ひろば
金婚式の年
中島 章夫
今年金婚式を迎える私達には、四人の息子がいます。お陰さまでみんな元気で、それぞれの職場で頑張ってくれていますが、何時顔を合わせても、愉快で喧嘩をしたことがないのが、私達の秘かな自慢です。
長男の所に一男一女、四男の所に二男一女の計五人の孫達がいますが、彼らもまた底抜けのエンタテイナーで、老い先が短くなりつつある私達に、齢のことを忘れさせてくれます。
間もなく海外赴任から戻ってくる長男が、私達の金婚式の機会に、家族全員に集合をかけて驚かせてやろうと、秘策を練っているようですが、平和と神の恵みに感謝するばかりです。
隠居の夢を断たれ…
中野 昌子
雑事より解放されたら、いずれ「晴耕雨読」のような生活をと夢見て齢を重ねていた私。ところが二十数年前、歴史ある欧州のある国に数ケ月滞在予定のところ、その国の日本大使館から日本文化紹介の任を頼まれ、6年余りも滞在することに。ところが「在留邦人の助手がいない、心得がない」という難題に直面。
結局、日本文化を勉強中のその国の人達に助手を頼みました。
この経験から「帰国したら日本人は誇りを持って、自国の文化を身に着けてほしい」と、茶道、箏などの教授を続けることになってしまいました。
百年を迎えた鎌倉同人会
小泉 親昂
私が常務理事を務める一般社団法人鎌倉同人会は明年一月に満百年を迎える。
明治の終わり頃多くの別荘族が住むようになった鎌倉だが、インフラの不足、文化財の保全の未整備等々町としての機能がほとんど発揮されていなかった。そこで陸奥広吉(陸奥宗光長男)を中心に心ある人々が鎌倉の文化財を守り、町のインフラを整備し住みよい鎌倉を作っていこうと立ち上げたのが鎌倉同人会である。
国宝館の建設など多くの事業に取り組んできたが、鎌倉を愛する人々の熱意で市民活動の草分けの会も百年を迎える。現在では映画会や俳句、歌会などの文化活動が中心になっているが、これからも鎌倉のために出来ることを続けていこうと考えている。
退職後のボランティア
米村 茂光
サラリーマンになり、仕事に追われる毎日が続き70歳を過ぎた頃より、心身共に疲れが出てきたため72歳の誕生日で退職しました。
50年間もよく続いたものだと思います。時間に追われれることもなくなり、好きな盆栽の手入れや本を読んだりして過ごす毎日でしたが、少しでも世のためになることをやろうと思っていたところ、宮城県の三陸町に鎌倉のアジサイを植栽するプロジェクトのボランティア募集があり、参加することができ、5月30日から現地に行くことになりました。数年後にはアジサイが沢山咲き地元の方が安らぐ場所になるよう頑張ってきます。
ジェネレーションMの若者達(2)
山田 ますみ
教育現場では、複雑で加速化するインターネット社会の「若者の孤立文化」について行けないでいる。
教員と保護者を「教育する」事により、ジェネレーションMの実態を理解しながら監視する歩み寄りの解決策を見出す方が急務ではないか、と最近「インターネットとの共存を肯定する」学者の声が声高になっている。私も日々若者とキャンパスで接しているが、もはや彼らは宇宙人である。
私の講義内容は、「写メ=写真で保存」で解決。欠席者に瞬時に横流す。課題に配布した副資料もページ毎に写メで、書き込まず読み放し。紙面に書き込みながら理解する面倒くさい事はしない。お互いの連絡は「ライン」を使い、文字で埋め尽くされる。文字が見えれば「ガチ?=マジの最上級。ホントに真面目な話の意味」「ゲキオコプンプン丸=過激に怒っている自分」レベル。さらに「文字の多いメッセージが送信されると『怒っている』と思い後回しに・・・そのまま回避する」とのこと。
彼らの人生が漫画のコマの連続なのである。
全国大学生プレゼンテーションコンテストが年一回読売新聞他主催で2012年から開催されたが、一人で20分も持ち切れず、10分経過すると「記憶が飛ぶ」危機感を持つ。
視覚的、聴覚的刺激に常時さらされ、そのスピードに酔いしれ、気が付くと顔の見えない仲間が集う快適な空間に身を寄せる彼らの世界を、どれだけの教育現場の人びとや保護者が、理解し歩み寄ることが出来るだろうか。