地域を元気にする防災教育

高知県立高知南高等学校

活動に参加した児童生徒数/2学年10人

実践期間2014年7月1日~2015年2月

活動のねらい

生徒や地域住民が、科学的に地震に対する知識を得るとともに、防災に対する意識を高め、連携してハザードマップを作成する。この活動を通して、高齢化の進む地域の活性化や地域との関わり方を学習する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
本校周辺を、防災上危険な場所や避難するのに最適な場所を歩いて調べ、ハザードマップを作成する。また、作成に協力していただける住民への戸別訪問を行い、避難する上での課題や安全上の悩みを聞き取り、課題を明らかにし、地域全体でその課題を共有した。以下は、本活動に関わった実践発表・実践である。
〇高知県高等学校教育研究会理科部会 第12回理科研究大会(平成26年11月29日)
   東日本大震災から三年半すぎた被災地の様子の報告や高知県でも予想される災害についての備えを発表した。
〇防災学習会(H26年12月6日)
 9月研修会で学んだ小中学校の取組を紹介し、本校でできることや危機管理の喫緊の課題について話し合った。また、地域の防災マップについては、避難ビルや予想される危険を記したものを地域の方々と共に作成し、活用する。
〇マネジメント学習発表会(H26年12月19日)
・総合的な学習の時間の中で「地域住民と防災を考える」、「南海地震について」をテーマとし、校内外の学校周辺の地理を調べ、住民の方から防災意識や避難行動への悩みを聞き取り、南海トラフ地震対策をまとめて発表した。発表会の参加者は、中学校3年生、高等学校1・2年生で合計548名であった。また、来賓・保護者・地域の住民の方41名が出席した。
〇地域の建物の高さの測定及び避難時間の計測(H26年9月~)
地域の四階建て以上のコンクリート建造物のそれぞれの階の窓の高さを測定し、地盤高から建物の浸水の高さを予測した。また、地域周辺の道路や通路の徒歩でかかる時間を計測し、津波到来までにどこの避難ビルに避難することが適切か考察した。このことを参考に防災マップを作成する。

3)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
研修会で学んだ児童生徒の発達段階に応じた防災教育の必要性を学校内外で伝え、自校でも中学校、高等学校と連携した防災教育を推進するきっかけとなった。また、助成金により測量機器を購入し、地域の建物の高さを測定し、防災マップの内容の充実につなげた。

4)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
他県の防災教育を参考に、本県でも危惧される南海トラフ地震に対する備えを進めることができた。特に総合的な学習の時間で防災学習の充実を図るとともに、地域とのつながりを深めることができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
総合的な学習の時間での活動により、生徒の通学路や地域の避難場所が明らかになるとともに、子どもたちや地域の防災意識の向上につながった。本校周辺は、地域の住民の高齢化が進んでいるが、この活動を通して地域の活性化を進めるとともに、生徒たちの社会への関わり方を学習できた。特に、コミュニケーション能力や表現力を身に付けることができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
地域の方々には今回の取組を通じてさらなる学校の教育活動の協力・支援をいただいた。具体的には、防災意識や避難行動への悩みの聞き取りをきっかけとして、地域の過去の地理についてお聞きしたり、自転車の乗り方の交通安全の指導を受けたりした。また、今年度初めて地域と合同で避難訓練を実施し、学校と地域との連携を図るとともに防災意識が向上した。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
地域とともに防災教育を進めるためには、高齢化の進む地域の実態を把握し、学校の危機管理を地域に伝え、どのような避難行動をとるかを説明する。
今回高等学校での計画・実践を行ったが、中学校や小学校とも連携し発達段階に応じた系統立てた防災教育を検討したい。

 

活動内容写真

  • マネジメント学習発表会時のパネル

  • マネジメント学習発表会時のパネル

  • 地域の建物の高を測定している様子

活動において工夫した点

・防災マップ作成のためにレーザー距離計を使い地域の様子を詳細に把握した。
・地域との防災活動や総合的な学習の時間の活動を通じて、高齢化がすすむ地域の活性化につながった。

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