地域減災・防災プロジェクト~東北支援を通じて~

大阪府立堺工科高等学校 定時制の課程

活動に参加した児童生徒数/1~3学年120人
活動に携わった教員数/30人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/300人

実践期間2019年4月22日~2020年3月13日

活動のねらい

本校は海の近くに位置し、海抜が10mで地震の際の津波被害が考えられるので、地域と共に東北支援活動に取り組み、ボランティアに関わることにより、震災による津波等の被害について学び、地震・津波が来た時の対処の仕方や避難の方法についてなど様々な事を教えてもらい、その事を教訓として地域自治会で「防災・減災」についての講演をおこなったり、有事の際に本校と地域のために役立てる。   
生徒・保護者及び地域住民の方々には、被災した方々の立場に立って自然災害について考えてもらいたいので、「東北支援プロジェクト」を通じて様々な支援を行う必要がある。
また、本校生徒が製作した「バイオディーゼル発電機」(不要な天ぷら油や廃油で発電出来る機械)により、停電の際の明かりの確保・各種充電等、地域の防災活動に役立て、生徒作の「電気自動車」は避難場所への誘導の際の先導車として活用する。
「ドローン」による「避難経路マップ」の作製も減災・防災教育にとって重要である。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
〇2019年4月20日・21日
「堺刃物まつり」において、「東日本大震災」のパネル展示及び本校オリジナルDVDの放映をおこない、地域の方々に「地震・津波」に対する防災意識を高めてもらった。風化を防ぐ活動として、被災地支援用の「線香」の販売及び募金活動をおこない、被災地への「義援金」とした。
〇2019年6月~
・「防災啓発グッズ」の製作に取り掛かる
〇2019年7月~
・「バイオディーゼル発電機」の製作に取り掛かる
〇2019年7月7日
・本校主催の「一万人のキャンドルナイト」をおこない、地域の電気を一斉に消して「停電」を体験してもらい、「減災・防災」について地域の方々と話し合った。
〇2019年7月23日~26日
・宮城県・岩手県を訪問し、本校生徒作の「包丁」・「線香」及び「義援金」の寄贈をおこない、被災地の方々と交流し、地震・津波についてのお話を聞かせて頂いた。宮城県農業高校・岩手県立大船渡東高等学校・岩手県立遠野緑峰高等学校と交流し、「防災・減災」についての意見交換をおこなった。各被災地において、これまでに寄贈した「包丁」の砥直しもおこなった。
〇2019年7月9日~12日
・九州北部豪雨被災地である福岡県朝倉市、熊本地震被災地である益城町・阿蘇神社・熊本城を訪問し、生徒作の「支援品」及び「義援金」を手渡し、「減災・防災」についての意見交換をおこなった。
〇2019年7月17日~19日
・沖縄県石垣島八重山商工高等学校において、本校の「東北支援プロジェクト」についての発表をおこない、支援活動や防災活動について意見交換をおこなった。
〇2019年7月29日~30日
・「風に立つライオン高校生ボランティア・アワード」全国大会において、「東日本大震災」の被災状況・復興状況及び支援活動についてのポスター発表をおこない、「防災」の大切さを理解してもらった。
〇2019年8月23日~25日
・「環境教育賞」優秀賞を受賞し、北海道の「環境ハウス」において「バイオディーゼル発電機」と地域の防災活動についての発表をおこなった。
〇2019年9月~
・被災地支援用「線香」の製作に取り掛かる
〇2019年9月25日
・本校主催で「夜間防災訓練」をおこない、本校生徒と地域住民が「減災・防災」について、様々な体験を通して考察し、意見交換をおこなった。
〇2019年10月~
・被災地支援用「包丁」の製作に取り掛かる
〇2019年10月19日~20日
・「堺まつり」において、「東日本大震災」のパネル展示及び本校オリジナルDVDの放映をおこない、地域の方々に「地震・津波」に対する防災意識を高めてもらった。風化を防ぐ活動として、被災地支援用の「線香」の販売及び募金活動をおこない、被災地への「義援金」とした。
〇2019年10月28日~31日
・ 北海道胆振東部地震の被災地である厚真町・安平町・むかわ町・札幌市・北広島市を訪問し、生徒作の「支援品」及び「義援金」を手渡し、「減災・防災」についての意見交換をおこなった。
〇2019年11月9日~10日
・ 「線香まつり」において、「東日本大震災」のパネル展示及び本校オリジナルDVDの放映をおこない、地域の方々に「地震・津波」に対する防災意識を高めてもらった。風化を防ぐ活動として、被災地支援用の「線香」の販売及び募金活動をおこない、被災地への「義援金」とした。
〇2019年11月18日~19日
・気仙沼市立階上中学校を訪問し、生徒さんに「防災カルタ」の製作依頼をおこなった。本校生徒が製作した「防災啓発グッズ」とのコラボを予定している。
・気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館を訪問し、階上中学校と本校のコラボ「防災啓発グッズ」の配布方法や気仙沼市「岩井崎の塩」の活用についてなどの意見交換をおこなった。
〇2019年12月15日
・全国ユース環境活動発表大会において「防災とバイオディーゼル発電機」についての発表をおこなった。
〇2020年1月21日~24日
・西日本豪雨の被災地である岡山県倉敷市・真備町、広島県を訪問し、生徒作の「支援品」及び「義援金」を手渡し、「減災・防災」についての意見交換をおこなう予定である。
〇2020年2月~
・階上中学校とのコラボ「防災啓発グッズ」の製作に取り掛かる。
〇2020年2月9日
・地域の「防災訓練」において、「東北支援プロジェクト」を通じて学んだことについての講演及び「バイオディーゼル発電機」の活用についての講演、本校オリジナルのDVD放映をおこなう。
〇2020年2月17日~
・階上中学校とのコラボ「防災啓発グッズ」の配布活動
〇2020年3月3日~5日
・「東日本大震災」各被災地を訪問し、生徒作の「包丁」・「線香」・「防災啓発グッズ」及び「義援金」を手渡し、「減災・防災」についての意見交換をおこなう。
・気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館を訪問し、階上中学校と本校のコラボ「防災啓発グッズ」の配布方法について最終決定する。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
気仙沼市立階上中学校の防災の取り組みに非常に感動し、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館の館長佐藤克美氏のお話、そして及川幸彦先生の講演に心を打たれ、すぐに本校教員及び生徒に報告をおこなった。教員・生徒から特に「防災カルタ」と「防災クイズ」を本校及び地域で活用できればという声が上がり、地域との「夜間防災訓練」において「防災クイズ」のコーナーを設けた。また、「防災かるた」は階上中学校に依頼して生徒の自筆で作ってもらい、本校生徒が作った地域の地場産業品と共に「防災啓発グッズ」として、地域の防災意識を高めるために配布する予定である。また、「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」や「阪神淡路大震災記念人と防災未来センター」の来館者への配布も考えている。
 昨年度までは、地域の地場産業である「包丁」・「線香」の製作だけだったのが、今年度は「防災啓発グッズ」として、他の地場産業品の製作にも取り組むことが出来て、被災地への寄贈だけではなく、近隣地域の方々へも配布する事となり、地域の防災意識を高めることが出来る。助成金の活用で「防災啓発グッズ」(伝統地場産業の蜻蛉玉ネックレス・香立て)の製作が可能になった。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
地域の消防署の協力で実施した「防災クイズ」は、本校生徒・教員、地域住民の方々が大いに参考になったと大好評で、今後、より充実した「防災クイズ」をおこなう予定で、そのために「減災・防災」についての広く深い知識が必要となり、これまで以上に真剣に取り組むことになった。
階上中学校生徒自筆の「防災カルタ」とのコラボ「防災啓発グッズ」を製作することにより、本校生徒・教員、地域住民の方々の防災意識が高められ、オリジナル「防災カルタ」の製作の計画も進んでいる。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
「防災クイズ」と「防災カルタ」は、本校生徒にとって非常に興味深く、なおかつ入りやすい内容であるため、クイズやカルタから多くの防災に関する知識を得ることが出来て、多くの学びがあった。また、階上中学校生とのコラボ「防災啓発グッズ」製作の発案は本校生徒からであり、中学生に刺激を受けて、これまでに育んできた防災意識や「自助」・「共助」・「公助」の意識が一気に開花した感があり、一回り成長したようだ。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
防災活動を通じて、学校と地域との連携が非常に密接になった。「防災訓練」についても別々にしていたが、合同で複数回(日中バージョンと夜間バージョン)実施することとなった。避難経路マップも学校と地域が協力して作成する予定である。また、地域の伝統工芸士の方々も「防災」に対する意識が高まったようで、地場産業による「防災啓発グッズ」の製作に積極的に協力して頂けるようになった。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望 学校と地域が連携することは、「減災・防災」活動をする上では必要不可欠であると痛感した。そのために、地域と近隣の小・中・高等学校が一体となって、警察や消防も巻き込んでの「防災訓練」や「減災・防災に関する講演会」などを実施する必要がある。次年度以降は、鉄道会社・バス会社にも協力してもらって、有事の際の避難方法や避難経路について話し合う必要がある。
次年度以降の実践に関しては、防災カルタ入り「防災啓発グッズ」の配布地域の範囲を広げ、各地の伝承館に置いてもらい、多くの人の防災意識を高めたいと考えている。

活動内容写真

活動において工夫した点

階上中学校の素晴らしい取り組みをいかに地域で広めていくか、そして気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館のために出来ることを学校・地域で話し合った。早速11月に階上中学校を訪問し、中学生自筆の「防災カルタ」の作製を依頼し、快諾して頂いた。気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館も訪問し、来館者に「防災カルタ」が入った「防災啓発グッズ」を配布する提案をした。
 地域の地場産業によるコラボ「防災啓発グッズ」(防災カルタ入り)を製作することで、地場産業が盛り上がり、配布することにより、地域全体の防災意識が高められ、階上中学校の防災活動の紹介も出来て、まさにウィンウィンの活動であると考えている。

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