自分の命を守り、助け合って生き抜くことができる児童の育成~SDGsの視点で防災・減災を考える~

大治町立大治南小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年640人
活動に携わった教員数/25人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/8人

実践期間2020年11月16日~2021年3月12日

活動のねらい

・小学生のうちから防災に対する意識を高め、正しい知識や技術を身に付けさせることで、自分の命を自分で守ることができる児童を育成する。
・災害に遭ったときに助け合う大切さを学び、大治町の防災対策について知る中で、災害に強い持続可能な大治町を創る担い手となる児童を育成する。
・SDGsの視点をもって防災・減災の課題について考えることで、世界の課題にも目を向け、持続可能な世界になるよう貢献できる人材を育てる。(国際理解教育)

活動内容

【防災・減災で大切にしたいこと】
・自助・共助・公助・N助 ⇒ 発達段階に応じて、公助・N助を意識してプログラムを組み立てる
・誰一人取り残さない防災・減災・SDGs ⇒ 防災・減災がSDGsにつながることを活動の最後に確認する
・他学年とのつながり ⇒ 密に気を付けて、一緒に活動する機会を設定する
・地域とのつながり(保護者・住民・大治町役場・NPOなど) ⇒ 各種団体との連携・保護者や地域への発信
・持続可能な町づくり ⇒ 高学年のプログラムに地域に目を向けるプログラムを入れる
・持続可能な防災・減災教育 ⇒ 地域とのつながりを築く
【実践の柱】
①SDGsについて知り、SDGsの視点で防災や減災、世界の課題について考える。
②大治町防災危機管理課の職員を講師として招き、住んでいる町について考える。
③地元で活躍するNPOの方を講師として招き、新しい防災・減災の知識を得る。
【実践スケジュール】
学年 プログラム 授業者・連携団体 〇助 SDGs 時数
11 SDGsと世界の課題 校務 国際 総3
1 避難所体験 大治町防災危機管理課 公・N 活2
2 揺れに備える NPO 自・共 11 活1
11 SDGsと世界の課題 校務 国際 総3
12 ゲリラ豪雨の原因は?(SDGs) 校務・担任 国際 13 総1
1 ハザードマップで防災力アップ 大治町防災危機管理課 自・公 11 活1
水消火器体験 大治町防災危機管理課 自・共 11 活1
12 ゲリラ豪雨の原因は?(SDGs) 校務・担任 国際 13 総1
1 1年生と防災かるた 担任 自・共 17 総2
2 持ち出し袋をつくろう NPO 2・3 総1
2 校舎内の危険箇所や避難の仕方 校務・担任 4・11 活1
3 2年生に伝える 担任 17 総2
2 新聞スリッパ NPO 11 活1
3 3年生から教わる 担任 17 生1
1 4年生と防災かるた 担任 17 生1
2 防災絵本の読み聞かせ NPO 11 活1
【実践の様子】
柱①
ア「SDGsと世界の課題」5・6年…世界と肯定的に出会い、環境(パーム油による森林破壊)や人権(カカオ農場の児童労働)についての課題に、自分たちが         関わっていることを知り、課題解決に向けて何ができるかを考えさせた。また、世界中でSDGs達成に向けて協力していくことが必要であると学んだ。(ワークショップ形式)
イ「ゲリラ豪雨の原因は?」4・5年…地球温暖化の主な原因は二酸化炭素であること、地球温暖化により気候変動が起こり、異常気象・ゲリラ豪雨が増えることを学んだ。それらの災害の増加を止めるには、二酸化炭素を減らす必要があり、自分たちができることを考えた。
柱②
ア「避難所体験」6年…前半は、大治町の避難所の場所や避難所運営について説明を聞き、避難所運営にもSDGsが関わっていることを知った。後半は、「発電機・投光器」「簡易トイレ・テント」「段ボールベッド・間仕切り」のコーナーに分かれ、組み立て方や使用方法を体験しながら学んだ。
イ「ハザードマップで防災力アップ」5年…大治町のハザードマップの見方を教えてもらい、洪水や地震、台風、火災などの災害が起こったときに、学校や家がどのような被害に遭うのかを確認した。また、その時、どこへどのように避難するとよいかを学んだ。
ウ「水消火器体験」5年…先述のイにおいて、火事を発見したときの行動の一つとして消火器の使い方を教わった。その後、実際に水消火器で使い方を確認しながら体験した。いざやってみると、戸惑う場面もあり、体験することの必要性を感じた。
柱③
ア「揺れに備える」6年…はじめに東日本大震災の映像を見せてもらい、揺れの大きさや建物の崩壊、人々の避難の様子を目の当たりにした。また、南海トラフ大地震が起こる可能性が高いことや、今できる備えについて教わった。その後、「紙ぶるる(応用地震計測)」を使って、建物の構造や揺れ方を実感し、筋交いや屋根など工夫できることを学んだ。揺れに強い家や街づくりが、SDGsのゴール11に関わることに気付いた。
イ「非常持ち出し袋をつくろう」4年…1人1台のタブレットを使って、避難する際の持ち出し袋に何を入れるか考え、発表し合った。保温シートの使い方やビニル袋、新聞紙、キッチンラップのさまざまな活用方法を教わった。また、いろいろな種類の非常食の紹介を聞いた。その中で、賞味期限や消費期限、ローリングストックの話も聞いた。児童は、家庭で非常持ち出し袋を作ってみたい、中身を確認したいと意欲をもった。
ウ「新聞スリッパをつくろう」2年…避難所生活をする際に、身近にあるもので工夫してできるだけ快適に生活する方法を学ぶため、新聞スリッパづくりに挑戦した。作った新聞スリッパを履いて歩いてみると「意外と丈夫だな」「温かいな」という声が聞こえた。新聞紙には、スリッパの他にも座布団やごみ箱など、さまざまな活用法があることを知った。
エ「防災絵本の読み聞かせ」1年…紙芝居「じしんがきたゾ~」を読み聞かせしてもらい、地震が起こったらどのような被害が出るのか、避難所にはどのような人がいるのかなど、地震後の行動について学んだ。また、食物アレルギーのある人は避難所での食事にも気を付けること、周りに食物アレルギーの人がいたら優しく接することが大切であると知った。その後は、机の脚をしっかりと持って、机の下にもぐる練習と、だんごむしのポーズ(シェイクアウト)の練習もした。次の日の避難訓練では、学んだことを実践できた。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
<つながりを創る>
大治町やNPOとつながりを創ることで、児童が地域とつながり、町を支える一人として行動できるように実践を組み立てた。また、地域だけでなく、SDGsを通して世界ともつながっていることを実感させた。
<持続可能な防災教育>
地域とのつながりを創り、実践計画を明示することで、学校の担当者が変わっても毎年、児童が防災・減災について学べるようにした。今後は他教科との連携も考え、年間計画を作成していきたい。
<教材の充実>
助成金で防災かるたや持ち出し袋の見本、書籍などを購入し、学びが深まった。次年度にも、購入させていただいた教材を活用できるように、計画に取り込んでいきたい。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・町の防災危機管理課の方やNPOの方に来ていただくことで、教員では教えられない専門的な知識や情報を子どもたちに伝えることができた。
・体験活動やつながりを意識した授業を行ったことで、子どもたちに防災・減災について考える必要性を強く印象づけることができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・地域とつながることで、今まで遠くで起きていた災害が、身近なところで起こるかもしれないと自分事として捉えられるようになり、もしもの時のために備えることが必要であることを学んだ。
・家に帰って、学んだことを家族に伝えたいという思いをもった子どもたちが多くいた。
・ワークショップや体験活動など力を合わせる学びを通して、災害が起こった時も、みんなで協力することが大切であると気付いた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・教師にとっても知らないことが多くあり、子どもたちや自分の命を守るため、さらに学びたいと感じた。
・講師に招いた町の職員やNPOの方からは、子どもたちが防災や減災について学ぶ機会を今後も設定してほしいという声をいただいた。また、6年生は公助という視点での活躍も期待されている。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・感染症予防から、グループでの協働や保護者を巻き込んでの活動や地域への発信ができなかったので、次年度以降で改善したい。
・今年度で終わりにしないで、築いたつながりを維持し、防災・減災教育を続けていくことが大切である。

 

活動内容写真

  • 派生図で考えを広げる

  • 丈夫で寝心地がいいなぁ

  • 2回は揺れが大きいよ

  • 何が必要かな

活動において工夫した点

「つながり」「持続可能」「SDGs」を常に念頭において実践した。

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