高校生が広める減災・地域防災への取り組み(生徒会の連携から地域の連携へ)

北海道標津高等学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年170人
活動に携わった教員数/20人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/15人

実践期間2018年5月7日~2019年3月25日

活動のねらい

①高校生による地域へ向けた減災広報活動や避難所運営ゲーム(HUG)の普及を行い、防災に対する意識向上を図る。(地域住民との連携)
②本校生徒から全校生徒、地域の児童・生徒へ向けて、震災ボランティアの報告や避難所生活に関わる
減災教育を実施し、東日本大震災に対する記憶の風化を防ぎ、自ら命を守る大切さを伝える。(生徒からの
発信)
③近隣高校との生徒会交流を通し、高校生が主体となった減災教育について浸透を図り、活動を広める。
※以上の活動をまとめ、本校が避難所としての機能について町役場へ提言を行う。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
(a) 授業「科学と人間生活」内でのHUG実施
   5月に1学年で実施。本校を避難所と想定。
(b) PTAとHUG (写真:PTA1~4、報告1~2)
   8月下旬 HUGに関する打ち合わせ(標津町防災担当・標津高校PTA担当・標津高校生徒会担当)
   9月下旬 保護者・地域住民へ告知(開催要項配布)
   9月29日 生徒会リーダー研修において、本校の減災活動について事前学習
   10月11日 HUG事前準備(校内図作成、必要物品の準備)
   10月12日 避難訓練(地震からの津波を想定、高台へ避難)
          被災地支援ボランティア活動報告(本校生徒2名)
          防災講話(標津町防災担当)
          HUG当日(標津高校 視聴覚教室)
           研修の説明(担当教諭 鈴木)、実践(生徒、保護者、地域住民の混成チーム 6班)
          振り返り(標津町防災担当及び校長)
(c) 生徒会交流会(羅臼高校) (写真:羅臼1~2)
   12月22日  HUG(羅臼高校を避難所と想定)、非常食試食、行事運営に関する情報交換
(d)「避難所としての標津高校」を標津町へプレゼンテーションする(写真:校内1~2)
   1月26日 標津高校が避難所となった場合の活動計画作成
         活動の振り返り、校内物品確認、避難所受入時の準備・行動等を作成
        「避難所としての標津高校」を標津町へプレゼンするための準備
   3月13日 標津町防災担当へプレゼン
         「避難所としての標津高校」について、備蓄等の要望
          →以後、町関係者(町長・教育委員会等)へプレゼンするための準備を行う
(e) 生徒会交流会(釧路) (写真:釧路1~2)
   3月25日  生徒会交流会(釧路湖陵高校・釧路工業高校・釧路東高校・阿寒高校・標津高校)
          HUG(釧路工業高校を避難所と想定)、非常食試食、行事運営に関する情報交換

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・階上中学校で行っている避難所設営訓練の話や、設営マニュアルを目にできたことで、本校が避難所になった場合に必要な準備や手順をイメージすることができた。昨年度から助成金を受けることにより、他校訪問における移動手段の確保ができ、研修を通し、本校での活動を伝えることができた。また、非常食を試食することができた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・学校行事の中に、防災・減災に関する取り組みを入れることにより、今までは「生徒会」だけの取り組みだったものが、「学校全体」の取り組みとなり広がりを見せた。また、教職員全体に、防災に対する意識が高まった。
・「業務継続計画(地震・津波対応)」の見直しや、非常用設備(自家発電機・オイルタンク等)の点検・メンテナンスを行う契機となり、わずかではあるが備蓄用の非常食等の整備が進んだ。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・授業の中でHUGを行うことによって、防災意識についての下地が形成された。
・生徒会役員は、複数回のHUGの経験を通して、主体的に物事に取り組む姿勢を身につけることができた。特にHUG初心者に対しては意図を汲みながら適切に助言を行うなどの様子が見られた。このことにより、「防災リーダー」の育成に寄与することができた。
・被災地支援ボランティア活動報告会では、全校生徒へ向け発表することで、生徒の視点から見る防災・減災の側面を共有することができ、日頃からの備えの重要性について考えることができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・保護者からは、被災者としてではなく運営の立場で考えることによって、新たな発見をすることができた。
・地域住民の立場から、標津高校での取り組みに対し興味を持ってくれるようになり、今回一緒にHUGを行うことで地域とのつながりを持つことができた。また、有事の際には地元企業を通し、避難所運営の協力を申し出ていただいた。
・生徒会交流会の様子が新聞に掲載されたことにより、他校からの問い合わせがあり、それがきっかけで新たな交流会を企画することができた。
・役場防災担当の立場からは、学校と地域住民が合同でHUGを行うことで、両者が連携して避難所を運営していくことの必要性について学ぶことができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・更なる地域との連携が必要であると感じている。今年はPTA、地域住民とのHUGを行ったが、次年度は更に「町内会」を加えたHUGを行いたい。
・高校をもっとオープンな場へとするための取り組みが必要である。(学校祭などのイベントで多くの地域住民に気軽に足を運んでもらえるようにしたい)
「HUGを通して高校生と地域住民が交流」⇒「お互いを理解」⇒「有事の際の避難所に『知っている顔がある』⇒「安心して避難」⇒「共同で避難所運営」⇒「スムーズな避難所運営」⇒SDGs #11「住み続けられる街づくりを」に貢献
・本校の取り組みを引き続き発信することで、根室管内の防災教育の拠点校として他校とのHUGの研修等を生徒自らが企画立案し、実践できるようにすること、また、そのための予算確保。

 

 

活動内容写真

活動において工夫した点

・地域の特性を意識した活動を行うことができた。
・「高校生」が主体となり、外へ向けて発信することにより、生徒のコミュニケーション能力の向上に寄与した。特に、避難所運営は「誰かがやってくれる」ではなく、「自分たちでできる」という考えに変わってきている。

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