「地域防災」をテーマにした総合的学習と、生徒実行委員会の活動を継続しながら、これまでの防災教育活動で得た防災スキルを、地域の方や小学生に「伝えること」を通して、防災活動で高校生のできることを認識し自覚を高める。

岡山県立真庭高等学校 落合校地

活動に参加した児童生徒数/1・2学年165人

実践期間2014年5月1日~2015年1月30日

活動のねらい

以下のイベントや学習を通して生徒の地域への認識と防災意識・所属意識,自己有用感を高め,同時に地域や小学生の防災意識を高める
○かまどベンチを作成し,近隣の小学校や町内会に提案。○地域合同防災訓練で地域住民を交えた訓練の実施。
○小学生対象の「子ども防災dayキャンプ」を実施。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
○総合的学習におけるかまどベンチの作成 9月~1月
1学期後半から夏休みにかけて,近隣の小学校や町内会にも作成を呼びかけたが,小学校は構造物の設置に許可が下りないことで断念した。町内会については高校が最大の避難場所であるので,そこにある方がよいとの回答を得た。また,高校に設置することで,防災訓練時にも使用できることなどから,本校内に一基作成することにした。1月30日の成果発表会で、地域の方や大学研究者を招いて総合学習の発表を行った。
○子ども防災dayキャンプの実施(8月19日) 準備合宿(8月4日,5日)
これまでの本校の防災活動を、地域の小学生に伝えたいとの気持ちから、生徒と教員によりキャンプを企画。消防署、消防団、真庭市教育委員会、等の協力により、30名の小学生を招いて行った。
高校生は、体験班のリーダーとして小学生を引っ張り、8つの体験ブースの運営を行うことで、防災スキルの説明を行った。専門の団体(赤十字などのNGO)を利用しなかったことで、生徒がお客様になることもなく、主体的に取り組むことができた。また、当キャンプの準備合宿を行い、「伝える」準備を行った。
○地域合同防災訓練の実施(10月8日)
これまでの防災訓練が逃げる訓練だったのに対し、一昨年からすべての生徒が何らかの役割を持つ訓練に変えた。今年度は、地域の方にも訓練に入っていただけるようにお願いして、地域の住民13人が訪れた。かまどベンチを使っての炊き出し、応急トイレの設置も行った。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
○生徒を直接指導する立場にある若手教員2名の参加をさせていただき,研修の報告を全教員に向けて行った。被災地から遠い地域で防災教育を行っているが,ともすれば過去のものと認識されがちな震災について,自らの見聞したことを生徒に伝えることができたことは,10月に行われた地域合同防災訓練における生徒の指導に大いに役立った。
○地域の住民や小学生と関連した防災イベントを行う場合,防災意識を向上させるためのグッズは不可欠となる。これまで県の予算などでは扱うことのできなかった「缶バッジ」を作成することができ,かまどベンチの作成を行うことができた。公費では「やってみる」とか,「参加者に配布する」ものに支出ができにくい。目に見えるものを作成することができて,参加者の防災意識もこれまで以上に進んだと考えられる。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
防災(減災)学習は,ともすれば観念的な学習となりがちである。本校の防災教育は実際に活動して,考えることを目標においている。今年度は,地域あるいは小学生に伝える手段として,かまどベンチや缶バッジなどを作成することによって,単なる調べ学習や講演による疑似体験といった受け身の学習からの転換ができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
かまどベンチの作成によって、実際に防災拠点を作った意識が高まり、作成者以外の生徒も、防災拠点となっている学校に通っているという意識を持たせることができた。(ベンチのモニュメント効果)
子ども防災dayキャンプでは、年少の児童に的確に伝えることの難しさを感じた反面、頼りにされることで自分たちの防災活動の学習をさらに深めたい、続けたいと感じている。地域合同防災訓練では、すべての生徒が何らかの役割を持って参加できた(傍観者とならなかった)ことで、受身の訓練から、能動的な訓練になり、充実感もあったようだ。来年度もスタッフになり実施計画したいという生徒も多くなった。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
地域の方にも自分たちの避難所であるという意識を持っていただくことができた。来年はもっと参加したい、他の人にも呼びかけたいという感想が見られた。教師としては、生徒の自己有用感が高まったように感じている。実際に、参加した3年生は地域への感心を深め、地域おこしの方面への大学進学を実現した。また、地域社会の中の高校生としての自覚を高めることは、学習意欲の向上と問題行動の減少にもつながっている。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
住民や小学生の参加については、保険などがネックとなって、実施しにくい状況がある。しかし、来年度住民の参加者を子どもキャンプに加えることで、世代を超えた地域全体の活動に発展できるようにしたい。そのなかで高校生が中心となって主体的な活動を行うことで、彼らの学習がより深まることと考えている。

 

活動内容写真

活動において工夫した点

防災学習の行事で、生徒を受身にしないために、活動できる、企画できる時間や、内容を与えたこと。

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