No.194  2003.2.5 

 明日へ・・・その2   目黒ユネスコ協会の設立
目黒ユネスコ協会会長 加藤玲子


 1954年10月3日、目黒ユネスコ協会は誕生しました。間もなく創立50年を迎えようとしている目黒ユネスコ協会が、今日もその活動の規範の一つとしているのが「設立趣意書」です。そこには、ユネスコ活動の理念が無理なくやさしい語り口で説かれています。足元から世界を見つめ、平和な地球づくりへむけて理想像を描き、世界の中の日本、その中の一つの地域に住むひとりひとりの自覚も促しています。国際理解、文化、教育、人権、自由、正義、平和、そして 今で言う「協働」にも言及されています。
 この趣意書により、私たちは多くの糧を得させていただいていますが、全文を通じて、「会員は活動を進めるにあたり、常に謙虚さを失うことのないように」とのメッセージが込められているように感じます。
 私は、この趣意書に触れるたびに、身がひきしまる思いにかられるのです。
 
                    目黒ユネスコ協会 設立趣意書

 私たちは、次のような主旨で目黒ユネスコ協会をつくり、力をあわせて、目黒の社会のため、さらに世界のために、よい仕事をしたいと思います。

1.東京はすでに世界各国の人びとの集まっている国際都市です。
 この東京を、ただ道路や建物についてばかりでなく、人びとの集りや、気風のうえで心持のよい都会にすることは、私たちひとりひとりの責任です。そして、私たちここの住人ばかりでなく、世界中のどの国の人びとがここに来ても、人間らしい快い気持ちの感じられる都会にすることが大事だと思います。
 ことに、目黒区はいわゆる山の手の地域であり、いわば、しずかな文化的地域です。
 まず、ここに住む私たちが協力しあって、この地域に国際理解のふんいきのただよう社会を作りたい。そして、文化的、精神的な上での国際都市のモデルを作りたいと思います。

2.この目的のためには、目黒の地域社会に教育と科学と文化を通じて、世界の平和を建設しようとするユネスコ精神、また、あらゆる差別を超えて人間は平等であり、尊厳であるという世界人権宣言の精神を普及徹底させることが必要だと思います。
 それには、志を同じくする人びとの集まりをつくることが何より必要です。

3.ユネスコに協力し、その精神を生かして、目黒の地域に、自由と正義と平和を愛する人びとの会を作り、この区の文化的水準の向上と、この地域の社会を明るくすることに、いくらかでも役立ちたいと思います。

 以上の主旨から、「目黒ユネスコ協会」をつくり、私たちはユネスコの精神を広めるための活動をするとともに、他の多くの教育、科学、文化関係の団体とも手をたずさえて、目的達成に向かって進みたいと思います。

 

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