学校と地域がつながる防災・減災教育

大牟田市立白川小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年335人
活動に携わった教員数/19人

実践期間2020年9月1日~2021年1月20日

活動のねらい

豪雨災害や地震災害について知り、災害時の避難行動や避難生活に向けたに日頃からの備えについて学ぶようにし、自分の命を守ることとともに、地域との関わりをより一層深め、地域とともに減災・防災への意識を高めることができるようにする。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
豪雨災害と地震災害を想定した減災・防災教育に取り組んだ。








4年 5年 6年 全校児童
9月 「大牟田市や日本の災害の歴史を知ろう」 ○「高齢者宅にポスターを届けよう」
10月 ○防災グッズを知ろう ○防災グッズを知ろう ○防災グッズを知ろう
11月 ○「防災ダ・ズ・ン」ゲーム(仙台市宮城野区の五輪町内会防災ゲーム研究会2015)
○「校区防災マップをつくろう」
○「防災カルテット」(公益財団法人市民防災研究所)
○「防災カルテット」(公益財団法人市民防災研究所)
○「備蓄品を確認しよう」
○「防災カルテット」(公益財団法人市民防災研究所)
○「修学旅行での学習を生かして地震災害への対策を考えよう」
○避難訓練
(地震火災)
12月 ○「図上訓練をしよう」 ○「災害時の行動のしかたを新聞やポスターにして広げよう」 ○下級生への発表 ○避難訓練
(豪雨)
1月 ○校内ポスター掲示
○保護者や地域の方へ新聞を配布
2月 地域の防災訓練に参加(※中止)
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修会で、減災・防災教育を継続して進めていくためには無理のないカリキュラムの作成が重要であると感じた。そこで、4学年以上の学習を進めるに当たって研修会時の配布されていた防災学習シートを活用しながらカリキュラムを作成した。活動の中で、消防署や市の防災対策室の方の指導助言を受けながら、各学年の学習活動の充実を図った。これにより、昨年度まで全校児童で行っていた地震・火災・不審者対策の避難訓練に加え、新たに「豪雨」の設定でも行うことができた。豪雨対策の避難訓練で、7月に受けた災害の教訓として再度、命を守ることの大切さを実感することができた。さらに、地域の方々と一緒になって学習活動を行うことができたことで、地域の危険個所等の共通理解ができ、さらにつながりを深めることができた。そうした学習の中で減災・防災への意識を高めるために使用した防災グッズや消耗品などに助成金を有効活動することができた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
4・5・6年生を対象にそれぞれの学年に合わせて具体的な活動を位置付けたカリキュラムを作ることができた。4年生では、豪雨災害の経験から、水害で危険性のある場所を地域の方々と一緒に探し、校区の防災マップの制作活動、5年生では、4年生が作った防災マップと6年生が修学旅行で調べた地震時の避難についてのプレゼンを活用して、防災新聞・ポスターを作成し、保護者や地域の方への啓発活動、6年生では、7月の災害後、地域の独り暮らしの高齢者に向けて水害時の避難の仕方を書いた冊子やポスターの配布と修学旅行で学習した地震災害について下級生へのプレゼン活動などを位置付けた。これにより、児童が目的をもって調べたり表現したりして、主体的に学ぶカリキュラムをつくることができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
災害の経験から、校区の特徴を減災・防災教育としての視点で学習を進めたことで、児童の意識の高まりと災害時にどのようにして避難した方がよいのか、備えておいた方がよいものは何かを考えて自分なりに判断することができるようになった。例えば、また同じような豪雨災害が起こったときは高い所に避難すること、どこが避難場所として適切か知っておくこと、災害時に必要なものを家族と話し合っておくこと等、個人としての避難の仕方や事前の準備等、学校での学びを家庭で生かす行動も見られた。
また、豪雨災害を想定した避難訓練を行ったことで、水位の状況によっては学校の外へ逃げてはいけないことや地震・火災の訓練と同じように協力や助け合いの大切さを体感することができた。
これらのことから、これからも予測不可能な出来事が必ずあるという考えのもと、物事を多面的・多角的に考える力や学校の仲間や地域の方と協力して命をつないでいく力を身につけることができたと考える。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教師は、カリキュラムとして学習内容をきちんと位置付けたことで学習の流れを把握でき、実践意欲の向上につながった。さらに、児童の様子から実践に手応えを感じ減災・防災への意識が高まった。
保護者については、今年は新型コロナウイルス感染の影響から参観として学習を見ていただくことはできなかったが、児童が学校で行った実践を家庭に広げたことで、家族で災害に備えるために必要な防災グッズ等の話合いや、避難する場所を共通理解する話合いをしたという家庭が多かった。
地域の方については、4年生と一緒につくった防災マップのおかげで「より危険個所を意識するようになった。」、5年生が配布した新聞のおかげで「万が一の時に備えて準備するようになった。」、豪雨災害後に6年生が独り暮らしの高齢者宅に配布した防災対策の冊子やポスターのおかげで、その後に来た「台風で役に立った。」等、学校の取組を評価していただいた。
関係機関としては、消防士の方と大牟田市防災対策室からの大きな支援とご協力をいただいたおかげで、自然災害の怖さを再認識し、より専門的に減災・防災に対する心と物の備えの大切さを学ぶことができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
本年度の実践は、実際の経験から、いつ起こるかわからない災害を想定して、災害時の行動の仕方や事前の備えの必要性等を児童が自ら考え、判断できるようにしながら地域の方とのつながりを深めるものであった。これも、消防士や防災対策室の方の指導助言をいただきながらつくったカリキュラムによるものである。このカリキュラムを次年度以降に引き継ぐために各学年で実践を整理する必要がある。そして、地域とのつながりをさらに深めるために、学校の取組を保護者や地域に発信していくことも必要である。

活動内容写真

活動において工夫した点

4年生においては、防災マップを使って地域の方と一緒に図上訓練を行い、実際の災害を想定した避難場所探しや行動の仕方等を交流した。5年生においては、自分たちがつくった減災・防災新聞を保護者や地域の方へも配布し、啓発活動を行った。6年生においては、本校が以前から取り組んでいるジュニア民生委員・児童委員活動との連携や、理科学習、熊本への修学旅行とのつながりを重視し、それぞれの教育効果を高めた。ジュニア民生委員・児童委員活動によって、相手に伝えるという目的意識が生まれ、伝えるために理科や修学旅行を通して意欲的に知識を獲得するといった高まりが見られた。

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