被災地・岩手にいきる~東日本大震災から学ぶ「いきる」・「かかわる」・「そなえる」

盛岡市立玉山中学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年28人
活動に携わった教員数/9人

実践期間2016年6月17日~2017年3月10日

活動のねらい

東日本大震災から教訓を学び、自然災害から「自分と他人の命を守るための方法を身に着ける」とともに、「地域の中学生として、その時何ができるかを判断し行動できる」指針となる学習を行う。そして、そのような時代、どのような環境の中であっても、困難にたくましく立ち向かい、「ふるさとの復興」を先頭に立って進め、よりよい社会をつくるために貢献していこうとする強い願いと実践力をもった生徒の育成を図る。

活動内容

1)助成活動内容
(1)東日本大震災の教訓から学ぶとともに、「風化」させないための取り組み【いきる・かかわる・そなえる】
①宮古市田老地区での現地学習。震災語り部を活用し、当時の人々の避難路を歩いたり、震災遺構に指定された「たろう観光ホテル」で、津波や人々の避難行動などについて学んだ。
②復興講演会の開催。講師として、震災当時釜石東中学校1年生だった大学生をお招きし、「釜石の奇跡」の概要について学んだ。そして、それは奇跡ではなく、日ごろからの備えが中学生にしっかりと身についていたからだということを学んだ。
(2)身近な地域での自然災害の危険性と対処の仕方を学ぶ【いきる・そなえる】
①岩手県教育委員会主催の「防災教育アドバイザー派遣事業」を活用し、「大雨洪水ワークショップ」と「地域防災マップづくり」を実施した。「大雨洪水ワークショップ」では、図上訓練を行う中で、特に情報の活用能力の重要性を実感した。また、「地域防災マップづくり」については、作成上の視点を与えていただいた。「地域防災マップ」については、来年度以降も専門家や地域の方々、家庭の協力をいただきながら作成作業を続けたい。
②「土砂災害」を想定した避難訓練を実施した。

2)成果
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
(1)3つの視点「いきる」・「かかわる」・「そなえる」をバランスよく組み合わせて活動を行うことができた。しかし、「かかわる」の視点については、3つの視点の中でも十分な取り組みができたとは言い難い。来年度以降さらに取り組みを工夫したい。
(2)講義形式の学習ではなく、生徒が「考え、議論し、まとめる」形式の学習を実施したことで、実際の状況に活かすことのできる学習にすることができた。
(3)3学年の取り組みとしてスタートした学習を、全校生徒を書き込んだ学習へと発展させることができた。

成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力を身につけたか。
(1)自然災害を「まさか」ではなく「いつか」自分の身にも起こる可能性の高いものだという気持ちを持ち、「他人事」から「自分事」ととらえることができるようになった。それによって、防災に対する意識が格段に高まった。
(2)地域をはじめ、世の中の出来事に目を向け、関心を持つようになった生徒もいる。
(3)将来的に、「復興」や「防災」に関わる仕事に就きたいという進路意識を高めた生徒もいる。

成果③ 教師や保護者、地域、関係機関等の視点から
(1)教師自身の防災教育への意識が高まり、具体的な指導の方法を学ぶことができた。
(2)防災の専門家とつながりをつくることができたことで、来年度以降への見通しをもつことができた。
(3)年度当初は全く想像もしていなかったが、岩手県教育委員会から防災教育推進校の一つとして注目していただき、様々な学習や研修の機会を与えていただいた。また、東北大学災害科学国際研究所発行の「ぼくのわたしの防災手帳」(2016年度岩手県版)の指導者用DVD収録のためのモデル授業を行っていただいた。

3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
(1)地域防災のための学習活動を、小中一貫の視点を取り入れて、計画的かつ継続的に行うことができるような学習の位置づけを推進していきたい。
(2)誰でもいつでも指導できる、教職員や地域を対象とした研修会の実施と、防災組織の見直し・運営が必要である。

活動内容写真

活動において工夫した点

(1)東日本大震災を風化させない取り組みを継続しながらも、今年度は「地域防災」により重点を置いたこと。
(2)従来よりも関係諸機関への派遣要請や出前講座を積極的に利用したことで、より専門的な視点での学習を行ったこと。そして、それが生徒の「いきる」・「かかわる」・「そなえる」力の伸長につながったこと。

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