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  No.215
2005.3.9  

一枚の書きそんじハガキ

目黒ユネスコ協会 副会長 奥澤行雄

 今年も、目黒区内の小中学校・住区センター・各行政機関にお願いしてあった書きそんじハガキの回収を行った。この1〜2月に行われた回収は日本ユネスコ協会連盟が全国のユネスコ協会に呼びかけて行うもので、日本中の書きそんじハガキが日ユ協連に集められ、整理され、換金されて発展途上国の「寺子屋運動資金」となる。
 一枚の書きそんじハガキが45円になる。45円で買える学用品が外国の為替相場でみると意外に値打ちがあることが分かる。鉛筆は最高級品の中には日本では一本百円以上するものがあるのに、同じ値段で1ダース近く買える国もある。
 一本の鉛筆、一枚の紙も貴重な国もある。終戦直後の日本もそうであった。駐留軍兵士が見せるただ一片のガムやチョコレートが、少年時代の私にはまぶしかった。東南アジアで、今度は私自身がかつての駐留軍兵士であるかのような眼差しで子ども達から見られた経験がある。
日常生活でのムダが指摘されるようになって久しい。捨てるものの値打ちを、もう少し立ち止まって考えたいと思う。「石油一滴、血の一滴」は戦時中の日本の話だが、バケツ一杯の水もなく、一握りの穀物も無い人々は今もなお多い。
 ユネスコ活動は何のためか。教育・科学・文化・平和・・と言葉は美しく尊い。
 でも、そこに倒れて死にそうな人がいるのに、私たちは横目でそれを見ながら通り過ぎようとしているのではないか。まさか、そんことは絶対無いと、はたして言えるのだろうか。
 集められた一枚一枚の書きそんじハガキに、小さなものでありながら、秘められた思いと限りない力を感じつつ、善意の暖かさを思う。
そんな折、4月25日、区内の各団体、企業、グループ、サークル、そして個人の協力・協賛による「スマトラ沖大地震・インド洋津波 災害支援チャリティ−コンサート・サックスとピアノ−熱い響き−」が開かれる。?目黒区国際交流協会と目黒ユ協が主催し?目黒区芸術文化振興財団が共催する初めての試みである。多くの方々の共鳴が区民運動のような幅広いうねりとなることを願うものである。