絵画展審査を終えて
審査委員長 小島敬介
今年も小中学校の児童生徒のみなさんから大仏さまや江ノ電、町並み、お寺、また心に残った場所や風景などを題材に伸び伸びと子どもらしく屈託ない絵が「わたしの町のたからもの絵画展」に集まりました。
「今年は優しい絵が多いかな」。「この絵はとっても楽しい絵だね」。「同じ場所を兄弟で描いたんだ」。など作品にたいして感想や自論を交わしながら各賞が決定されました。
日本ユネスコ協会連盟会長賞
町中をモノレールが颯爽と走っている姿を<わたしの町のたからもの>として選んでくれました。しっかりとした描写力と同時に高架下に広がる道や建物を遠近法を使って技術的にも高い見応えのある作品です。様々な形や色を楽しんで描いたことが伝わってきます。「武家の都市(まち)」だけではないもう一つの鎌倉が見えます。
鎌倉ユネスコ協会会長賞
暗い夜空に色とりどりに美しく咲く花火とそれが海面に映っている様子を印象的に描いてくれました。大きな音とともに幾つもの花火を見たときの華やかさや驚きが見事に表現されています。
あいおい損害保険社長賞
馬と一体になって武士が的をめがけて今まさに矢を射る緊張した流鏑馬の一場面です。形や彩色にやや荒っぽさがありますが、それがかえってスピード感や臨場感を強調しダイナミックな絵となりました。動と静といった反対要素が画面上でうまく響きあっている作品です。
鎌倉市長賞
雲一つない快晴の空を背景に大船観音が大きく描かれています。白と青のコントラストが美しいデザイン風にまとめてある作品です。観音さまの陰影を強くし重量感を表現してもよかったと思います。じっと見ていると観音さまの表情は気品に満ち、優しく私たちを包みこんでいるようです。
鎌倉市教育委員会賞
木々に囲まれた円覚寺山門を大胆な構図で表現しています。静寂な佇まいの中に僅かな風にそよぐ葉づれの音が聞こえてくるようです。木々の緑と重厚な山門が共鳴し合い画面を一層美しく見せています。歴史的建造物や自然を守り、後世に伝えたいと言っているようにも感じました。 |