No.195  2003.3.12 

 明日へ・・・その3  「ユネスコ活動に関する法律」
目黒ユネスコ協会会長 加藤玲子
 
 日本に「ユネスコ活動に関する法律」が制定されたのは1952年のことですから、それは目黒ユネスコ協会の発足の2年前です。当時は、戦後の痛みから平和を求める心が「ユネスコ活動」へむけられ、官と民の協力体制も一般社会に素直に理解されたのでしょう。この法律は、ユネスコ憲章に基づいて制定されたもので、単に民間ユネスコ運動を擁護しているものではありません。つまり、日本がユネスコに加盟している以上、ユネスコ活動は、日本人すべてのものなのだと明言しているのです。
 したがって民間ユネスコ協会は、この活動に賛同する者は誰でも参加できるものでなければなりません。それは、まず、宗教的、政治的その他特定の色あいに偏らないことです。そして、常に開かれたものであり、官のみならず目的をともにする他の団体と協力しあうことも求められます。
 この法律は、「国または、地方公共団体は・・自らユネスコ活動を行う・・・」と定めています。つまり、この活動は、日本国や目黒区自らが関わる活動であるのです。目黒区及び教育委員会は、この意味に深い理解を示され、目黒ユネスコ協会設立当初から一貫して共にユネスコ活動を推進されました。それは、協会にとって、この地域にとって幸せなことと思います。当協会が教育委員会から受託しているいくつかの活動、小学校の教室をユネスコ協会事務局として貸していただけたのも、この法律に基づくことなのです。
 なお、日本国は外務省と文部科学省がユネスコ(パリ)と対応することとなっていますが、当初「日本ユネスコ国内委員会」の事務局を文部省(当時)に置いたことにより、地方公共団体の所管(窓口)は教育委員会となったそうです。そのために、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」には、教育委員会の職務権限の執行項目第15に「ユネスコ活動に関すること」が明記してあります。近年、国際活動や、地域活動に、「行政と民間の協働」という言葉がしきりと行き交いますが、ユネスコ活動に関しては、半世紀前から「協働作業」が整っていたといえます。
 ユネスコ精神の普及を目的としたユネスコ協会の活動範囲は多岐にわたっています。そのためにこの団体は、国際交流団体、生涯学習関係団体、文化団体、ボランティア団体等と一口に言い切れない性格を有しています。
                ユネスコ活動に関する法律 第一章から   
 ユネスコ活動の目標
第1条 わが国におけるユネスコ活動は、国際連合教育科学文化機関憲章(昭和26年条約第4号。以下「ユネスコ憲章」という。)の定めるところに従い、国際連合の精神に則って、教育、科学及び文化を通じ、わが国民の間に広く国際的理解を深めるとともに、わが国民と世界諸国民との間に理解と協力の関係を進め、もって、世界の平和と人類の福祉に貢献することを目標とする。
       第2条 定 義 ・第3条 国外諸機関との協力 および第二章以下(省略)
 国及び地方公共団体の活動
第4条 国又は地方公共団体は、第1条の目標を達成するため、自らユネスコ活動を行うとともに、必要があると認めるときは、民間のユネスコ活動に対し助言を与え、及びこれに協力するものとする。
 2. 国又は地方公共団体は、民間のユネスコ活動振興上必要があると認める場合には、その助成のため、政令で定めるところにより、その事業に対し援助を与えることができる。
 3. 国又は地方公共団体の機関が前2項の事項を実施するに当たっては、第5条の日本ユネスコ国内委員会と緊密に連絡して行わなければならない。
 
ユネスコ活動に関する法律の全文は目黒ユネスコ協会のホームページでご覧になれます http://www.unesco.or.jp/meguro/

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