ユネスコ文化講座 「言葉から始まる交流」 
主催:目黒区教育委員会  主管:目黒ユネスコ協会
日時 2003.11.28(金) 18:30〜20:30  場所 守屋教育会館
講師 金泰希(キム・テイ)氏 女優 韓国語講師
 
金先生は、韓国ソウル生まれ、来日11年。日本大学・同大学院で芸術学を専攻され、女優、韓国語講師として舞台、テレビに多数出演、活躍されている。2年前より当協会のハングル講座を担当され、その熱心でユニークな韓国語の指導法で成果を挙げ、受講生の信頼も高い。昨年は先生の発案企画同行で韓国スタディツァーも実現した。(ショートニュース202-3参照)以下講演の概要である。
 
 私は、日大在学中に演劇科から映画学科に変わっています。これは日本語に自信がなかったからです。でも卒業して、やっぱり演劇をやりたいと思い、北海道で「つかこうへい劇団」のオーディションを受け、幸い合格できました。その時に、日本語のせりふを一度先生が言って、それを韓国語で私が言い直すという舞台をやりました。相手の俳優さんは、全く韓国語を知りません。どこでせりふが終わるか分からないのです。でもその方は、よどみなく対応できたのです。この時言葉は分からなくても、気持ちは伝わるのだという体験をしました。この時言葉への意識が高まったと思います。
外国語を習う中に、違う表現を知る楽しみがあります。日本語の「木洩れ日」は、韓国語で「ヘサル・太陽の皮膚」、韓国語の「ムル」は、日本語で「水」とか「お冷や」とかいいますね。少しでも韓国語を勉強されれば、韓国ドラマを見て、一言が分かる楽しさを味わうことができます。
 語学は仕事で必要な人とか以外は、なかなか続かないものです。私は、ゲームを取り入れ楽しく、体で覚えられるように授業を工夫しています。私は、「交流」を「友達になること」と考えています。韓国人は、比較的日本に関心を持っていますが、日本人はあまり韓国のことは知りません。韓国の人に一言韓国語で話しかけてみてください。相手の表情がなごみ、喜ばれますよ。その人を好きになり、そして日本を好きになるのです。話が通じたとき、心もつながります。
 
 韓国人は、あまり笑わない国民といわれ、サッカーのワールドカップの前にもっと笑いましょうと、スマイルマークを作ったほどです。でも笑わないのではありません。外国人に対して緊張しているだけなのです。身内には、情が厚いのが韓国人です。一言韓国語を話すことが身内になる一歩です。
 韓国人かたぎに、食べ物など、「私のものは、みんなのもの」というところがあります。また、日本の、親しき中に礼儀ありは、韓国では、「親しき中に礼儀なし」です。多少の甘えは許されます。敬語なども発達していますが、親しいのに敬語を使うと、そんなあらたまった仲だったのと文句を言われかねません。ケンカをしたらもっと仲良くなれると考え、率直で前のことにはこだわらないのが韓国人です。
 
 講演の中で、言葉や韓国文化についての楽しいお話しの他、質問に答える形で、正しい発音のし方として、口の形、舌の位置、喉の使い方に注意するなどを教えていただき、語学学習の貴重なヒントも得ることができました。                         

研修活動委員会 中村 正

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