只見愛「自分に自信をもち、家族や学校、地域に誇りをもち、将来にわたって持続可能な地域を構築できる担い手」の育成
只見町立朝日小学校
活動に参加した児童生徒数/1~6学年69人
活動に携わった教員数/9人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/28人
実践期間2015年4月6日~2016年3月
活動のねらい
【放射線教育】
平成23年3月11日、今までに経験したことのない大地震、東日本大震災が発生した。地震そして洪水、そして、追い打ちをかけるように原発事故が起こった。原発事故における影響とその現状を踏まえて、放射線についての正しい知識を理解し、放射線を自分なりに調べる態度を身に付け、生涯にわたって安全な生活が送れるようにするとともに、自分に自信をもち、郷土に誇りをもち、将来にわたって安全な生活について学び続ける態度を育成する。
【減災教育】
また、同年7月29日の新潟・福島豪雨災害により、只見町は、甚大な被害を受けつつも復興に向けて歩んでいることを知るとともに、本町の歴史的な災害(水害、雪害)を調べることを通して、日頃より自然災害に備え、安全な生活が送れるようにする。さらに、只見町を愛し災害の歴史や教訓を後世に語り継ぐことができるようにする。
活動内容
1)
実践内容・実践の流れ・スケジュール
〇平成23年の新潟・福島豪雨災害を受けて、町で「只見町防災教育全体計画」を策定し、町にある3つの小学校、1つの中学校が一斉に防災教育を実施することにした。
また、放射線教育では、県で震災の年に「放射線教育推進事業」を立ち上げ、毎年実践協力校を選定し、研究を進めている。本校も、昨年度から指定を受け実践協力校として取り組んできた。
しかし、それぞれの活動が単発で終わっていたために、子どもたちの思考、意欲が持続しなかった。そこで、今回のプログラムをもとにESDとして各教科、領域と関連させながら「減災教育」「放射線教育」に取り組むことにした。
【実践例:5年】
学年毎に育てたい児童像を明確にし、それぞれの活動、さらには各教科、領域と関連させながらそこにストーリー性を与え、活動していく。
例えば、5年生のテーマは「伝えよう 只見の食文化・只見の農業」である。社会科の「わたしたちの生活と食料生産」の学習と関連させ、実際に米作りを体験する。その中で、米作りの名人から、まず田んぼの線量を測定することや、自分たちが作ったお米、只見町のお米は安心・安全であることを伝えるために毎年「全袋検査」を実施する、という話をもとに放射線教育と関連させ、福島県の農業の現状について理解を深めていった。さらに米作りの苦労の話では、23年の洪水によって壊滅的な打撃を受けた話を聞き、「減災教育」と関連させた。
減災教育では、例年地域の方から体験談を聞くことを中心に行ってきたが、今年度は、発達段階毎に「避難の仕方」「避難所での過ごし方」「心肺蘇生の仕方」と体験を中心に行った。
① 1,2学年・・・実際に水害に遭った場所に行き、その場から避難方法を考える。(地域の方との連携)
② 3,4年生・・・災害が起きた時の、朝日振興センター、学校の避難場所の様子を知るとともに、避難してきた後「どんなものが必要か?」等考えたり、非常食として熱に強いポリエチレン袋(ハイゼックス袋)を使ってご飯を炊いたりといった活動を行う。(地区赤十字奉仕団との連携)
③ 5,6年生・・・これまでも自然災害によって多くの町民が命をなくしてしまった事実を理解し、AEDを使用した、心肺蘇生法の体験をとおして、命を守ることの大切さを理解する。(地区消防署との連携)
2)9月研修会での学びから自校の実践に活かしたこと、研修会を受けての自校の活動の変更・改善点、
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点、助成金の活用で可能になったことなど。
〇学校独自で防災教育、減災教育は、今まで何度も実施してきている。9月の研修会では、地域住民を巻き込んだ減災教育を見せていただいた。それを受けて、今回は地域の赤十字賛助奉仕団にとどまってしまったが、徐々にではあるが活動、連携の枠を広げることができた。
〇今回のプログラムで、まずは本プログラム・コーディネーターになっている及川幸彦様を講師として招聘し、本校が進めるESDについてご指導いただくことができた。
また、ESD先進校の視察を実施し、ESDカレンダーの研究を深めることができた。このことによって、各教科・領域と関連を持たせたESDの視点に立った「放射線教育」「減災教育」を展開することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
〇 本校の教育課程では、「減災教育」は学級活動で1時間、「放射線教育」は学級活動で2時間しか配当されていない。たった1回2回の授業では、十分な理解を期待することはできない。そこで、ESDの視点に立った「減災教育」「放射線教育」を行ったことによって、各教科・領域と関連させながら繰り返し指導が可能になり、児童の理解を深めることができた。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
〇「放射線教育」では、同じ福島県でも比較的線量の低い只見町。今までニュースでは見たことはあるが、ほとんど意識しなかった放射線。でも、学習していくうちに子どもたちから様々な課題が出てきた。それらの課題を自力解決していくうちに、放射線の知識があまりない他県の人から風評被害を受けている事実が見えてきた。只見町は放射線量が低いと言っても、福島県。県外に出たらひとくくりで見られてしまう。
そこで、6年生ではその対処法をみんなで考え、まず自分たちが放射線の知識をしっかり身に付けること、それをみんなに伝えていくことなどをまとめた。
「減災教育」では、体験を取り入れたことによって、低学年は、水害の恐ろしさを実感することができ、自分の命は自分でしっかり守ることの大切さ(自助)を身を持って学ぶことができた。また、中学年では、災害があった後の避難所生活を体験することによって、互いを思いやって助け合うことの大切さ(共助)を学び、高学年では、心肺蘇生法の体験を通して、消防署員のすばらしさ、また、自分でも命を守るために少しでも役に立つことができることを学ぶことができた。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
〇「つながり」を重視したESDの視点に立った「減災教育」「放射線教育」を行うことによって、以前に増して保護者、地域や関係機関とのつながりが強くなった。そのことによって、学校の教育活動がより透明性がでてきた。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
【教訓や課題】
〇「減災教育」「放射線教育」は、学校だけでは成り立っていかない。地域と連携した活動が大切である。
【今後の改善に向けた方策や展望】
〇 本年度は、地域の赤十字賛助奉仕団と連携した「減災教育」を実施することができた。昨年度、本県では、児童生徒ひとり一人に「防災個人カード」を配付している。主な内容としては、
・「災害用伝言ダイヤル」
・「家族の待ち合わせ集合場所」
・「家族の避難場所」
・「もしもの場合の家族の約束事」
などを記入することになっている。子どもたちひとり一人は、記入したものを携帯し、学校はそのコピーを保存している。
しかし、カードがあると言うだけで、災害時役立つかどうかは分からない。そこで、来年度は、このカードを活用し、保護者と連携した「引き渡し」を想定した「減災教育」、さらには大きく地域を巻き込んだ「減災教育」を計画していきたい。
実践内容・実践の流れ・スケジュール
〇平成23年の新潟・福島豪雨災害を受けて、町で「只見町防災教育全体計画」を策定し、町にある3つの小学校、1つの中学校が一斉に防災教育を実施することにした。
また、放射線教育では、県で震災の年に「放射線教育推進事業」を立ち上げ、毎年実践協力校を選定し、研究を進めている。本校も、昨年度から指定を受け実践協力校として取り組んできた。
しかし、それぞれの活動が単発で終わっていたために、子どもたちの思考、意欲が持続しなかった。そこで、今回のプログラムをもとにESDとして各教科、領域と関連させながら「減災教育」「放射線教育」に取り組むことにした。
【実践例:5年】
学年毎に育てたい児童像を明確にし、それぞれの活動、さらには各教科、領域と関連させながらそこにストーリー性を与え、活動していく。
例えば、5年生のテーマは「伝えよう 只見の食文化・只見の農業」である。社会科の「わたしたちの生活と食料生産」の学習と関連させ、実際に米作りを体験する。その中で、米作りの名人から、まず田んぼの線量を測定することや、自分たちが作ったお米、只見町のお米は安心・安全であることを伝えるために毎年「全袋検査」を実施する、という話をもとに放射線教育と関連させ、福島県の農業の現状について理解を深めていった。さらに米作りの苦労の話では、23年の洪水によって壊滅的な打撃を受けた話を聞き、「減災教育」と関連させた。
減災教育では、例年地域の方から体験談を聞くことを中心に行ってきたが、今年度は、発達段階毎に「避難の仕方」「避難所での過ごし方」「心肺蘇生の仕方」と体験を中心に行った。
① 1,2学年・・・実際に水害に遭った場所に行き、その場から避難方法を考える。(地域の方との連携)
② 3,4年生・・・災害が起きた時の、朝日振興センター、学校の避難場所の様子を知るとともに、避難してきた後「どんなものが必要か?」等考えたり、非常食として熱に強いポリエチレン袋(ハイゼックス袋)を使ってご飯を炊いたりといった活動を行う。(地区赤十字奉仕団との連携)
③ 5,6年生・・・これまでも自然災害によって多くの町民が命をなくしてしまった事実を理解し、AEDを使用した、心肺蘇生法の体験をとおして、命を守ることの大切さを理解する。(地区消防署との連携)
2)9月研修会での学びから自校の実践に活かしたこと、研修会を受けての自校の活動の変更・改善点、
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点、助成金の活用で可能になったことなど。
〇学校独自で防災教育、減災教育は、今まで何度も実施してきている。9月の研修会では、地域住民を巻き込んだ減災教育を見せていただいた。それを受けて、今回は地域の赤十字賛助奉仕団にとどまってしまったが、徐々にではあるが活動、連携の枠を広げることができた。
〇今回のプログラムで、まずは本プログラム・コーディネーターになっている及川幸彦様を講師として招聘し、本校が進めるESDについてご指導いただくことができた。
また、ESD先進校の視察を実施し、ESDカレンダーの研究を深めることができた。このことによって、各教科・領域と関連を持たせたESDの視点に立った「放射線教育」「減災教育」を展開することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
〇 本校の教育課程では、「減災教育」は学級活動で1時間、「放射線教育」は学級活動で2時間しか配当されていない。たった1回2回の授業では、十分な理解を期待することはできない。そこで、ESDの視点に立った「減災教育」「放射線教育」を行ったことによって、各教科・領域と関連させながら繰り返し指導が可能になり、児童の理解を深めることができた。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
〇「放射線教育」では、同じ福島県でも比較的線量の低い只見町。今までニュースでは見たことはあるが、ほとんど意識しなかった放射線。でも、学習していくうちに子どもたちから様々な課題が出てきた。それらの課題を自力解決していくうちに、放射線の知識があまりない他県の人から風評被害を受けている事実が見えてきた。只見町は放射線量が低いと言っても、福島県。県外に出たらひとくくりで見られてしまう。
そこで、6年生ではその対処法をみんなで考え、まず自分たちが放射線の知識をしっかり身に付けること、それをみんなに伝えていくことなどをまとめた。
「減災教育」では、体験を取り入れたことによって、低学年は、水害の恐ろしさを実感することができ、自分の命は自分でしっかり守ることの大切さ(自助)を身を持って学ぶことができた。また、中学年では、災害があった後の避難所生活を体験することによって、互いを思いやって助け合うことの大切さ(共助)を学び、高学年では、心肺蘇生法の体験を通して、消防署員のすばらしさ、また、自分でも命を守るために少しでも役に立つことができることを学ぶことができた。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
〇「つながり」を重視したESDの視点に立った「減災教育」「放射線教育」を行うことによって、以前に増して保護者、地域や関係機関とのつながりが強くなった。そのことによって、学校の教育活動がより透明性がでてきた。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
【教訓や課題】
〇「減災教育」「放射線教育」は、学校だけでは成り立っていかない。地域と連携した活動が大切である。
【今後の改善に向けた方策や展望】
〇 本年度は、地域の赤十字賛助奉仕団と連携した「減災教育」を実施することができた。昨年度、本県では、児童生徒ひとり一人に「防災個人カード」を配付している。主な内容としては、
・「災害用伝言ダイヤル」
・「家族の待ち合わせ集合場所」
・「家族の避難場所」
・「もしもの場合の家族の約束事」
などを記入することになっている。子どもたちひとり一人は、記入したものを携帯し、学校はそのコピーを保存している。
しかし、カードがあると言うだけで、災害時役立つかどうかは分からない。そこで、来年度は、このカードを活用し、保護者と連携した「引き渡し」を想定した「減災教育」、さらには大きく地域を巻き込んだ「減災教育」を計画していきたい。
活動内容写真
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活動において工夫した点
〇ESDの視点に立った「減災教育」「放射線教育」を行うことによって、各教科、領域と関連させながら繰り返し指導が可能となった。
〇学校運営協議会を活用し、地域(地区赤十字賛助奉仕団等)と連携を図ることができた。
〇 関係機関との連携を図ることができた。
資料ダウンロード
資料なし