中部東ブロック・ユネスコ研究大会in木曽
~テーマ「未来の子どものために持続可能な社会の構築を目指す」~
木曾ユ協の主管で開催された今年度の中部東ブロック・ユネスコ大会は、「未来の子どものために持続可能な社会の構築を目指す」をテーマとして、10月25日(土)~26日(日)に、第一日目は木曾文化公園文化ホールで開会式、ESD活動事例発表、日ユ協連報告。
第二日目は木曾福島会館で基調講演と講演、閉会式が行われ御嶽山大噴火の苦難を超えて、それぞれ内容の濃い大会であった。
参加者は約115名、鎌倉からは佐藤会長、森井理事長を含む10名の参加であった。
第一日目
開会式の後、ESD事例発表。冒頭に信州大学教授渡辺隆一先生の「ESD(持続可能開発教育)と地域の活性化」と題し、先生ご自身の教育理念とする講話があり、その概要はESDは社会を持続可能なより良いものに変えてゆくための教育であり、自然環境や社会環境の改善を目的とした環境教育・人権教育・平和教育である。
ESDの最大の特徴は、より良い未来志向社会を具体的に想定し、現状分析、具体的な計画に基づく行動を実行してみることにある。
将来社会の創造は、行政、市民活動もさることながら、これら創造を担う若者たちがどのような社会を望むのかを把握し、彼らへの働きかけなくして持続可能社会は全く達成しない、為に彼らに働きかけ地域自然の理解および人間と自然との調和を生み出す工夫が必要であると。講話を聴いて感じたことは、当協会が行っているESD活動(絵画展など)で十分であるかどうか考えさせられた。
ESD活動事例発表に移り、信州大学ユネスコ部による「東北ボランティアツアーやESDの取り組み」、長野県林業大学校2年生、1年生の二人による「オーストリアの先進林業に学ぶ地域の活性化」、信州大学附属松本中学校久保貴史先生による「ユネスコスクールとしての取り組み」、静岡市立玉川中学校望月厚志先生による「ESDパスポートの取り組み」、信州大学特任教授渡辺隆一先生による「国際ユース環境会議」等の発表があったが、各々の発表内容は具体的計画をもとに実行に移され精力的な活動をされたことに感銘を受けた。これらについてのパネルディスカッションの後、国内委員会報告をブロック代表委員の井原正登氏から、日ユ協連報告は日ユの本間雅子さんから、高校生カンボジア・スタディツアーに参加した県立有馬高校の林力雄君に譲って感銘深いレポートをおこなわれた。
第二日目
基調講演は「豊かな環境が地域を育てる」と題して、横浜国立大学長鈴木邦雄先生から「自然と人間の調和と共生」「ユネスコエコパーク」について、ご自身の幼少年時の自然体験、長じての自然とのかかわり合いを交え、レジメによりわかり易く説明をいただき、森林保存保全、里山の管理保全、ビオトープ(生物小空間)重要性等が、いかに人を育て人に有用であるか理解することができた。
最後の講演は「只見ユネスコエコパーク」と題して、只見町ブナセンター館長鈴木和次郎氏から、只見町の現状(過疎・高齢化に伴う人口の減少、産業の急速な衰退の進行)、地理的環境(森林94%)の説明後、只見町振興計画により地域社会を維持・発展させるために、ブナ林に代表される只見の自然環境を保護・保全し、それらの持続可能な形での利活用を通じ地域社会経済の発展を目指す(具体的には集落背後の森林・里山の保全活用、漁労・狩猟の活用)ことでユネスコエコパークの登録を受けたとの講話があった。
この講話から受けたことは、ユネスコエコパークへの取り組みの努力に敬意を覚えるとともに、少子高齢化による地方自治体(過疎地)の消滅の危機を今更ながら感じさせられた。
なお第一日夜、宿舎になった木曾三河屋での交流懇親会で、披露された木曾町保存会・池田氏らによる「木曾の木遣り唄」と、小森の会・中澤先生の指揮による「自作の楽器バンドーラやヴァイオリン合奏」は参加者一同への最高の贈り物となった。また、歌詞が「おんたけさーん」のところになると胸がつまって唄い続けられずに俯いてしまった「木曾節」の男性陣。バンドーラ演奏20名を超す女性陣の最高齢88歳。感動だった!!。