子どもから拡げる日常的な防災教育

八尾市立北山本小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年173人
活動に携わった教員数/25人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/450人

実践期間2019年4月8日~2020年1月31日

活動のねらい

阪神淡路大震災や、東日本、熊本地震等誰もが予期できなかった災害が起こっている。さらに、昨今では、南海トラフ地震が予期されている。その中で、本校区に置いては、若者や保護者は校区外に仕事に行き、昼間は高齢者と児童だけが在住している状態にもなっている。また、本校区には治水緑地公園がある。日常的には、人々の憩いの場であるが、いざ台風やゲリラ豪雨で山から流れ出る水が恩智川を通じて第2寝屋川に流れ込む。その直前に治水緑地があり一時的に水が溜め込まれる。2018年の台風21号では、治水緑地公園の水位が危険水位まで上がっていた。台風等で、避難所になる通学路が使えなくなったり、災害内容によっては、避難する所を変更したりしなければならない。
いざという時に備えて、想定外を少しでも想定内にしておくために日常的に学んだことを継続していく方法を考え、学校教育の一環とした。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
5月・・地域一斉避難訓練
    避難サイレン(学校・地域)9:00スタート、
    学校・運動場に全員避難、地域・一時避難所である公園に集合、
    学校・6年生が一時避難所に向かい出発、その後、学校体育館まで誘導訓練
    1~5年生は、煙中体験・水消火器訓練・バケツリレー体験・消防署の方の講和(順次)
    6年生、体育館誘導後、1~5年生に合流
    地域の方は、体育館避難後、消防団の方の話。
    6年生と地域の方で仮設トイレ組み立て体験。
    1~6年生は、11時に教室に戻り、振り返りとまとめ。
5月・・6年生 将来のための自分探しの学習(自学) テーマ:地震
         社会の出来事をとらえての防災・減災教育(朝の会・終わりの会を使って)
9月・・6年生 将来のための自分探しの学習(自学) テーマ:自然災害
10月・・4年生 東大阪防災センターの見学 消防隊員のお仕事・地震にそなえて
10月・・市民スポーツ祭(小学校区家庭対象 学校と地域で企画)
      参加者全員による防災リレー(担架づくり)
      いざという時に備えて、速さより、正確さを! 子どもから高齢者まで
11月・・日曜参観 自分探しの学習 (テーマ 防災)プレゼン発表会
1月17日・・阪神淡路大震災から25 (東京海上日動による出前防災学習)

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。    昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・防災教育として避難訓練等を行なっていたが、「想定外を想定内」にまた、「自助」という視点で児童に教育するために教職員の共通理解がはかれた。
・自然災害のニュースがあるたびに児童が自分ごととして考え、興味を持ち自学にいかせるようになってきた。
・地域と連携して、市民スポーツ祭の中に防災プログラムを取り入れることができた。
・日曜参観での児童の発表会に「防災」をテーマに児童が調べたことを、保護者の方に伝え、意識付けさせることができた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・防災教育として受け身だけではなく、自ら視点をもって調べる、体験することが大切であると感じた。
・「想定外を想定内に」をテーマに実践してきたつもりではあるが、いざというときにどれだけ身についているのかもう少し実感できる教育も考えていけないと思う。
・子どもから拡げる防災教育を行ったが、地域全体で日常的に高め合える工夫も必要だと思う。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・身近におこる自然災害に目を向け、調べてみようとする資質が育ってきた。
・それぞれの自然災害によって、自助するためにどのようにすればいいのか考える資質が少しついてきた。
・非常時に備え、どのようなものが必要となるか考える態度が身についてきた。
・普段当たり前に思っていることが、災害を受けると当たり前ではなくなることに気付きを持てた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・いろいろな場面を想定して訓練や体験をすることで、身についていくと感じた。(教師)
・児童が進んで調べてくることに驚いた。そのことを、学級指導にいかせる場が増えた。(教師)
・日曜参観での子どもの発表を聞き、改めて防災について考えることができた。(保護者)
・日常的に意識して備蓄しておく大切さを感じた。(保護者)
・地域からは、昼間に災害が起こると、地域には高齢者と子どもだけになるから、今後も一斉に避難訓練をするとともに、体験した子どもを増やしていってほしい。(地域)
・地域とともに避難訓練等を実施することで、近隣に住んでいる人の顔、名前を覚えて行くことができるとともに、日常の安全にもつながってきた。(地域)

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・単発的な取組でなく、次年度以降も取組が継続されるよう考えていく。
・取組がマンネリ化しないように、地域の中でも対象(高齢者・ひとり暮らし・障がい者等)を変えていくことにより実施していく。
・自分たちの住んでいる所は安全だとの過信から、地震では、水害では、といった災害に備えた意識の必要性や継続性について持続させていく。
・経験・体験した児童を年々増やしていくことや、人事異動等で入れ変わる教職員と地域の結びつき、連携が今後の課題ともなる。

 

活動内容写真

活動において工夫した点

・自学に防災を取り入れるためにも、社会で起きている事象をタイムリーに学級担任から自分事と捉えられるよう学級指導に取り入れる。(校内の共通理解)
・地域とともに行う防災教育では、企画段階から意図を持って会議に臨むとともに、日常的に地域の方々と協力した取り組みを進める。
・学校が避難所として機能するだけでなく、備蓄倉庫に中に何が入っているのか、仮設トイレの設置組立て方法等一部の人だけでなく、共有することができた。
・日曜参観で児童の発表を取り入れたが、児童の学習に対しての意欲だけではなく、いざというときに備えて各家庭が知っておくべき内容を精選しながら発表者を決めていった。
・地域の方と協力して行うことにより、通学路等での安全面に対する意識が高まってきた。

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