No.211ー3

 
式典第二部「地球の明日に生きる」 映像と話
フォト・ジャーナリスト 大石芳野さんはスライド49枚を映写しながら講演して下さった
 目黒ユネスコ協会は50年前の1954年目黒区議会議場で設立されたという。この年・1954年の3月〜5月インドシナ半島では、ベトナム北部のラオスとの国境地帯の盆地ディエンビエンフーがベトナム民主共和国の攻撃によって陥落、ジュネーブ協定によってフランスのインドシナ支配に終止符が打たれた。フォトジャーナリスト大石芳野さんは、直前に訪れたベトナムでは、このディエンビエンフー陥落−ジュネーブ協定締結の50周年の祭典を目の当たりにしてから、この目黒ユネスコ協会創立50周年記念講演に臨んだという。
 大石さんの講演はこのベトナムをはじめ、カンボジア、インドネシア、アフガニスタン、バングラデシュ・・・・・のアジアを中心に、カメラがとらえた市井の人々の素顔の表情の写真49点について行われた。
 金持ちの笑い顔−貧しくても良い笑い顔の子供。鳥肌の立つ寒さの中、石鹸水で体を洗ってもらうスラムの子供、フィリピンでは、ゴミの山の中から少しでも使える物を探す子供、地雷で片足を失いながら新聞を売る少年。一方で、地面に腹ばいになり、地雷を除去する人の写真。一日に一個の地雷を除去できれば良い方だという。
 にもかかわらず世界のどこかで今日もたくさんの地雷が敷設されている。
 たくさんの牛を追う人の写真もある。しかし、どの牛もやせている。そればかりか、その人自身もやせている。これらの人たちは食料不足と長時間労働のために、胃に穴があく人が多いとのこと。バングラデシュ全国民の食物摂取量は日本で食べないで捨てられる食物の量にも匹敵するという話を聞いて、なんともいえない複雑な気持ちになった。敗戦後の日本の記憶をこれらの写真に重ねて見るに、「日本は変わった」と、大石氏が言うのは、果たして良い方に変わったとも思えない。
 とはいえ、これらの写真の中にある、貧しくもすがすがしい素顔をもった子供に、「地球の明日に生きる」一筋の光明を見つけたのは、私一人ではないであろう。                       
                                   文責:広報活動委員会・下里容一  
 
式典第三部 「子どもの詩集」朗読
 
子どもの詩集「道・あしたへ」について式典のプログラムは次のように紹介しています。
 子どもの詩集「道・あしたへ」は、目黒ユネスコ協会創立50周年を記念して創られました。
「ことば」は、その国の、その民族固有の文化です。子ども達がこの詩集を手にした時、多文化共生の現実と、たった一つの地球を支えあう喜びと自覚を促されることを、そしてさらに多くの人びとが、子どもの「ことば」から感動と希望を与えられることを切望します。
 混沌とした世界情勢の渦の中で、今こそ 子ども達一人一人が、心に世界の平和にいどむ姿勢を築くことの大切さを知り、自らが担い手であるという意識を培う時です。
 詩集には、「平和を願うこころ・夢・希望・愛」をテーマに約20力国の6歳から15歳までの子供たちから寄せられた約千点の作品の一部を掲載いたしました。制作は、国内外の多くの方々のご協力により驚くほど短期間でなされ、創立記念会に問に合わせていただきました。愛育社はじめ関係各位に御礼を申しあげます。
 この詩集により、子供たちの無垢な声が一人でも多くの方の心に響き、ほんの一歩でも平和に近づく手立てとなり、ユネスコ運動の灯(ともしび)が明日にむけて、いよいよ燃え、受けつがれていくことを心より祈ります。
「子どもの詩集」ご希望の方は、ハガキ又はFAXで事務局までお申し込み下さい
実費相当額1,200円 送料300円でお分けします。
(後日振込可)













「子どもの詩集」朗読は、子ども達の詩に感動した橘由貴さん、音楽で盛り立てたいとの申し出は鈴木郁子さん、そしてピアノ演奏は谷口啓子さんと、つぎつぎと仲間の輪が広がりました。東根小学校有志も協力出演。 NHKの朗読番組でおなじみの橘さん
の朗読に寄り添うように響くピアノ曲はこ の日のための鈴木さんのプロデュー ス。 子どもの心をとらえた静かな語り口に会場の皆さんはいつまでも余韻に浸っていました。
                              
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