災害に備えた地域住民との参加型避難訓練の実施と地域共有マニュアルの作成および運用

豊田市立藤岡南中学校

活動に参加した児童生徒数/2学年120人
活動に携わった教員数/38人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/170人

実践期間2015年5月18日~2015年10月30日

活動のねらい

東海、東南海地震で震度6弱が予測されている中で、子供たちが避難所生活を通して起こりうる問題を自ら体験することで考え、HUG(避難所運営ゲーム)、炊飯、PHV運用を通して防災意識を高める。また、災害時に地域の方や各種団体の人と協力して避難所運営に役立つ生徒の育成を図る。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
『学校を主体として防災教育の推進モデル開発』
(1)防災教育を教科の内容や総合的な学習の時間と関連付けてカリキュラムを作成、実践する。
・防災学習学年として位置づけ、年間指導計画を作成。生徒の心の動きを予測した学習活動の展開。
(2)地域住民や消防、高校や大学などの関連機関と連携して専門的な知識や技能を取得する。
・総務班、情報班、炊き出し班、救護班それぞれに分かれて、専門的な技能と知識の学習。
(3)東日本大震災の記憶を風化させないために、東北の中学生や津波被害の農家との交流。
・岩手県 釜石市立釜石東中学校、大槌町立大槌中学校の生徒との交流
・イーストファーム宮城より津波被害の農地の土壌改良のための綿花の種をもらい、学校で一人一苗を育成。糸紡ぎ体験までを実践。
(4)参加型避難訓練 防災キャンプの実践をもとに他地域へ向けた避難所運営マニュアルの作成、運用。
・地域に向けて学校が発信して、防災キャンプの実践が可能になるよう避難所開設までの授業の実践記録や学習プリント、学校が準備するもの、必要な経費等を掲載。

2)9月研修会での学びから自校の実践に活かしたこと、研修会を受けての自校の活動の変更・改善点、
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点、助成金の活用で可能になったことなど。
気仙沼市立松岩小学校での防災学習シートの活用と実践や階上小学校での委員会活動と防災教育の連携の形を知り、防災学習の実践例が学校現場に少ないということ、それを進める校務分掌と役割分担の明確化が必要だと考えた。今回のプログラムに参加することで、学校の教師だけでは十分な防災教育を展開するのは困難であるということ、専門的知識や技能を地域から発掘することにより防災教育の充実だけではなく、地域の防災意識の高揚にも学校が担うことができると考えるようになった。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
昨年度の防災教育では、2年生全員にダンボールシェルターの組み立てや応急処置訓練、HUGの実践などをやっていたが、今年度のねらいは、ひとりが一役、避難所で誰かのために自分が学んだことを生かすということに設定した。各班で外部講師を依頼したり、授業で地域住民とHUGをやったりすることでその道の専門的知識や技能を少人数で実践することができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
防災キャンプ当日は、自分の役割を自ら動いて果たす姿が多くみることができた。ESDの8つの身に付けたい力を防災という観点で、総合的な学習で付けたい力を明確にして授業を展開することができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
防災キャンプ担当学年、担当教員だけが準備、地域との折衝、連絡等を行うのではなく、防災教育を進める上で必要な分掌と役割を明確にする必要性があることを学んだ。階上小学校での委員会活動が防災という視点になると、担当教員も生徒も炊き出し、情報などの班になるということやエリアごとに防災主査を各学校に配置し、防災教育の向上に日ごろから努めているということを学んだためである。
また、防災教育を学校から発信するという視点では、学校以外の大人との交流の場を生む大きな要因となった。消防隊員や調理科のある地元の高校生、土木工学科のある大学と連携し、授業に参加してもらうことで防災教育での専門的知識、技能の習得だけではなく、異年齢との交流という新たな地域の力を学校に取り込むという結果につながった。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
地域にある愛知工業大学 地域防災センターと連携し、地域調査を土木工学の視点を取り入れ、避難時に必要な二次災害の危険性のある場所の限定、災害時に使えるものをリスト化し、学校のHPに貼り付けて、校区の方がいつでも見ることができる環境を整備することとなった。それにより、小学校で実践している地域調べを防災という視点を取り入れることで、今回のハザードマップを毎年更新していくことができるという小中連携の形を作ることができた。

活動内容写真

活動において工夫した点

防災キャンプマニュアルを作成するという視点で防災教育活動を実践し、他地域へ自分たちの活動を伝
えるために学んでいるという位置づけをすることができた。生徒自身が他の地域でこれを読んで、防災キャンプをするためには、何が必要で、どんな判断基準で、どんなことが課題になるのかを考えながら進めることができた。さらに、前年度の活動を教員で振り返ることで、どんな力を付けるのか、そのために継続するべき活動と重複している価値を見つけることで、総合的な学習の時間を有効活用することができた。大人の学校の授業への参加をどのタイミングで、何を一緒に学んでほしいのかを明確にし、地域の防災意識の高揚へとつなげることができた。

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