自分の命は自分で守る!~まちと人の未来のために、子供が主体的に動き出す実効性の高い防災教育を目指して~

和歌山市立高松小学校

活動に参加した児童生徒数/5学年76人、6学年73人 計149人
活動に携わった教員数/8人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/92人

実践期間2016年5月11日~2017年3月24日

活動のねらい

近い将来必ず来ると言われる南海トラフ巨大地震。そのとき自分の命と大切な人、もの、こと、そしてふるさと「たかまつ」を守るための正しい知識、判断力を培い、率先して実践する力を養うことを目的とする。

活動内容

1)助成活動内容
(1)【知る】写真や話などの情報から巨大地震・津波について知る。
(2)【課題意識を持つ】防災チャレンジャー発足!!「自分たちの町は大丈夫なのか?」という課題意識を持ち、高松地域を実際に歩いて調査する。
(3)【追究する】集めた情報をもとに被害の状況を地区ごとにまとめ、出し合い、そのときどのように行動するべきか考え話し合う。自分たちの考えをまとめたマップをもとに発表し、地域の方や大学の先生、市の地域安全課の方に意見を伺う。減災・防災計画をより実効性のあるものに高め、1枚の防災マップに仕上げていく。
(4)【まとめる】地域の方や大学の先生、市の方から頂いた意見も取り入れて、減災・防災計画をより実効性のあるものに高め、1枚の防災マップに仕上げていく。完成させた防災チャレンジャーの減災・防災計画を市長さんや地域の方、大学の先生を前にプレゼンしてご講評いただく。
(5)【活用する】学校全児童にたかまつ減災・防災計画をプレゼンし、実際に秋葉山まで避難訓練を行う。6年生は、防災ずきんを手作りして新1年生に贈る作業を進める。

2)
成果成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・指導する教員が、先に実際に東日本大震災の状況を見聞きし、未来を見据えて子供たちにどのような教育プログラムを推進しているのか、その意図と現状を学ぶ研修を経ることができたのは、非常に有効であった。また、防災学習シートは全国共有の財産として、各学校のおかれた条件・状況に応じてフレキシブルに活用できる素晴らしいものであると考えている。

成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力を身につけたか。
・子供達が主体的・能動的に減災・防災について考え、課題を持ち、自らの足や手で学びを獲得していく教育活動が行えた。津波が、どの川を遡上してどの場所がどの程度浸水するのか、土砂崩れの危険性がある箇所はどこなのか、交通がマヒするのはどこなのか、実際に歩きながら確認し、具体的な第1次避難場所を理解することができた。また、自分のことだけでなく地域のお年寄りや小さい子供の命にも考えを及ばせ、ふるさとたかまつを守るために「自分が動く」という意識を持つことができた。

成果③ 教師や保護者、地域、関係機関等の視点から
・防災チャレンジャー報告会1に、多くの地域住民の方がお越しくださって、さまざまなご意見をいただくことができた。同時に子供の調査活動が意欲的・主体的に行われ、実効性のあるものになっていることに高い評価をいただいた。和歌山大学教育学部災害科学教育研究センター教授からは、専門的な見地からたかまつの地域の特性と被害について教示いただき、地域の方と一緒に学ぶことができた。地域、関係機関、また市長さんとのつながりが深まる契機となった。

3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
・次年度は、年間を通し全学年において、発達に応じた減災・防災学習をカリキュラムに組み入れていく。まずは「防災学習シート」を活用し、全学年で週1回モジュール学習に減災・防災を取り入れる。3年生以上は総合的な学習の時間を使って、減災・防災単元を組み実践していく。

活動内容写真

活動において工夫した点

防災チャレンジャー報告会を3段階(1回目:地域・保護者・教授に対し地区ごとに)(2回目:市長さんに対し高松地域全体について)(3回目:全校児童に報告し、その後実際に第1次避難の訓練)に分けて行うことで、子供たちの学びは深まり、減災・防災の主体的リーダーとしての意識が高まった。6年生は、手作りの防災ずきんを新1年生に向けて製作することを伝統としていく。5年生で防災リーダーとしての自覚を持ち、6年生となって次の世代へと、その願いをつないでいく。学校が「FISH」の精神をもって、現在・防災教育を継続して行うことの重要性を強く感じた。

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