「72時間サバイバル〜どう生きる?どう支える?」

箕面こどもの森学園

活動に参加した児童生徒数/1~6学年42人
活動に携わった教員数/6人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/70人

実践期間2021年1月19日~2021年3月4日

活動のねらい

今回は大地震が起きた時、被災直後に絞って学習することにしました。
被災直後の72時間にどんな状況が想定されるか、それに対しどのように対処すれば助かるのかを学びます。
まずは自分自身の身を守ること、そして次に周りの人を助け支えることについて、自分たちの日常生活の場面で起きた地震を想定して取り組みます。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
学習日 低学年 高学年
1/19 <オリエンテーション>
南海トラフを想定した動画を見て、これから学ぶことを知る。
<オリエンテーション>
・地震大国日本に住んでいることを知り、もし自分だけや子どもだけの時に地震が起きたらどうすればいいだろうかという問いを持つ。
<環境チェックとローリング>
・校内の防災環境のチェック
学びに火をつける
1/21 <環境チェック・防災バッグ>
・校内の防災環境チェックと防災バッグの中身確認
・備蓄品、防災バッグのチェック
<サバイバルマニュアル作り>
・「登下校中」「留守番中」「その他自分1人の時」の3グループに別れて学習を進める。
知る
調べる
体験する
感じる
1/26 人と防災未来センター(神戸)見学と阪神淡路大震災を体験された語り部の方のお話
1/28 人と未来防災センターのふりかえり ・人と防災未来センターのふりかえり
・どんな状況が想定されるか、そうなった時どう対処すればいいか、日頃備えておくことは何かについて調べ、考える。
2/2 72時間サバイバル協会の講師によるお話
2/4 <身の守り方>
学校にいる時、家にいる時に揺れたらどうやって身を守るかを知り、地震を想定して練習する
<被災時の心理について学ぶ>
・自身も熊本地震の体験があり、東北で被災した子どもたちの学習支援を経験した卒業生に講師として来てもらい、被災時の心理についてワークショップ形式で学ぶ。
2/9 <身の守り方2>
通学路、町、のりものでゆれたらどうやって身を守るかを知り、屋外に出て練習する。
<地震直後にすることについて知る>
<サバイバルマニュアル作り>
・「登下校中」「留守番中」「その他自分1人の時」の3グループに分かれて進める。一人ひとりの実際の生活を想定した、使えるマニュアル作りをめざす。
まとめる
2/16 <防災マップづくり>
通学路に分かれて、実際に歩き、危ないところをメモする(最寄り駅、バス停から学校)
<マニュアル作りの続き>
2/18 <防災マップづくり>
前のメモを参考に清書をする。
<発表準備>
2/25 学習発表会(高学年が発表、低学年は聞く)
学びの発表。保護者にはオンラインで配信。
学びをシェアする
3/2 学びのふりかえり、サバイバルマニュアル冊子配布 ふりかえる
3/4 備蓄品、防災バッグのローリング(補充)
各家庭でも、親子で防災をテーマに話し合ってもらいました。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
<9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと>
・子どもが自分1人だけ、または子どもだけの時に被災した場合を想定した学びになったこと。自分で考え判断できることを目標にできた。
<研修会を受けての自校の活動の変更・改善点>
・被災直後の保護者への引き渡し方法について、再検討したこと。
<昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点>
・高額な謝礼金の外部講師も視野に入れて検討できるようになった。
・備蓄品購入の負担が軽くなった。
・ウエブカメラ購入により、コロナ禍の中でも保護者の方たちに子どもたちの学びの発表会を共有できた。
<助成金の活用で可能になったこと>
・備蓄品を必要数揃えることができた。
・校外学習に貸切バスを使うことができるようになった。(コロナ禍の中、公共交通機関を使わずに済んだ)
・ウエブカメラを使うことで保護者の方に子どものようすが伝わりやすくなった。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・例年は、災害や防災に関する幅広い知識を学んだり体験したりしていたが、今回は災害直後の対処について、子どもだけの時に被災したらどうするかに絞って学習した。実際に子どもたちの日常生活のワンシーンで災害が起きた場合を想定したリアルな場面設定をすることで、子どもたちにとってより自分ごととなり、実践的な学びとなった。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
<低学年>
・災害発生時の身の守り方について、屋内の場合、屋外の場合で実際にどのようにすればよいかを知り、体験することができた。休み時間に「地震が来たごっこ」をする姿が見られた。
・本校では遠方から公共交通機関で通学する児童が多いので、低学年全員でできることとして、最寄駅やバス停から学校までの道のりの防災マップをグループで作った。毎日通る道に消火栓や防火水槽、避難所案内板があるのを見つけたり、公園の入口の高い壁が崩れたり電柱が倒れたりするかもしれないことや、1mほどの段差のある高い位置に駐車場があって地震が起きたら車が滑り落ちてくるかもしれないことを発見したりして、普段から道を歩く時に周りに気をつけるようになった。
<高学年>
・通学路で被災した場合の対処方法について、一人ひとりが自分の通学路で起こりうる場面を想像して調べ、考えたことで、被災直後の対応を知ったり、日頃から備えておく必要性を感じたりできた。おうちの人と家族間の連絡の取り方、集合場所などについて話し合いをすることができた。
・留守番中に被災した場合の対処方法について、おうちの備蓄品を確認したり、避難経路を確認したり、おうちの人と備蓄品のことや避難場所について話し合いをすることができた。
・愛犬と散歩中に被災した場合のペットのための防災について調べてまとめたり、公園で遊んでいる時に被災した場合の怪我の度合いによってどう対処すればいいか、どんな備えをしておけばいいか考えてまとめたりした。
・被災時はパニックになることを知り、心を落ち着かせる方法を考えたり知ったりすることができた。
・学校の備蓄品や防災バッグの中身を確認し、ローリングをすることで、学校の防災バッグなども自分ごととして感じることができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・保護者の方は子どもが学校でどんなことを学んでいることを知り、実際におうちでどのような対策をとるかについて子どもと一緒に話し合っていただいた。防災バッグを準備したり、備蓄品を子どもと一緒に確認したり、通学中に被災した場合にどのように連絡を取り合うのかについて話し合っていただいた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
今回は自助の要素が強くなってしまったので、今後は共助、N助の学びも深めていきたい。

 

活動内容写真

  • サバイバルマニュアル作り

  • ダンゴムシのポーズ

  • 校内の環境チェック

  • 防災マップづくり

活動において工夫した点

今回はやはり、子どもだけのときに被災した場合に絞って取り組んだことがよかった。子どもたち一人ひとりの「自分の身は自分で守るんだ」という意識が高まった。また、個人の学びを小学部全体にシェアすることで、他の人が取り組んだ視点や知識を全体で持つことができた。友だちの発表を聞いて、自分の知識として生かそうとする声が多く見られた。

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