自然災害から地域の人の命を守ろう

自分や家族,地域の人たちの命を守るために自分たちにできること

東広島市立三津小学校

活動に参加した児童生徒数/4学年10人
活動に携わった教員数/3人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/25人

実践期間2020年8月から2021年3月

活動のねらい

家族や地域の方に,自然災害への防災行動,自然災害発生後の減災行動の大切さを知らせる。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
(1)目的を考える・計画を立てる。
(2)活動①「地域の方へのインタビュー」
  インタビューの目的にあった場所を決めて,質問を考える。
  インタビューをする。(6か所)
(3)インタビューをもとに,活動計画を見直す
(4)活動②「土嚢づくり」
(5)活動③「防災グッズを考える」 ④「防災・減災ポスター」 ⑤「防災マップ」※同時期に実施
    ④:各自がインタビューをもとにポスターのテーマを決めて,ポスターを描く。
    地域のどこに掲示するか決めて,依頼原稿を書き,電話で了解を取る。
    ポスターと「防災グッズチェック表」を持参する。(校区内10か所)
    校内各所にポスターの写真を掲示する。
    ⑤:防災マップを作る
    地域の防災パトロールをする。
    防災マップに書き込む。
    防災マップを見て気づいたことをまとめる。
(7)発表①「2月参観日」 ②「校内オンライン朝会」
    ①:各自が活動を基にテーマを決めて発表原稿を書く。
    発表に使う資料を選んでパワーポイントにまとめる。
    発表する。
    ②:全校児童にアンケートを実施し,その結果を基に参観日の発表内容に加筆修正を加える。
(8)学習のまとめ

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・自然災害や防災・減災を知識レベルで終わらせるのではなく,自ら活動の主体となることをめざして学習活動に取り組んだ。調べたことを新聞等にまとめて報告することに重きを置く活動から,子供たち自らが地域に出かけて地域の被害の実態を調べたり,地域の方々に働きかけたりする活動に方向転換した。
・防災グッズを購入し,実物を見たり手に取ったりできたことで,防災グッズチェック表の作成だけでなく地域へ配布することを提案するなど,活動意欲が高まった。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・それぞれの活動においても,常に防災・減災教育の大きな目標を確認するとともに,その活動ごとの目的を意識しながら進めることで,意欲的に活動することができ,その後の活動につながっていった。
・「防災ファイル」に,学習活動を綴じていくことで,次の活動のヒントとなると同時に,活動に対する達成感を持たせることができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・防災・減災のためにどのような活動をすることが大切か,自然災害が起きたときにどのような行動をすることが大切かということなど曖昧であったことが,より具体的な行動をイメージできるようになった。
・地域でインタビューをしたことで,自然災害の恐ろしさと,そこに立ち向かった人たちの力強さと人の温かさを実感し,インタビュー前は自信のなさや消極的な思考が目立った子供たちが,自分たちにできることがあるという確信をもって,積極的に活動をしていった。
・ボランティア活動や啓発活動など,子供の自分にも地域のためにできることがあることを自覚し,できることをしたいという強い気持ちを持つようになった。
・防災パトロールで,住んでいる地域にも消火栓や消火器,海抜表示,防潮堤用フラップゲートなど,災害から身を守るための備えが町のあちらこちらにあることを知り,地域以外の場所でも消火栓や消火器の設置などに興味を持ち,自主的に確認するようになった。
・消防団の方(保護者でもある)の話を聞いて,自分も地域のために活動したいという思いを持ち,「少年消防クラブ」に入会した児童が数名いた。
・他教科とのつながりを意識させたことで,他の教科の学習にも意欲的に取り組む姿が見られた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・本校の教職員のなかで,西日本豪雨の時にいた職員は3名しかおらず,報告会で使用するプレゼンテーションを使った校内研修を実施した。
・児童と一緒に活動したり,研修を受けたことで,私自身,減災・防災についてSDGSの視点から見直したり,あらためて,私事として真剣に考えるきっかけになった。
・4年生のほとんどの家庭で,「避難場所」「避難経路」について話し合ったり,「防災グッズ」を準備したりするなど,子供たちと一緒に減災・防災に備えて活動してくださった。
・子供たちがインタビューを希望した社会福祉協議会では,子供たちによく分かるように,西日本豪雨災害直後の被災した町の動画や,その後の実際のボランティア活動を紹介したプレゼン,資料などを作成してくださっていた。また,社会福祉協議会のHPで子供たちがインタビューをした様子を紹介してくださった。
・安芸津支所では,避難所用の簡易ベッドや非常食を用意してくださり,実際に体験したり手に取ったりさせていただいた。また,インインタビュー後には学習の参考になればと西日本豪雨直後の写真等の資料を送ってくださるなど,積極的に協力してくださった。
・子供たちがよく利用する商店では,ポスターと一緒に置いてもらった「防災チェックシート」を,積極的に来客に配布してくださっている。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・地域の中の教材となり得るものを事前に調査して整理しておく。
・被災の実態が分かるようなものを収集,整理し,学校の財産として蓄積しておく。
・得たい情報を考えてインタビュー先を決めたが,インタビューをする順序も考慮する必要があった。
・学校として防災・減災教育全体計画や避難訓練を見直す必要があることを痛感した。現在は火災や地震・津波を想定したものであり,河川の氾濫や土砂災害等,西日本豪雨災害の教訓を生かすものがなく,新たに作る必要があると感じた。
・地域の防災・減災ネットワークのようなものに子供たちが位置づいていくような,長期的な展望を持った取り組みにしていく。
・今年度予定していた地域との合同避難訓練がコロナ禍で中止となってしまった。来年度は是非実施したい。
・今年度は,4学年中心の活動であったが,他学年にも広げていきたい。

活動内容写真

活動において工夫した点

・児童が活動の主体になれるようにじっくり取り組んだ。まずは自分たちで活動の目的を考え,計画を立て,準備をし,活動した。活動後には,自分たちがあらかじめ立てた計画を見直し,次の活動へとつなげていった。そのために,児童から「○○をしたい。」という提案が出やすいように環境を整えたり,生活場面でも防災・減災につながるような声掛けをしたりした。
・インタビューやポスター配布,防災パトロールなど,地域に出ていく活動を多く取り入れた。
・社会科や国語科,理科など学習の際に,この学習が防災・減災活動とどのように結びつくかを具体的に説明しながら授業をすすめた。
・学級通信で月に1度程度,活動報告を紹介した。

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