体験記「ホームスティを受け入れて」

湘南国際交流会会長 早川恵子さん

湘南国際交流会(SIA)と鎌倉ユネスコ協会は渡利晴夫氏らのご尽力で始まった兄弟団体です。創立年月日によるとSIAのほうが兄ですが、今では弟の鎌倉ユネスコの方がずいぶん大きく育っています。

今回は兄弟が仲良くのアジアユースオーケストラの企画を進める事ができ喜ばしいことだと思います。ホームスティ受け入れ初期のころの写真

*私のホームステイの始まり

SIAで活動を始めたのは創立間もない25年前で子供はまだ6歳と1歳でした。夫は反対しましたが、「一回だけ」とお願いをし一泊のホームステイを受けました。

このステイが終わると夫は「もうやめてくれ。」と言いましたが、ここで負けてはいけないと思い、「もう一回だけ」とお願いし2回目のステイを受けました。その後、夫は一言も「やめなさい」とは言わず、今に至っています。

*いろんな人が来ました。

インド人男性から始まり、フランス人旅行者、アフリカの某国の大使館員、イギリス大使館の翻訳官、アメリカのバンドのメンバー達、フランスの合唱団、ドイツの少年合唱団、ポーランド女性、フランスの日本語研修生たち、イギリス、アメリカのシニアの方々、劇団員、沖縄にいる米軍幹部、中国の中学生、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、スウェーデン、ブルネイ、フィンランド、メキシコ、ドイツの大学生、高校生、先生たち、フィリピン、スロバキアの舞踊団、ウクライナ、ロシアの茶道研修生等々100名はいるのではないでしょうか。

*その後のお付き合い

私は「一期一会」の気持ちで受けるのでそのあと繋がっている人は多くはありませんが何人かとのお付き合いをご紹介します。

○20年近く前に4日間滞在したオーストラリア人イアンは数年後に「新婚旅行で世界一周中。来週日本に行くけど行ってもいい?」と香港から電話があり、そのまま夫婦で3週間滞在をしました。

○3週間滞在したフランス人ヨハンは翌年「僕の友人エリックが日本に行くから泊めて。長髪の男性だからわかるよ。」と連絡がはいり、顔もわからないまま大船駅で無事対面し、しばらく滞在していきました。エリックとはその後もつながっていて、娘も息子も一人旅の際にお世話になりました。

○20年前大学生だったスウェーデン翻訳家シモンは今では仕事で日本に来るたびに我が家に寄ります。私の食事を楽しみにしてくれて、お互い何をするわけでもなくのんびりと好き勝手に時を過ごします。子供たちも彼のところを訪れて北欧を楽しみました。

○娘は3月には昨年訪れたパキスタンのゴハールを訪ね、全日程、彼のお世話で安全な旅をしました。家族にも大歓迎を受けました。

*家族にとってホームステイって

○夫…初めは反対をしていたのに3回目からは自分のペースを崩さずにマイペースで接し英語が得意でなくても、趣味のことや楽器の演奏を通じて交流を楽しんでいます。

○子供たち…小さいときは一緒にお風呂に入ったり、ゲームをしたり、言葉が通じないのに楽しく交流をしていました。いきなり適所でフランス語を発してびっくりさせられたことも…。中高生時代は試験と重なることがあり、なかなか思うようにステイを受けられませんでしたが、覚えたばかりの英語を試し、学校の英語は苦手だけど話せる高校生でした。その頃出会ったゲスト達とは今でもおつきあいをしています。

*ホームステイをして得た心

息子が放浪の旅に出た時のことです。コソボで現金がなく、カードも使えず、換金もできずにたたずんでいたら、現地の男性に声をかけてもらい彼の家族と数日過ごし生き延びました。この事実も感謝ですが、この親切を受けたことへの子供たちの評価がうれしかったです。それは「今までいろんな人をボランティアで泊めてきたことが彼に返ってきた。」「良いことをしていればそれが返ってくる。」といったボランティアの心に対する言葉です。私が好きで始めたことが、間接的に彼らに心を残していたようです。長い間、細々と会員として活動してきて本当に良かったと思った瞬間でした。

これからは私が得られた心を、多くの家庭に広められるよう頑張っていこうと思っています。

(湘南国際交流会会長 早川恵子)

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