スポットライト

原子力発電は負の遺産を生む

7月29日のデモ

鎌倉ユネスコ協会有志3人で脱原発国会包囲集会に参加した。日比谷公園から東電本社前、経産省前を通り、1.6km、7千歩のコースを1時間半かけて歩いた。ベビーカーを押す若い夫婦、子供連れの人、おばさま達、同年輩の男衆と一緒だった。出発点に戻ると若い女の人がシャボン玉を吹き上げて、ニッコリ笑いながら「お疲れ様」と言ってくれた。翌日の新聞では、デモがあったという単なる記事ではなく、参加者の声、気持にまで踏み込んだ報道がなされた。デモの焦点は「原発再稼動反対」と「原子力規制委員長候補人事案反対」であった。政府との対話を求め、国会議員に行動を呼びかけ、来るべき総選挙では、しかるべき判断をしますよという意志表示であった。

不信のマグマ

東電福島第一原発事故について、多くの人達は政府の収束宣言を信じていない。電気代値上げも一回だけでは終わらず今後何度もあるだろうと思っている。原発再稼動も大飯2基だけにとどまらず続々とあるのではないかと思っている。消費税増税3党合意の裏で「原子力基本法」が改悪された。“安全保障に資することを目的として”という文言が加筆されたのである。
狙いは核武装の布石ではないかと国会で質疑があった。使用済核燃料の再処理で核兵器用プルトニウムを得る途を残すためではないかと言われた。核燃料サイクル政策も原子力委員会の秘密会議で実質全てを決めていた事が暴露された。これで怒らない人がいるだろうか?国家を信じ原発事故の後始末は国が最善を尽してくれると思う人がいるだろうか?誰もが不安に思って、それを確かめたくて集会にやってきたのだと思う。

事故原発は「冷温停止」していない

現在もこれからも最大の関心と危惧をもって注視しなければならない事は、福島第一原発の事故を起こした4基それぞれの状況である。米国の原子力技術者、A・ガンダーセン氏によると原子力部門の専門用語である「冷温停止」は、次の条件を満たさねばならない。
◇放射性物質の漏洩がないこと◇大気圧下で200度F(約93度C)未満の原子炉冷却システムになっていること(この条件下ではシステム内の圧力低下があっても、冷却材である水は沸騰しない)。◇ システムとは漏れのない状態が前提となる。◇液体状の水が燃料棒と設計どおり適切に接触していること。
福島第一原発4基は、これらの条件を全く満たしていない。炉心を外れ、原形をとどめていない核燃料が空気中で溶融しない状態に冷えるには最低3年はかかるという。東電はその一部始終を適確に公開し、問題点を説明し対策を講ずるであろうか?

再稼動は経済原則の無視

電気代高騰の問題もある。電力の安定供給最優先で従来どおりの原発政策を続ければ、電気代は確実に上昇する。日本の国際競争力は下がる。需要と供給の競争原理なしの発送電地域独占制度及び総括原価方式の会計制度は健全な経済原理にもとる。公益事業の名の下での電力の安定供給一本槍で今後の電力事業が成り立つとは思えない。再稼動により従来のままの原発政策を続ける余裕は、事故の後始末の大変さを思えば、ありえない。つまり使用済み核燃料再処理事業に執着する余力は無いと判断する。

世代間倫理は持続的発展の前提

未来世代に引渡す経済的負担は極力少なくあるべきです。放射能汚染による健康被害も同様です。世代間倫理です。
未来世代への負の遺産は極力へらすべき、増やしてはいけない。使用済み核燃料は経済的にも倫理的にも負の遺産です。発する放射能は今の人類が責任を持てない、10万年先まで消えません。それを生み出す原子力発電は負の科学技術です。 (渡部研自)

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