ペルー便り
~鳥の楽園、ペルー~
ウグイスが鳴けば春、カッコウは夏、たくさんの鳴き声で楽しませてくれるモズは秋、という感じで、日本人は鳥の鳴き声から季節の変化を敏感に感じることができる。一方ペルーでは、鳥の鳴き声で季節の変化を感じることはほとんどない。なぜなら季節が大きく夏(乾期)と冬(雨季)しかない上、海岸砂漠、アンデス山脈、熱帯雨林とまったく別の表情を持つ自然区分を持つことから、季節の変化
を象徴する鳥の統一認識を持つことが難しいからだ。
しかし種の多さでは実は世界第2位を誇る。北アメリカ(メキシコを除く)とヨーロッパの野鳥を全部足した数よりも多く、今わかっているだけで1847種がペルー国に存在する(ペルー環境省調べ)。この数はなんと、世界の全種の20%! ちなみに一位はコロンビアで、数十種の差しかない。ペルーを代表する野鳥と言えばアンデス・コンドル。両羽を広げて3メートルにも達するコンドルは、昔から語り継がれるアンデスの世界観に必ず出てくる。天(神)地上(我々)、地下(死)の3つの世界観があるが、コンドルは天と地上を繋げる重要な存在であった。基本的にアンデスにいるが、砂漠や熱帯雨林にまで飛んでくることもある。
1秒に平均70回も羽ばたくと言われているハチドリ。アメリカ大陸にしか生息しておらず、ペルーでは120種類以上も確認されている。大きいものでオオハチドリ全長20cm、小さいものでチビオ・ハチドリ7cm、他にもユニークな種として、尾翼が発達しテニス・ラケットのようになっているオナガラケット・ハチドリがいる。
日本のように季節を味わう野鳥観察はペルーにはないが、年々バード・ウォッチング・ツアーに参加する人が増えている。これも野鳥の住める環境が残っており、地域の人もその価値を認識しているから。社会と自然を意識した観光が増えてもらいたいと、野鳥の気分の私は思う。 (太田 さやか)