ペルー便り
~「野鳥とアシカの楽園、バジェスタス島」~
トルコ石色の海、青い空、冷たいフンボルト海流、たくさんのアシカや野鳥が群がる場所・・ここは、リマから南にある、バジェスタス島。リトル・ガラパゴスとも言われ、近年注目を浴びています。
私がこの場所と出会ったのは大学時代、バジェスタス島のそばにあるパラカス自然保護地区でボランティア自然保護官として活動していた頃でした。休みの日は双眼鏡を持って野鳥を見わける訓練、夜は電気も携帯もないから星空観察や夜の海鳥の鳴き声コンサート鑑賞。おかげで野鳥と仲良くなりました。
バジェスタス島は、フンボルト海流でしか生息しないフンボルトペンギンをはじめ、グアナイムナジロヒメウ、ペルーカツオドリ、ペルーペリカンなどの野鳥が多数生息するスポットで、南半球の夏になると、繁殖期を迎えるアシカが特にたくさん集まってきます。
実は前述の3種類の野鳥たちは、ペルーの歴史上重要な活躍を見せました。彼らの糞は農業用の自然肥料(グアノ)として珍重され、19世紀の半ばから後半にかけてヨーロッパやアメリカに輸出されたのです。当時経済破綻していたペルーはグアノのおかげで好景気となり、滞納していた公務員への給料支払やインフラ整備が進みました。野鳥のおかげでペルーは救われたのです!
ここ最近は年々観光客が増えており、ツアーやガイドの数も増えていますが、質と内容のバラつきが問題となっています。「せっかくすばらしい自然、野鳥、動物、歴史と触れ合うきっかけがあるのに、ガイドたちは重要なメッセージを伝えない」という保護地区長の心配があり、今、私が立ち上げたアイピー・ペルーという会社でガイドの質の均一化を進めています。
ガイドを通じて、子どもから大人までたくさんの人がバジェスタス島のすばらしい自然を体験し、理解し、感動し、自然に対する想いを持つ人が増えてくれたらと願っています。(太田清可)