ユネスコサロン
~ベトナムの空の下で(17歳が見た寺子屋運動)~
春休みに近い3月15日、鎌倉生涯学習センターで高校生会員の蓮見朱加(あやか)さんのベトナム報告会が開かれた。昨秋、日ユ主催の「高校生ベトナムスタディツアー」に選ばれて旅をした17歳の少女と助っ人として八王子から来て4月から高校生になる若い会員も含め26名の出席者があった。朱加さん達の昨年末から新年にかけての9日間のツアーは、驚きと発見の連続だったようだ。必ずというほど飛行機は定刻どおり飛ばない。
ハノイの街ですら、道路は泥だらけ、信号無視の車やバイクを避け、泳ぐように道を渡る人々。ライチャオ省で、彼等が訪れた寺子屋は村一番の立派な建物だったこと。村の家にホームステイした時庭で飼っていた鶏が食卓にでたこと。貧しい村の暮らしでは、3ヶ月近くも米を口にすることもなくトウモロコシを食べていると聞いていたので勇気をだして鶏を食べたこと。
中国と接した川に架かる橋を踏みしめ国境を実感したこと。フエの王宮(ベトナムで初めて世界遺産に登録された所)は、戦争で破壊されたまま放置され、そこにホームレスの人が住みついている現実。
一方、同地での名門校の上流階級の子女との交流では、宮殿のような校舎に、英語の上手な生徒たちがいて圧倒されたことなど。 ツアーに参加した13人の高校生と引率の先生方は、夜のミーティングでベトナムの復興について話し合っている。経済発展の陰で文化がなおざりにされているのではないか。
コンクリートで遺跡の応急処置をするのは変だ。もっと時間をかけて丁寧にやるべきではないか。復興に向けての経済成長が先か、それとも文化を守ることが先なのか?バランスの取れた発展は可能だろうかなど。
世界遺産に興味があり、バーミヤン大仏の破壊に心を痛めていた朱加さんにとって、だからこそ教育が大切なのだということを再認識した旅だったようだ。ビデオを観ながら質疑応答も和気あいあいと進んだ。若い感性で見てきたベトナム。この経験が彼女たちの将来のユネスコ活動の道しるべとなることを、会場に参加した全員が感じながら散会となった。