地域の防災避難所としての機能を高める取り組みの実践
~減災意識の向上と地域の防災を担う人材の育成~

熊本県立熊本農業高等学校

活動に参加した児童生徒数/全学年  825人
活動に携わった教員数/85人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/250人

実践期間2024年5月21日~

活動のねらい

近年の自然災害の特徴として、短時間による豪雨や落雷があり、避難や行動の判断が重要とされている。自然災害のなかでも台風や大雨はある程度まで予測が可能であり、地震についても住宅や建物を耐震化するなど事前に対策を取れている。生徒個人では、マイタイムラインの作成、自助・共助・災害時の対応力のあるリーダー育成を目指している。学校では、生徒の企画で、生徒職員が自宅で自分のお弁当を作って持参する「くまべん」を実施し、収穫感謝祭では羽釜と薪を使い炊飯を行うなどの食育を通して“食事を作る”“食べる”ことの重要性を実感している。
本校生徒は卒業後、地域に残りリーダーとしての活躍を期待されている。防災に係る知識や対応力を身につけるよう指導したいと考えている。また、本校は地域の防災避難所に指定されており、平成28年熊本地震でも使用された経緯がある。生徒が日頃の学習の中で避難所としての機能を高め、生徒の生活地域で自然災害が発生した際、学習で修得した防災対策や防災ボランティア活動に積極的に取り組む意識の向上を図る。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
内  容 日  時 参 加 者 実 践 の 流 れ
リードデュフューザーの開発作製 昨年度より継続 園芸果樹科生徒 柑橘を栽培する中で排出される摘果果実を使い、アロマオイルと調合し芳香剤として活用する。
レトルトカレー開発 昨年度より継続 畜産科生徒 本校で飼育した「あか豚」を使ったレトルトカレーの開発に取り組んだ。
シェイクアウト訓練 4月17日 全校生徒、職員 緊急地震速報音源を活用した実践的な避難訓練を実施した。
マイタイムライン作成 4月30日 2,3学年 chromeBookを使用し、くまもとマイタイムライン作成を行い自宅からの避難所の確認を行った。
非常用持出袋の作成 5月21日 1学年 防災袋を購入し非常食の確認を行い、緊急時に向けての防災教育の実施、自宅での取り組みに繋げる。
防災講演会 9月17日 1,2学年 熊本地方気象台より来校していただき台風発生のメカニズムと非難行動について講演頂いた。
くまべん 10月15日 全校生徒、職員 自宅で自ら弁当を作ることにより食の大切さと災害における食事について考えることができた。
防災避難訓練 10月18日 全校生徒、職員 校内3か所ある避難場所の確認と消防署の指導のもと消火訓練を実施することができた。
収穫感謝祭 11月 9日 全校生徒 防災公園のかまどベンチ用の燃料として保管してある薪を使い炊飯訓練を行うことができた。
校内における水の確保

 
11月15日~ 農業土木科生徒 中庭にある池用の水源として設置されていた井戸を水質調査し、手動ポンプの取り付けを行った
展示会参加 11月21日 農業土木科生徒 「先進建設・防災・減災フェア」において本校の防災・減災についての取組みを発表した。
地域防災訓練 11月24日 地域住民、寮生、他 「熊本市震災対処実動訓練」において住民の皆さんと運営に携わり、防災意識を高めた。
クロスロードゲーム 12月19日 農業土木科生徒 災害時を想定し2択をどのように判断するかカードを使い心構えを養うゲームを行った
ぼうさい甲子園発表 12月21日 農業土木科生徒 「1.17防災未来賞ぼうさい甲子園」において優秀賞を頂き取組みについて発表を行なった。
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
今回の研修を受け、防災・減災教育は継続が重要であることを改めて感じる事が出来た。高校生である生徒が自らの命を守ることは当然であるが、まわりを助ける行動、公的な機関との連携、災害発生を予測した取り組みは不可欠である。この防災教育を今後、各教科、学科の授業の中で少しでも取り入れることを行っていきたい。また助成金を頂いたことで外部講師の招聘や水質の調査分析等、活動の範囲を広めることができた。今後も次年度に継続していきたい。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
毎年、頻繁に発生する自然災害に対し「自分の命とくらしを守る」ということを念頭に挙げた。「熊本地震」を教訓に生徒一人ひとりがどのように考え、対処していくか地域を担う人材育成を目指し、学校全体で出来ることと授業や特別活動で実施できることを線引きしプログラムを計画することを目標とした。

②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
生徒達は、熊本地震や熊本県南部豪雨災害などを経験しており災害に対する意識は高いところがある。しかし災害の備え(減災・防災)については意識が低いところもあったが、今年度の取り組みを通じて災害に対応する能力は高まっていると感じた。また減災(防災)活動を科目「課題研究」のなかにどのように取り入れるか、それぞれの生徒により捉え方は違うところもあるが積極的な姿勢が見られるようになった。

③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
4月から熊本市震災対処実動訓練が計画され、11月地域と連携した訓練が実施できた。地域方々からは寮生や有志生徒の参加に対し大変心強く思っていただくことが出来た。また一昨年度、作製した防災公園のかまどベンチで炊き出し訓練ができ参加された方々からも関心を持っていただいた。「先進建設・防災・減災技術フェアin熊本」では、本校での活動を紹介することが出来、卒業生をはじめ関係機関の方々とのつながりをつくることが出来た。

4)実践から得られた教訓や課題と、次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
  学校全体として取り組む活動は授業時間の確保や他の行事等の関係により制限されるが、現在取り組んでいる内容がマンネリ化しないように関係機関からのご助言をいただきながら進めることが重要であると感じた。各学科や教科での取り組みについては連携を図りながら進めることによりさらに充実した内容になると思われる。また高校生である生徒達が主体的に考え、活動できるような環境づくりも重要である。

本校は県立学校であり教職員の定期異動がある。担当職員が変更になっても停滞せず、継続して減災(防災)教育が行えるよう教職員がチームとして取り組むことが必要である。

今年度の取り組みを持続させると共に更にブラッシュアップを図り、地域や卒業生、関係機関と連携した活動を行っていきたい。

活動内容写真

活動において工夫した点

本校が地域の防災避難所としてどのようなことが出来るか、生徒達とさまざまな課題を出し合い検討する中で水の重要性を感じた。本校は、農業高校ということもあり井戸水を使用し作物の栽培実習等行っている。また、中庭には使用しなくなった池用の井戸もあり災害時用の水源として水質の調査や手動ポンプの取り付けを行うなど、学校の特性を生かした取り組みを進めることが出来た。

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