防災カルタの作成と地域防災力向上への協力

 東京都立杉並総合高等学校

活動に参加した児童生徒数/1学年238人
活動に携わった教員数/18人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/200人

実践期間2020年7月6日~2021年3月22日

活動のねらい

防災教室での体験や学習をもとに、防災に関する知識や技術を整理し、防災カルタという形でそれを表現する。さらに作成したカルタを交流のある近隣の小学校に贈呈し、地域児童の防災意識を高めるとともに、防災教室を高校生が企画し進行することで、地域の防災力の向上に貢献することを目的とする。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
宿泊防災訓練(地元の消防署、消防団、防災ボランティア、水道局の協力による防災訓練)
 具体的内容:AEDによる救急救命訓練、消火器訓練、傷病者の搬送法、包帯法、消防署への通報訓練、
       煙体験と車いすの補助、スタンドパイプの使用訓練、
       災害時に近隣の小中学校へ飲料水の運搬に向けた実地踏査
       非常食(α化米)の炊き出し、容器詰め、運搬配布、体育館での避難所体験
※ 緊急事態宣言下のため実施予定日に実施ができず3学期に延期したが、そちらも第2波による緊急事態宣言が発令され、年度内の実施が困難となった。
 代替えの活動 避難訓練を利用して、防災士による防災講話を4回受講した。
        各クラスの図書コーナーに防災関連書籍を配布し、それを閲覧した。
 防災カルタの作成 1月下旬より準備活動開始
          班分け ⇒ 担当文字の決定 ⇒ 読み札の検討 ⇒ 絵札の検討 ⇒ 清書
 防災カルタの完成 (1クラス1セット 合計6セット作成)
          ボランティア委員が、近隣小学校へ赴き、防災教室を開いて、防災カルタを贈呈する
          ※コロナの影響で年度を越えての実施となる

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
年度当初計画していた宿泊防災訓練が、二度の延期の上に年度内の実施が不可能となったために、すべての計画を変更しなくてはならなくなった。
9月の研修での成果も踏まえ、本校生徒の防災知識と技術の向上だけでなく、地域防災力の向上に貢献できることはないかと考え、防災カルタの作成へと方向転換した。その作成に必要な予算を計上していなかったため、資料や資材の準備のために助成金が利用でき非常に助けられた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
これまでは、生徒の防災に対する知識と技術の向上のために地域の方々に協力してもらうという形での防災訓練であった。しかしプログラムの変更により、受動的な訓練ではなく、生徒が主体的かつ自発的に活動することが中心となった。そしてその活動によって得られた知識や技術を、地域の防災力の向上に貢献するという形のものへと変化させることができた。
まだ実施できていないが、小学生対象に防災教室を開くなどの活動を通して、生徒のコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力の向上も期待できる。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
カルタの作成は、自分に割り当てられた文字についてどのような読み札にするのかということが最も難しい作業行程である。各クラスに配布された防災に関する資料から、それを生み出すことに積極的に取り組むことは、防災を受動的な活動ではなく能動的な活動に変化させることに繋がったといえる。その結果、自発的な活動風景が随所に見られた。
今年度は、合唱祭・文化祭・体育祭とすべての学校行事が開催できなかったことで、クラスが協力して何かに取り組むという機会が失われていた。カルタの作成を6人班で7文字程度の割り振りにしたことで、言葉・文字・挿絵など、自分の得意な分野で作成に協力するといった協働の機会が得られたことも大きな意味があったといえる。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
担任教師としては、入学以来学校行事が何もできなかった状況の中、クラス全員で協力して一つのものを作り上げる機会が得られたことはよかったと思われる。また、生徒の新なの一面を知る機会にもなった。
ボランティア委員による近隣の小学校での防災教室の実施やカルタの贈呈などはまだ実施できていないが、地域防災力の向上に十分に貢献できるものと思われる。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
コロナ禍の影響で交流といった部分での活動ができない状況であるが、そのような環境でもできる地域との交流手段を模索する必要があると思われる。
新規に始めた防災カルタづくりを今後どのように継続させるかも、検討すべき課題である。

活動内容写真

  • 防災かるた

活動において工夫した点

・ 防災の知識や技術を受動ではなく自発的に学習する機会を与える。
・ クラスで協力して一つのものを作り上げることの大切さを実感させる
・ 活動の成果を、自校だけのものとせずに、地域に伝授し、貢献する
・ 活動を通じて、地域との交流をさらに深めていく

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