黒潮町の「犠牲者0」のために、高校生にできること
高知県立大方高等学校
活動に参加した児童生徒数/1~3学年84人
活動に携わった教員数/20人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/80人
実践期間2019年4月8日~2020年3月31日
活動のねらい
南海トラフ地震発生時に甚大な被害が想定される黒潮町の唯一の高等学校として非常時、平時ともに何ができるか、地域住民の防災意識の向上にいかに貢献するかを地域や行政機関とともに考えさせる。防災の活動の中でコミュニケーション力や課題解決力、プレゼン力といった社会性を身につけ、社会に貢献できる自信を持ち、自己肯定感や有用感の向上から学習意欲や進路決定意欲に結びつけたい。
活動内容
1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
【避難所運営に関する活動】
【避難路検証に関する活動】
4月~6月
・第1回 炊き出し訓練
・保小中高合同避難訓練&交流会
7月~9月
・避難所運営マニュアル改訂案を町役場に提案
・福祉避難所でのオリジナルHUG実践
・全校生徒でオリジナルHUG実践
・第1回逃げトレ訓練
・第1回逃げトレ訓練の住民への報告会
・視覚障がい者の方との逃げトレ訓練
・聴覚障がい者の方との逃げトレ訓練
10月~12月
・隣接市の中学校への出前授業(中学生・保護者の方とオリジナルHUG実践)
・夜間避難所運営訓練
・高知市内の小学生への出前授業
(避難所での健康管理について)
・第2回逃げトレ訓練
・第2回逃げトレ訓練の住民への報告会
・第3回逃げトレ訓練
・黒潮町地区防災シンポジウムでの取組発表
1月~3月
・福祉避難所との連携避難所開設訓練
・近隣の小学生への出前授業
(作成した防災カルタを用いて)
・第3回逃げトレ訓練の住民への報告会
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修において、備えの大切さと被災当事者の思いを活かす防災教育の取組が必要と感じ、学校行事や防災の活動を行う際に、「今ここで発災」したらという「if」を意識させる注意を生徒に投げかけた。併せて、「逃げる」を定着化するために地域の方と実証実験に基づく避難訓練を通して、被災当事者の方々が繰り返し言われる「てんでんこ」の思想の定着化を図った。また、これまで、「オリジナルHUG」中心のシミュレーションに基づく出前授業から、「防災カルタ」を作成しそれを活用した知的理解の促進に基づく出前授業への転換を図った。また、外国人を意識した取組への発展など新たな他分野への取組につなげた。助成金については、カルタ作成や配布資料作成・防災だよりの印刷等の教材作成や広報活動に活用させていただいた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
避難所訓練においては、昨年度に引き続き『大方高校オリジナルHUG』(以下『オリジナルHUG』)を用いて数回校内での避難所運営訓練を実施した。校内では、それ以外に炊き出し訓練や黒潮町の夜間避難訓練を活用した避難者受入れ訓練を行い、避難者を受け入れる上での課題を確認した。また、黒潮町健康福祉課の訓練と連携し、要配慮者を本校の一般避難所から福祉避難所へ移送する訓練も実施した。
今年度の新しい取組として、近隣の福祉避難所に指定されている施設に出向き、要配慮者の避難所生活を考える『オリジナルHUG』(いわゆる『出前HUG』)を実践した。また隣接市の中学校の要請を受けて、出前授業として生徒、教員、保護者、地域住民と『オリジナルHUG』を用いた避難所運営訓練を行った。
今年度のもう一つの取組の柱は『避難路検証』である。昨年度、授業で本校への避難が想定されている地区で行ったことから、今年度、他の3地区からの要請を受けて実践した。いずれも京都大学が開発した『逃げトレ』アプリを用いることで、避難に関する様々なパターンが検証でき、地区防災会議では検証結果を、時間の経過とともに避難者が移動する状況と津波到達が視覚的に分かる動画を用いて報告し、より早く避難できるようになるための提案も行った。
今年度の取組は、昨年度と比較して校外活動が増え、生徒と地域や行政機関と連携する機会が増加した。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
要配慮者の避難を考える活動が多かったことから、要配慮者の避難や避難生活を考え、非常時に高校生に何ができるか、平時から何ができるかを考え、黒潮町への避難所のハード面での提案やヘルプマークの周知、手話教室へ通うなど、自らが必要なことは何かを考え、行動することができるようになった。
また、地域や行政機関との連携が増え、コミュニケーション力やプレゼン力も向上傾向にあり、社会に役に立てるという自己効力感や有用感の向上が見られた。(県オリジナルアンケート結果より)
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
防災教育の企画、運営、推進は教員間の防災プロジェクトチームが中心となる仕組が定着し、黒潮町役場との連携した取組も増え、社会福祉協議会や福祉施設、NPOともつながることができたが、プロジェクトチームのメンバーの見直しにより、さらに効果的な運営取組につなげることが課題として見えてきた。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
教員と連携機関との打ち合わせの回数を確保し効果的な事前学習を行うこと。防災プロジェクトチームのメンバーを見直すこと。定期的な防災委員会の開催と早期の活動テーマを決定すること、などに取組みたい。
【避難所運営に関する活動】 | 【避難路検証に関する活動】 | |
4月~6月 | ・第1回 炊き出し訓練 | ・保小中高合同避難訓練&交流会 |
7月~9月 | ・避難所運営マニュアル改訂案を町役場に提案 ・福祉避難所でのオリジナルHUG実践 ・全校生徒でオリジナルHUG実践 |
・第1回逃げトレ訓練 ・第1回逃げトレ訓練の住民への報告会 ・視覚障がい者の方との逃げトレ訓練 ・聴覚障がい者の方との逃げトレ訓練 |
10月~12月 | ・隣接市の中学校への出前授業(中学生・保護者の方とオリジナルHUG実践) ・夜間避難所運営訓練 ・高知市内の小学生への出前授業 (避難所での健康管理について) |
・第2回逃げトレ訓練 ・第2回逃げトレ訓練の住民への報告会 ・第3回逃げトレ訓練 ・黒潮町地区防災シンポジウムでの取組発表 |
1月~3月 | ・福祉避難所との連携避難所開設訓練 ・近隣の小学生への出前授業 (作成した防災カルタを用いて) |
・第3回逃げトレ訓練の住民への報告会 |
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修において、備えの大切さと被災当事者の思いを活かす防災教育の取組が必要と感じ、学校行事や防災の活動を行う際に、「今ここで発災」したらという「if」を意識させる注意を生徒に投げかけた。併せて、「逃げる」を定着化するために地域の方と実証実験に基づく避難訓練を通して、被災当事者の方々が繰り返し言われる「てんでんこ」の思想の定着化を図った。また、これまで、「オリジナルHUG」中心のシミュレーションに基づく出前授業から、「防災カルタ」を作成しそれを活用した知的理解の促進に基づく出前授業への転換を図った。また、外国人を意識した取組への発展など新たな他分野への取組につなげた。助成金については、カルタ作成や配布資料作成・防災だよりの印刷等の教材作成や広報活動に活用させていただいた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
避難所訓練においては、昨年度に引き続き『大方高校オリジナルHUG』(以下『オリジナルHUG』)を用いて数回校内での避難所運営訓練を実施した。校内では、それ以外に炊き出し訓練や黒潮町の夜間避難訓練を活用した避難者受入れ訓練を行い、避難者を受け入れる上での課題を確認した。また、黒潮町健康福祉課の訓練と連携し、要配慮者を本校の一般避難所から福祉避難所へ移送する訓練も実施した。
今年度の新しい取組として、近隣の福祉避難所に指定されている施設に出向き、要配慮者の避難所生活を考える『オリジナルHUG』(いわゆる『出前HUG』)を実践した。また隣接市の中学校の要請を受けて、出前授業として生徒、教員、保護者、地域住民と『オリジナルHUG』を用いた避難所運営訓練を行った。
今年度のもう一つの取組の柱は『避難路検証』である。昨年度、授業で本校への避難が想定されている地区で行ったことから、今年度、他の3地区からの要請を受けて実践した。いずれも京都大学が開発した『逃げトレ』アプリを用いることで、避難に関する様々なパターンが検証でき、地区防災会議では検証結果を、時間の経過とともに避難者が移動する状況と津波到達が視覚的に分かる動画を用いて報告し、より早く避難できるようになるための提案も行った。
今年度の取組は、昨年度と比較して校外活動が増え、生徒と地域や行政機関と連携する機会が増加した。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
要配慮者の避難を考える活動が多かったことから、要配慮者の避難や避難生活を考え、非常時に高校生に何ができるか、平時から何ができるかを考え、黒潮町への避難所のハード面での提案やヘルプマークの周知、手話教室へ通うなど、自らが必要なことは何かを考え、行動することができるようになった。
また、地域や行政機関との連携が増え、コミュニケーション力やプレゼン力も向上傾向にあり、社会に役に立てるという自己効力感や有用感の向上が見られた。(県オリジナルアンケート結果より)
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
防災教育の企画、運営、推進は教員間の防災プロジェクトチームが中心となる仕組が定着し、黒潮町役場との連携した取組も増え、社会福祉協議会や福祉施設、NPOともつながることができたが、プロジェクトチームのメンバーの見直しにより、さらに効果的な運営取組につなげることが課題として見えてきた。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
教員と連携機関との打ち合わせの回数を確保し効果的な事前学習を行うこと。防災プロジェクトチームのメンバーを見直すこと。定期的な防災委員会の開催と早期の活動テーマを決定すること、などに取組みたい。
活動内容写真
-
炊き出し訓練
-
保小中高合同避難訓練
-
福祉避難所開設訓練
-
福祉避難所でのオリジナルHUG
-
高齢者疑似体験と逃げトレ訓練
-
小学校への出前授業
炊き出し訓練
保小中高合同避難訓練
福祉避難所開設訓練
福祉避難所でのオリジナルHUG
高齢者疑似体験と逃げトレ訓練
小学校への出前授業
活動において工夫した点
取組を授業だけでなく防災委員に広げ、できるだけ多くの生徒の経験になるようにし、校内の活動から地域での活動を増やした。それにより、防災の取組や対応は当たり前の雰囲気が生徒の中に生まれている。
資料ダウンロード
資料なし