ペルー便り
~ワラスに来て、クイがある~
ブランカ山群が見えるワラスの町では、あるおばちゃんの○○唐揚げが無性に食べたくなる。それは「クイ・Cuy」だ。ハムスターを一回り大きくしたテンジクネズミ科のモルモットでペルーだけでなくボリビア、エクアドル、コロンビアのアンデスにも生息していた。
そもそも今から7000年前にペルー中央アンデスでアルパカと同時期に飼育されていたことが、ある大学の調査で判明した。特に食として昔から人間と深い関わりを持っていたが、15世紀後半以降スペインから牛、豚、羊などが新しい家畜動物として新大陸に持ち込まれ、それ以降はクイを食べる習慣が減り、今ではお祭り、誕生日などの重要なイベントで食べるのが一般的となっている。
クイはウサギと鶏の肉をかけて2で割ったような食感をしている。他の肉との比較では成長は早く、脂肪が少なく(7.6%)タンパク質が多い(20.3%)と言われている。
クイの食べ方は、丸ごと一匹、串焼きや唐揚げにする。丸ごとにするのは、地元のおばちゃんいわく「ネズミと違って尻尾がないでしょ?」と確認するためだそうだ。10年前までは都会でクイを食べることは考えもつかなかったが、アンデスの人々が大都市リマで生活するようになり、アンデスの食を見直すようになり、今は高級レストランでも出るようになった。でもリマ人はお皿に一匹丸ごとよりも小分けして食べる方を好む。
またクイはお医者さんのような役割もしている。クイを人間の体全体に当て、ある一定の所で泣くことでその人の病気を診断し、病気や悪い所をある程度クイが吸いあげてくれる。その後、患者さんに薬草などを処方するというもの。この習慣はアンデスにいまだに存在し、欠かせない存在である。
私はクイのすばらしさに惚れ、ワラスではおいしいクイの唐揚げを食べ、体を治され、「悔いのない」体験をしている。ペルークイック旅にクイ丸ごとはいかがでしょうか?(オヤジギャグでごめんなクイ)。(太田 清可)