委員会の活動紹介−その5−



             

ユネスコ学校運営委員会
ユネスコ学校の近況
 
 
  ユネスコ憲章は次のように述べています。『相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、これがもととなってしばしば戦争となった。』また、『無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることが戦争を招いた』とも述べています。
 ユネスコ学校(注)は国際理解と交流によって世界の平和と繁栄に貢献するというユネスコの目的に沿って実施されています。
 現在は、中国残留邦人帰国者家族(東が丘荘在住)を対象として日本語学習を毎週火曜日と水曜日に開いています。学習者が正しい日本語を一日も早く習熟し、日々の生活を円滑に過ごすことができ希望に満ちた生活が営めるように、学習者それぞれに適した学習方法を提供するように努めています。そのためには各個人に対してきめ細かい配慮と質量ともに充実した学校の運営が重要となります。
 しかし、最近は残留邦人家族の帰国者が減少傾向にあること、加えて厳しい社会情勢のため勉学する環境が悪化しており、成人については残念ながら学習者の数は少なくなったように見えます。このような事情に対応するような長期的な戦略工夫も必要でしょうが、過去においてもさまざまな局面を経験しながら今日を迎えているので、その伝統と努力はこれからも引き継いで行かねばなりません。そのためにはこれまで以上に会員の皆さんの大きな支援が必要であり、また参加を待つところであります。
 これらの成人向けの教室に加えて、今のユネスコ学校には小学生をはじめ、中学高校生など補習のための勉強に約20人が参加していますが、今春は中学へ5人、高校へ2人、1人が高校を卒業し、それぞれに希望あふれる春となりました。このうち数人は春休みをボランティアの体験と社会学習をかねて3月25日、日本ユネスコ協会連盟へ「書きそんじハガキ」整理作業にでかけました。そして約9,500枚のハガキを整理することができ大いに有意義な半日を過ごしました。
 今後もユネスコ学校としては学校教育の補完に限定せず様々な体験学習なども取り上げて多面的な学習を実施して行きたいと考えております。
 会員各位の更なるご協力を期待したいと思います。

写真:上 ギョウザパーティでの楽しいひととき
写真:下 日ユ協連で山のようなハガキを整理する、東海林路代・工藤華子・原田富美子・山本愛・土屋アンナの皆さん(敬称略)

(注)目黒ユネスコ学校は、1954年、次の世代を担う子どもたちの心の中にユネスコの精神である国際理解と、心から文化を尊び平和を愛する気持ちを育てることを目的に一般日本人子女を対象として設立されたのが端緒となっている。現在は中国残留邦人帰国者家族を対象とした日本語学習を目黒区教育委員会、東根住区住民会議などと協力して実施している。                ユネスコ学校運営委員長・ 斎藤 孝

 

 アディカリさん ネパールに帰国
信州大学大学院博士課程ご卒業
 
 

 ダンダ・パニ・アディカリさんは2度にわたってリトリートに参加した信州大学の学生さん。生まれ故郷は首都カトマンズから西方の小都市ゴルカから徒歩で一日、車の通れない小径を上り詰めた寒村。国内の大学卒業後、信州大学工学系研究科に留学、堆積学を学びこの度念願の博士号を取得された。帰国後は母校の大学に復帰され高校教師の夫人と共にネパールの教育界の一端を担われることとなる。3月31日ネパールに帰国される直前の多忙な時間をさいてお話を伺う機会を持った。
 真っ先に語られたのは母国ネパールの政情不安、「マオイスト」による反政府運動であった。そしてネパールの将来のために教育が大切なこと、自分の研究に加え後輩の育成に責任を感じていること、既に二人の後輩が日本に到着し大学受験の準備を開始したこと、この二人については日本の皆さんのサポートを是非お願いしたいとのことであった。二度にわたりビマラ・カナル夫人と夫妻揃って参加したリトリートは、目黒ユネスコ協会の世界に広がる活動を知る機会となったばかりでなく、参加した各国の青年と知り合えたことも貴重な経験であったとのこと。さらに奇しくも当協会の平田副会長がカトマンズでネパールのために働いていることを知り、帰国後一刻も早くお目にかかり指導を仰ぎたいと願っておられた。
 発展途上国からの留学生が母国へは帰還しない例が各国から数多く報告される中で、母国への熱い想いを真剣に語って下さった。目黒ユネスコ協会はこの度別項にあるように日ユ協連の支援プログラムの中で二つのネパール教育支援に協力することとした。今後アディカリさんに続く二人の支援体制も整えたいものである。                                      取材 広報委員会 奥澤行雄

目黒ユネスコ協会には各国から多くの青年が参加しています。様々なニュースを掲載したいと思います。
情報を広報委員会又は 事務局までお知らせ下さい。


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