地域防災の自立連携に向けた防災・減災教育の推進

~多様なステークホルダーと「関わり・つながる」活動を通して~

新居浜市立惣開小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年3500人
活動に携わった教員数/55人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/805人

実践期間

活動のねらい

〇学校と家庭、地域、多様なステークホルダーとの連携により、学校防災力、家庭防災力、地域防災力の向上を図るとともに、地域防災ネットワークを構築し、地域防災の自立連携を推進することで、「災害に強いまちづくり」を実現する。
〇「防災・減災」を通して、学校と家庭、地域をつなぎ、様々な人と人の絆を深め、地域を元気に、愛のある愛顔いっぱいの惣開の町をつくる。
〇災害時に自分達にもできることは何かを考え、ともに支え合い助け合っていこうとする共助力やセルフ・リーダーシップ、ボランティア精神を身に付ける。将来の防災リーダーとなる人材を育てる。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
〇全校防災教室や防災講演会、気象庁出前講座、赤十字血液センター 出前講座の開催。(年間指導計画)
〇合同総合防災訓練、避難所生活体験シミュレーション訓練の実施。(9月、10月)
〇徳島県松茂町立長原小学校との防災学習交流会の実施。(10月)
〇Jアラート緊急地震速報訓練、地震・火災対応避難訓練等の実施。(年間指導計画による)
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
<変更・改善点>
〇関係機関の代表者と合同総合防災訓練の打合せを事前2回・事後1回、開催していたが、きちんとした組織として立ち上げていなかったので、惣開校区防災・減災推進委員会として立ち上げた。
〇4年生の児童が消防署と連携して、防災学習する際、三角巾や簡易担架などの防災スキル学習に保護者も子ども達と一緒に参加できるよう案内し、防災ママ(合同総合防災訓練での活動班のリーダーとして活躍して頂く)を育成。5人の防災ママが、主体的に応急処置班のリーダーとなり活躍した。
〇合同総合防災訓練のけが人救助班活動(バールやジャッキ、板などを使って、けが人の人形を救助)で、教員がこれまで主のリーダーで入っていたが、PTAの防災リーダー育成のため活動班の運営を任せた。
〇助成金で購入した車椅子やアルミ製の軽いリヤカーを、総合防災訓練で、足の不自由な方やお年寄りの避難の際に活用できるようになった。
3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
〇総合防災訓練では、これまで保護者は活動班に参加してもらい一緒に体験する側で、教員や関係機関のリーダーがいるので、声をかけてもらったり、説明してもらったりしていた。そこで、保護者自身が自らセルフリーダーシップをとれるように、活動班を一つ任せたことで、主体的に考え、防災・減災への意識を高めることができた。けが人の応急処置班で主体的に活動した「防災ママ」も、同じ保護者同士で説明して教えてあげたり、防災意識を高めることに繫がっていた。
児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
〇自分の災害時はお客さんではなく、避難所設営・運営の主体者として率先して「気づき・考え・行動しよう」とするアクティブな児童の姿が見られるようになった。自分も他の人の命も、かけがえのない大切な命であることを理解し、共に助けあって行動できる力が育ってきている。
教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
〇今年は雨の中、初めて校舎や体育館を使って、総合防災訓練を実施したが、雨の中、天候の悪い中の訓練であったため、より意義があったという感想だった。寒さに対しての防寒や水の大切さ、携帯トイレや非常持ち出し品の準備、家族との連絡方法など、一人一人が危機意識をもって、日頃から「明日は吾身」と真剣に防災意識を高めておかなければという感想が聞かれた。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
〇総合防災訓練では、これまで、晴れの場合のやり方で、1000人近くにもなるので、運動場に避難させてから、運動場や体育館、校舎を使って大規模に訓練を展開してきたが、雨の場合でも、避難場所を体育館や教室と分けて収容し、開会式を放送版と体育館版、防災講話のもち方の工夫、各活動を教室や渡り廊下も活用して行えば十分可能であり、保護者からも大変実践的で良かったという感想であった。
 

活動内容写真

  • 教員による児童の避難者受付

  • 地区ごとに区割りし避難した体育館内(開会式)

  • 組み立てBOXパーテーション組立

  • けが人救助班でけが人役の人形を救出

  • 児童引渡し訓練の様子

活動において工夫した点

雨の中、実際の災害を想定して、幼稚園児・児童を含め参加者1000人近くを、どのように体育館と校舎内に収めていくか、避難所受付を終えた後、訓練ではあるが、どこに待機させればうまく進行できるか、校舎の教室のどこを解放するか、渡り廊下を含めてどのように訓練場所を設置するか、1000人近くが混乱せず、スムーズに動け、様々な訓練を体験できるよう工夫した。

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