今あるものを生かした減災教育の実践と「命を守る」意識の醸成
浜松市立西部中学校
活動に参加した児童生徒数/1~3学年452人
活動に携わった教員数/36人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/120人
実践期間2016年5月1日~2017年2月15日
活動のねらい
「ここまで津波は来ないだろう」という油断と「大地震が来たらみんなやられる」という諦観をぬぐい去り、正しい減災知識と避難生活を生き抜く知恵を身に付け、「自分の命は自分で守る」姿勢を育てる教育を推進する。
活動内容
1)助成活動内容
①「まず最初に教師が変わる」教員を対象にした減災教育研修(研修報告・防災ゲーム体験)を実施。
②「被災地の真実を知る」教育講話(保健・道徳)に被災地の話を入れ、感想を新聞・ブログ等に掲載。
③「楽しみながら防災を学ぶ」防災ゲーム(ぼうさい駅伝・クロスロード)の実施と振り返りの日報掲載。
④「下町ネットワークを生かして共助」地域防災訓練への参加呼びかけと職員の巡回・交流。
⑤「求めて学ぶ減災知識」減災・防災関連書籍のセルフ図書コーナーへの設置と学級文庫キャンペーン実施。
⑥「減災・防災意識の醸成は環境づくりから」防災週間の活用と防災教育関連の掲示物づくり。
⑦「年間4回の訓練にバリエーションを」避難訓練の内容や実施方法の工夫。
⑧「人の命を救う疑似体験」救急蘇生講座(AED)や生き方講座(レスキュー隊)の実施とブログへの掲載。
2)成果
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
被災地の状況について講師(田尻由貴子氏…熊本地震・古市佳央氏…東日本大震災)の話を聞いた生徒たちの多くは強い衝撃を受け、その感想には彼らなりの真摯な受け止めがあった。さらに、それを新聞に投稿したり、ブログ・学年通信に掲載したりすることで、地域への広がりや思いのつながりをつくることができた。
成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力を身につけたか。
防災ゲームは、発達段階に応じて内容や実施方法を選択し、全校(発達支援学級含む25学級)で実施した。「ぼうさい駅伝」の感想では、「楽しみながら防災のことがわかった。(1年男子)」「防災の難しいクイズでは新しい発見があって、ためになった。(2年女子)」など、自分が知らないことの実感した様子をみてとることができた。また、「クロスロード」の感想には、「かなり考えさせられる問題が多くあった。(3年女子)」「人によって考えは違うし、立場によっても判断は異なるから難しい。(3年男子)」などがあり、ジレンマを感じながらも、真剣に取り組んだようである。ゲームに対するアンケートで、「楽しかった」「どちらかといえば楽しかった」という回答は全体の8割以上であった。(「クロスロード」実施の3年生は「どちらともいえない」が2割。)防災関係の本として、全クラスの学級文庫に「南海トラフ巨大地震から命を守れ」(角川書店)「OLIVEいのちを守るハンドブック」を設置し、読書キャンペーンを行った。両方共に5ページ以上読んだ生徒は全校の約7割であった。特に3年生では、池上彰監修のドキュメンタリー番組の視聴を交えた理科の授業とタイアップして行い、生徒の関心を高めることができた。
成果③ 教師や保護者、地域、関係機関等の視点から
教員研修を9月の減災教育プログラム報告会からスタートし、「自分の命は自分で守る」姿勢の大切さを共通認識することができた。次に防災ゲームの活用事例を研修し、生徒に防災ゲーム(ぼうさい駅伝・クロスロード)をよい形で紹介することができた。地域に任せきりにしていた地域防災訓練を運営委員会メンバーで巡回視察して生徒に声をかけたり、地域の役員と交流したりした。中学生の地域防災訓練参加者数が昨年より増加し、全体でも8割の参加となった。(昨年度7割弱の参加。昨年度より中学生初参加。)
3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
「案ずるより産むが易し」というとおり、やり出してみれば教員は皆協力的で、生徒たちも大変意欲的に活動した。しかし「生徒の主体的な取組」「持続可能な開発のための教育」という視点で考えてみると課題は多い。現状は減災教育の全体計画がなく、減災に関する分掌組織が機能していない。3年以上先を見通して減災・防災教育を推進するプロジェクトを組織することが必須であると考える。次年度からは、本校が長年続けてきた「子ども会議」(中学校区の小学生と中学生の討論会)のテーマに減災・防災を入れ、凧作りの地域調べに危険箇所を盛り込んでハザードマップを作成したい。さらに、年間活動計画(学活・総学・道徳)に、減災・防災関連の題材(防災学習シート・HUG)を確実にいれ、避難所運営で中学生の果たす役割等を明確化していきたい。
①「まず最初に教師が変わる」教員を対象にした減災教育研修(研修報告・防災ゲーム体験)を実施。
②「被災地の真実を知る」教育講話(保健・道徳)に被災地の話を入れ、感想を新聞・ブログ等に掲載。
③「楽しみながら防災を学ぶ」防災ゲーム(ぼうさい駅伝・クロスロード)の実施と振り返りの日報掲載。
④「下町ネットワークを生かして共助」地域防災訓練への参加呼びかけと職員の巡回・交流。
⑤「求めて学ぶ減災知識」減災・防災関連書籍のセルフ図書コーナーへの設置と学級文庫キャンペーン実施。
⑥「減災・防災意識の醸成は環境づくりから」防災週間の活用と防災教育関連の掲示物づくり。
⑦「年間4回の訓練にバリエーションを」避難訓練の内容や実施方法の工夫。
⑧「人の命を救う疑似体験」救急蘇生講座(AED)や生き方講座(レスキュー隊)の実施とブログへの掲載。
2)成果
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
被災地の状況について講師(田尻由貴子氏…熊本地震・古市佳央氏…東日本大震災)の話を聞いた生徒たちの多くは強い衝撃を受け、その感想には彼らなりの真摯な受け止めがあった。さらに、それを新聞に投稿したり、ブログ・学年通信に掲載したりすることで、地域への広がりや思いのつながりをつくることができた。
成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力を身につけたか。
防災ゲームは、発達段階に応じて内容や実施方法を選択し、全校(発達支援学級含む25学級)で実施した。「ぼうさい駅伝」の感想では、「楽しみながら防災のことがわかった。(1年男子)」「防災の難しいクイズでは新しい発見があって、ためになった。(2年女子)」など、自分が知らないことの実感した様子をみてとることができた。また、「クロスロード」の感想には、「かなり考えさせられる問題が多くあった。(3年女子)」「人によって考えは違うし、立場によっても判断は異なるから難しい。(3年男子)」などがあり、ジレンマを感じながらも、真剣に取り組んだようである。ゲームに対するアンケートで、「楽しかった」「どちらかといえば楽しかった」という回答は全体の8割以上であった。(「クロスロード」実施の3年生は「どちらともいえない」が2割。)防災関係の本として、全クラスの学級文庫に「南海トラフ巨大地震から命を守れ」(角川書店)「OLIVEいのちを守るハンドブック」を設置し、読書キャンペーンを行った。両方共に5ページ以上読んだ生徒は全校の約7割であった。特に3年生では、池上彰監修のドキュメンタリー番組の視聴を交えた理科の授業とタイアップして行い、生徒の関心を高めることができた。
成果③ 教師や保護者、地域、関係機関等の視点から
教員研修を9月の減災教育プログラム報告会からスタートし、「自分の命は自分で守る」姿勢の大切さを共通認識することができた。次に防災ゲームの活用事例を研修し、生徒に防災ゲーム(ぼうさい駅伝・クロスロード)をよい形で紹介することができた。地域に任せきりにしていた地域防災訓練を運営委員会メンバーで巡回視察して生徒に声をかけたり、地域の役員と交流したりした。中学生の地域防災訓練参加者数が昨年より増加し、全体でも8割の参加となった。(昨年度7割弱の参加。昨年度より中学生初参加。)
3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
「案ずるより産むが易し」というとおり、やり出してみれば教員は皆協力的で、生徒たちも大変意欲的に活動した。しかし「生徒の主体的な取組」「持続可能な開発のための教育」という視点で考えてみると課題は多い。現状は減災教育の全体計画がなく、減災に関する分掌組織が機能していない。3年以上先を見通して減災・防災教育を推進するプロジェクトを組織することが必須であると考える。次年度からは、本校が長年続けてきた「子ども会議」(中学校区の小学生と中学生の討論会)のテーマに減災・防災を入れ、凧作りの地域調べに危険箇所を盛り込んでハザードマップを作成したい。さらに、年間活動計画(学活・総学・道徳)に、減災・防災関連の題材(防災学習シート・HUG)を確実にいれ、避難所運営で中学生の果たす役割等を明確化していきたい。
活動内容写真
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活動において工夫した点
様々な教育活動の中でも減災教育は命に関わるものであり、最優先されるべきものである。しかし、本校のように避難訓練以外にほとんど何もしていない現状では、新しいものを次々に入れていくのはカリキュラム上、難しい。そこで、今年度を減災教育のスタート年度とし、「今あるものを生かした減災教育」というスタンスで減災教育の土台づくりを進めた。
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