防災学習を通して災害について知り、自分にできることを見つけ行動しよう。

千葉県立桜が丘特別支援学校

活動に参加した児童生徒数/小学部67人、中学部28人、高等部62人
活動に携わった教員数/100人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/30人

実践期間2017年4月3日~2018年1月31日

活動のねらい

・防災学習を通して災害を身近に感じ,自分にできることを主体的に取り組む。
・学校,保護者,地域,関係機関等が「つながり」を深め,防災について意見交換する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
○防災体験(7月)
・起震車体験,消火器体験,煙テント体験
○火災(5月),不審者(8月),地震(11月,1月)を想定した避難訓練
○引き渡し訓練(9月)
・中学部,高等部の児童生徒が実施
○地域合同の避難所開設訓練(9月)
・HUBゲーム,千葉市防災倉庫の保管状況の確認,炊き出し訓練
○自治会防災訓練への参加(11月)
・テントや仮設トイレの設置,消火器訓練,非常食の試食
○学校を核とした県内1000か所ミニ集会(12月)
・シンポジウム「学校の安全,安心を考える」~災害時における学校,地域,関係機関との連携~
○各学級における防災授業の実践(5月~2月)
<小学部の実践>
・「簡易防寒具・簡易クッション・紙皿づくり   *防災学習シートNo33」
・「防災○×クイズ   *防災学習シートNo1.38.39」
・「校内防災マップを作ろう   *防災学習シートNo4」
・「応急手当をしよう   *防災学習シートNo10」
<中学部の実践>
・「自分の非常食を確認しよう   *防災学習シートNo25」
<高等部の実践>
・「校内防災マップ作り   *防災学習シートNo4」
・「我が家の防災について調べよう   *防災学習シートNo8」
・「非常食実食体験   *防災学習シートNo25」
・「校内の防災設備を確認しよう *防災学習シートNo23」
・市原八幡高校との防災についてのディベート

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・9月の研修会から防災授業づくりのヒントを得た。配布された「防災学習シート」を活用し,児童生徒の実態に応じた授業づくりに役立てた。特に,児童生徒に身につけさせたい力をESDの視点から捉え,学習内容を選択することができた。
・災害時におけるマニュアルの新規作成(避難所運営マニュアル)や見直し(スクールバス危機対応マニュアル)を進めている。寄宿舎と連携し,夜間時の災害発生について考え,必要な防災用品について検討している。
・助成金で最新のトランシーバを購入し,引き渡し訓練や避難訓練時の児童生徒の迅速な安否確認や状況把握に役立てた。旧式のトランシーバは性能面で劣り,正確な情報をキャッチすることができなかったため,今回の助成金で購入できたことは大変役立った。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・減災(防災)教育プログラム研修で学んだ被災地の当時の状況やそこから得た教訓等を自校の職員に報告し,本校の防災教育に生かすことができた。また,今年度からユネスコスクールの機関包括型アプローチプロジェクト参加校として防災学習に力を入れたことにより,防災(減災)に対して教職員の意識が高まったと感じている。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・今回の実践で児童生徒が得た力の一つは,体験的な防災学習を通して,災害をより身近な物として捉えることができたことである(経験する力)。本校の児童生徒は,日常的に運動や移動面で支援を必要としているため経験に乏しく,受け身になりやすい傾向にある。また,知的に遅れがある場合は言葉や映像だけの説明では状況の理解が難しい。そのため,災害の怖さやそれによって生じる環境の変化を身体で感じて理解することが必要であり,体験的な学びは非常に重要であった。そして,もう一つは,こうした学習の積み重ねによって,障害があっても自分にできることがあることに気づくことができたことである(経験して学ぶ力)。防災についての知識を得て,自分で考えて避難行動を取ったり,周囲の友達とコミュニケーションを図ったりするなど学習が進むにつれて主体的な態度が見られたことは,児童生徒の自信に繋がったとも言え,成果として大きい。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・避難訓練や引き渡し訓練では,教職員から様々な課題点が挙げられ,より安全に児童生徒の身を守り,避難させるための方策を検討することができた。
・「学校を核とした県内1000か所ミニ集会」(千葉県ならではの特色ある取組)では,学校職員,保護者,地域住民が災害時を想定した際の課題についてそれぞれの立場から活発に意見交換を行うことができた。今回は,行政やNPO,放課後デイサービスの方々も参加して頂き,「地域避難所としての本校の役割」や「地域や関係機関として学校のために協力できること」などについて話し合われ,今後もお互いが連携していくことの重要性を確認することができた。また,NPO(千葉災害ボランティア連絡委員会)方からは,意識の問題が最も大切であることや日頃から家庭が安全な場となるようにし,家族との連絡方法等も話し合っておくことが大切であるとお話頂けた。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
・防災学習を継続的,計画的に行うためのカリキュラムの構築が必要であると考える。
・今回の実践で児童生徒が経験して学んだことを日常生活の中に生かしていく必要がある。
・自立活動を主とした教育課程の児童生徒や重度重複の児童生徒の防災教育をどのように捉え,指導していけばよいか検討していく必要がある。
・防災学習を充実させていくために,NPOと連携しながら授業を進めたり,児童生徒の育てたい力を明確にするためにも「ESDの構成概念と重視する能力や態度」や「防災学習で目指す児童生徒の姿」を学校安全計画に明記していきたい。

 

活動内容写真

  • 全校実施の防災訓練の様子

  • 全校実施の防災訓練の様子

  • 地域合同の避難所開設訓練/自治会防災訓練への参加の様子

  • 地域合同の避難所開設訓練/自治会防災訓練への参加の様子

活動において工夫した点

・「防災学習シート」を活用する際,「活動の展開例」を障害をもつ児童生徒の実態に応じてアレンジすることで,学習の理解を深めることができた。
・行方不明者(車椅子の児童生徒)を想定した避難訓練や二次避難場所へ移動する(校舎2階から車椅子を降ろす)際の教職員の支援体制を工夫した。

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