになり、「全児童が周知している地域の避難場所」というとらえ方ができている。その避難場所の再整備を学校と地域・自主防災会が協働して行うことの意義は大きいと考える。

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